JICA海外協力隊の世界日記

特派員はやじいのバヌアツ通信

ちょっと変わった健康飲料のカヴァ(KAVA)

写真1はカヴァの木(葉・茎・根)です(ブログapa-apa.net/kok 0199より抜粋)。健康飲料カヴァはこの根っこを擂り潰した汁を飲むものです。私の住んでいるメラネシアンホテルにあるSouth Pacific Tours(通称、SPT)が発行している宣伝パンフレット(Vanuatu)には、”カヴァは一種の麻薬で飲むと鎮静作用があるが、他方治療薬としても優れた効果を示すバヌアツの習慣的な飲み物”との紹介がしてあります。バヌアツの人々は日が落ちると同時にグループでやってきて、ローソクの明かりだけの静かな空間の中で将来を瞑想しながらもくもくとカヴァを飲みます。カヴァは日が落ちてからの庶民の習慣的な飲み物であるのみでなく、儀式では必要不可欠なものであり、カヴァなくしては来賓である高位高官をもてなすことも、お祭りを盛り上げることもできない飲み物です。

写真2(ブログachikoci.takema.net, 旅行記その12より抜粋)はカヴァの根っこをすり潰したものを水で溶かし、きめ細かな布で(数回)濾した後に出来上がったカヴァ飲料で、土(泥)のような色をしています。すなわち言い換えればカヴァ飲料は、泥水を口の中に一気に流し込んでいると思って頂ければ結構です。従って、このカヴァを口の中に流し込むだけでは、痺れを伴った泥臭さが口内に拡がるのみなので、これを解消するためにカヴァを飲んだ後に多量の水を口に入れては吐き出すことで口内を掃除することになります。しかしながらカヴァは中枢系神経に悪影響をもたらさない筋弛緩剤としての効用があり、カヴァを飲むと争いがおさまるともいわれています。

カヴァを飲む公共の場(カヴァ・バー)をナカマル(NAKAMAL:本来の意味は集会場)といいます。ポートビラには沢山のナカマルがありますが、写真3は海が見渡せる高台にあるナカマルの一例です。三々五々集まったバヌアツ人はこの高台のナカマルで、海を見ながらカヴァに酔いしれ、今日1日の回想と将来の瞑想に耽ります。前述したようにカヴァはその効用が謳われる反面、健康に良くないとの指摘もあります。これは私が実際に経験したことですが、水産局に赴任した間もない頃、歓迎の意味で近くのカヴァ・バーに連れて行かれ、そこで100VT(日本円でおよそ100円ほど)のカヴァを一気に飲むように奨められました。これまでに何度かチョビチョビ飲んだ事は度々ありましたが、ある一定量のカヴァを一気に飲むのは初めてのことでした。案の定、しばらくしてから呂律の回らない自分に気づき、気持ち悪くなり、這う這うの体でホームステイ先に帰えりましたが、その晩の戻し・下痢が翌日の昼まで続くことになりました。前述の宣伝パンフレット(Vanuatu)には、カヴァは一種の麻薬で、お酒以上の効き目があり、意識がなくなり、歩けなくなる事もあるとの注意書きがあります。又日本ではカヴァは輸入も販売も禁止され「ドラッグ」と言われタブー視もされています。カヴァの飲みすぎは、思考能力の低下、子供の置き去りを始めとする家庭環境の悪化等の悪例が地元新聞にも報道されています。カヴァの飲み過ぎは肝臓を壊すとも言われています。我々ボランティアも注意と節度が必要です。何事も程ほどの体にしておくのがよろしいかと思います。

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