JICA海外協力隊の世界日記

黒海中継 by チーム・ギレスン

インゲン豆・地産認証フォーラムの開催

こんにちは。チーム・ギレスンの丹羽です。

前回、アンケート調査について記載しましたが、今回は、去る9月23日(金曜)に遂に実施の運びとなった、クルファリエ地産認証のフォーラムについて、日本との違いを勘案しつつ報告します。

我々ギレスンチームも初めての経験であり、トルコ地方事情の理解の一助になれば幸いです。

1.フォーラム開催の背景

チャモルック郡の農業活性化を狙い、山間の気候(気温の大きな日格差や低湿度)を利用した伝統的作物:kuru fasulye(乾燥インゲン豆)の地産認証取得等のお手伝いをしている。この地はイスタンブル等への移住・出稼ぎが多く、若年農家が減少している面もあり、地域活性化に繋がればと願っている。

当地には、経済活動との結びつきの強い卸団体や消費者団体が無く、認証申請は行政当局が主幹となった。主たるステークホルダーの農家に地域認証自体の理解を深めて頂くべく、行政当局にフォーラム開催を提案してきた。遠隔地の27のköy(村)からの移動を考慮しつつ、当初は、里帰りで人が集まるクルファシリエ・フェスティバルの場を借りての実施予定であった。しかし、開催予定日(9月14日)の前週に、各種事情もありフェスティバルの中止が決定し、即刻、代替としてのフォーラムの独自開催を提案した。行政当局の理解・協力を得て、人口の多い9月のお祈りにて外出しやすい23日の金曜日、祈祷後の14時から15時半にて開催が決定した。

2. フォーラムの実施概要

集客: カイマカム(中央政府任命の郡長)の指示により、名簿に基づき農業局職員等が電話等にて個別連絡をした。200名程の母数から、悪天候にも拘わらず約120名の参加となった。勧誘は数日前から当日午前中まで実施され、主観だが、土壇場のこの集中力は注目に値する。

一方、恐らく名簿上も女性はほぼ無く、社交的行事への参画は、この地では圧倒的に男性中心と思われる。行政当局は講演後、クルファシリエ(乾燥インゲン豆と同一呼称のメニュー名)・ピラフ・アイラン(トルコを代表する乳飲料: 残念ながら個人的には…)をレストランからの出前にて提供し、この計らいは集客に繋がると思われる。移動手段は車だが、駐車スペースの心配は不要である。時間通り集まる来訪者は8割程。入り口の扉は時間通り閉じる。貴賓席(プロトコルと呼ばれ、バシカン=地元で選出される行政長等が着席した)は、必要数を事前に確保する。

*実施内容

場所・施設: 会場は、チャモルック中心部から近い公園にあるテント状の建造物で、普段はお茶の提供が中心の収容人員60名程の施設。前日はチームで周辺の清掃活動をした(やはり煙草の吸殻は多い)。

施設の従業員も、周辺に水を流したり机を綺麗したりと清掃活動をした。当日は先ずは机を外部に移動し、空きスペースに椅子を移入し120席程を確保した。軽いプラスティック製の椅子は、この様な場合、使い勝手が良い。当日、悪天候にて外部施設がほぼ使えず、講演後、即刻机を搬入し、食提供を開始した。

概要: 冒頭、主催者のカイマカムの挨拶から始まる。彼は、地域認証取得の目的、当地での農業指導等の日本・JICAの協力、当日の開催内容等を説明した。カイマカム専用演台は常に移設する様子。引き続き、同一演台を使い、基調講演として、農業局職員(+当SV)が、地域認証の目的・意義・国内事例・海外事例等を説明した。その後、当地で活動する他のSV三人の自己紹介後、即刻、机の搬入とレストランの出張による食の提供が始まった。我々も、当初段取りの通り、日本式インゲン豆・ツナカレーライス(イズラムのハラールに基づき、ワインやルーを使用せず、市販のカレー粉・擦りおろしリンゴ・蜂蜜・葫等を配合し、前日調理後に搬入した)の試食提供を実施した。米は日本式に鍋で炊飯したが、当地では油・塩を使わないライスは珍しい。総じて食に保守的な国民かとは思うが、幸い、想定より残食は少なかった。結果的に仕込み量が多少十分とは言えず、一部の方に大変申し訳の無い事をしてしまった。

その後、日本文化・JICA紹介に移った。時間の超過と悪天候で対面の施設が使えず、折り紙・箸紹介等は活動が十分には出来なかった。一方、七着持参した法被の試着は好評で、多くの方が写真撮影をした。

3. 最後に

当初予定のフェスティバルが中止となりフォーラムだけの開催となったが、個人的に地域認証中心の情報共有化等に集中でき、却って良かったのではと感じている。(歌や踊りが無く、残念な人も多いとは思う)

フォーラム開催を急遽決定して下さったチャムルック郡カイマカムのケマル・カラハン氏、基調講演役を快諾頂き、集客や当日の手伝いを願いした郡農業局職員、当日ギレスン市から参集頂いた県農業局のカウンターパートナー各位、初めての企画に参集頂いた各村・自治体・農業の代表者、そしてチームギレスンのSVの皆様に、何とか無事に終了できた事に対し、厚くお礼申し上げます。

チーム:ギレスン 丹羽世之樹

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