JICA海外協力隊の世界日記

古田賢二のネパール大好き日記

街からガソリンが消えた

新年明けましておめでとうございます。

新年早々ですが、インドとの国境封鎖による燃料不足など、今ネパールが直面している厳しい状況をお伝えします。

ネパールでは昨年9月20日に約7年越しに新憲法が制定されましたが、その直後から、人口の過半数を占める南部の住民らが「人口数に比例した権限が与えられていない」などとしてインド国境に座り込み、国境を封鎖しました。インドはネパールの生活必需品の主な輸入先であり、中でも、ガソリンやクッキングガスなどの燃料不足が深刻になっています。今では、ガソリンを得るために百台以上も延々と列をなすバイクや車の姿が日常風景となっています。公共交通のバスやテンプ(オート三輪車)も本数が減っています。車内はぎゅうぎゅう詰めで扉から乗客がはみ出したまま走っており、禁止されたはずの屋根上乗車も復活しています。

レストランでは、調理用のクッキングガスがないため休業する店が相次いでいます。薪を使って辛うじて営業を続けている店でも、メニューを絞っています。私の家では残っているガスを節約して使い延ばしていますが、ガスが無くなってしまった家庭では毎日の炊事に事欠く状態です。電気炊飯器や電磁調理器など電気製品が飛ぶように売れています。しかし、水力発電に頼るネパールでは、雨のない乾季には発電能力が極端に低下します。電気需要が増大する一方で供給能力が低下しているため、カトマンズでは1日10時間以上の計画停電が実施されています。例えば私の住んでいる地域の月曜日には、電気のあるのは朝4時までと、昼間の12時から16時までと、夜の22時以降です。起きて家にいる時間帯には電気がありません。停電時間はローテーションしており、週の半分ぐらいは、朝夕の食事を準備する時間帯に電気がありません。このため、時には作り置きした冷えたご飯を食べざるを得ません。

12月の下旬からは最低気温が5℃前後という、一年で最も寒い時期を迎えています。電気のない夜は、暖かい食事も満足に食べられないまま布団にくるまって寒さを凌ぐより方法がありません。

昨年のネパール大震災で家を失った人達が暮らすトタン板やプラスチックシートの仮設?住宅では、こうした状況は更に深刻です。特に、病者、高齢者や乳幼児など健康弱者にとっては、冬の寒さは生命に関わる問題です。昨年の11月末にユニセフが発表した報告によると、ネパールの5歳未満児 300人以上が病気や命の危機にあり、今後2ヶ月で125000人の新生児が特に危険な状態にあるといいます。1日も早い問題の解決を望んで止みません。

こうした厳しい状況の中にあっても、朝、職場に行くと同僚から「ナマステ フルタジ アラーマイ?(おはよう古田さん、元気ですか?)」と明るく声をかけてくれます。ネパールの人達はいつも笑顔を忘れません。そんな彼らに励まされて、私も元気に毎日を過ごしています。

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