人類みなアミーゴダイアリー in BRASIL

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廣瀬 拓哉
(大阪府)

ボランティア/職種
日系社会青年ボランティア
野球
派遣国
中南米
ブラジル サンパウロ州 インダイアツーバ市
一言メッセージ
人が温かい大阪から,これまた人情に厚いブラジルへ! 『将来に活きるTEAMをつくる』をモットーに,野球の指導を通し,国と国・人と人が繋がる活動を目指します。

 

優勝!!!!! ~Torneio do Toshirou Takuma 2018~ さわやかNo.31

2018.10.29

TEAM 活動 繋がり

やりました!!目指していた一つのタイトルを獲ることができました!!

【地元開催・恩師へ感謝を伝える大会】
10月27日に行われたインダイアツーバでの準公式戦。
この大会は,配属先のACENBI(インダイアツーバ日伯文化体育協会)に長きにわたって,インダイアツーバの子ども達に野球指導をしてこられた,宅間先生の名前がついた大会。

宅間さんは18歳の時に,鹿児島の農業高校を卒業した後,その技術を持って単身ブラジルへ渡ってこられました。
そこからは,仕事をしながら青少年育成のために,ノックバットを握り,現在のACENBI野球部の土台を作ってこられました。
その宅間先生への感謝を込めたこの大会。

本来であれば,土日の二日間を使って大会を開催する予定だったのですが,日曜日はブラジルの大統領選挙が重なってしまったため,遠方から参加をしてくださる予定だった多くのチームが,参加をキャンセルしてしまったこともあり,参加チームは少なくなってしまいました。
しかし当の選手たちにはそんなことは関係ない。目指すものはただ1つ。テッペンです。
さらに今回は,なんと言っても宅間さんの名前のついた大会。
地元開催ということはもちろん,子どもたちにとっても,“野球を始めた頃に教えてもらった宅間先生のために,成長した姿を見せよう”と,気合が入っていたように感じます。


【今までにない手応え】
金曜日の夜の練習を終えた後のミーティング。
『やることはやった!あとは明日楽しもうな!』という話をしていると,

挙手をして1人の選手がこう言う。

「先生。明日5時に起きてもいいですか?」

自チームのグラウンドでの開催なので,そんなに早く起きる必要はない。なので,

『なんで?そんなに早く起きたいの?』と聞くと,

「明日の試合のために早く起きて,バッティング練習がしたい」と。

『お...おう!!ほんまか!!やろう!!ほんなら起きよ!!」と言うと,

「よっしゃー!!」とガッツポーズ。

どんだけ可愛いねん。
その気持ちがすでに優勝級やよ。と,嬉しい気持ちに。


練習後はそのままグラウンドにある,宿舎で子どもたちと合宿。
一緒にご飯を食べ,お風呂の後の時間を共にダラダラ過ごし,寝る前に明日のためのミーティングを少し。

サインの確認や,選手間ミーティングの時間を取ると,子どもたちの気持ちが高まりすぎて,終わらない。笑
自分でミーティングを設定しておきながらも,このまま長引くと,明日起きられへんくなるんちゃうか?と不安になってきて,

『よしっ!そろそろこの辺でおしまいにしよか!』と強制終了のお知らせ。

『明日もその勢いで行くんやでー!歯磨いて寝ろよー!』と伝えて就寝。


子どもたちの気持ちがこんなにも表れたと感じた日は初めて。
今まで『気持ちを見せろ〜!!』と,選手に言ったことはあったけど,いざ見せられると,そのパワーに“おぉっ!!”と軽く後退り。



そして翌朝,
かすかに聞こえるゴソゴソとした音。

なんか聞こえるな〜と,まだ夢の中でそう思っていると,

「先生!!Cinco horas!! (5時やで)」と耳元で子どもが。

『うわ!!ビックリした!!』とその選手を見ると,もうユニフォームに着替えてる。

すごいよ。

もう今日の試合勝った。とその時点で思ったよね。試合の勝ち負けの結果はどうにしろ,気持ちの面でどこにも負けへんと。

朝の5時半からウォーミングアップをして,がんがんバットを振る子どもたち。
時間が経つにつれて,つられて他の子どもたちも起床し,参加。

最終的には,「次誰〜?」と,全員でのバッティング練習となりました。

1時間半のバッティング練習。
まさか朝から300球以上のボールを投げることになるなんて考えていませんでした。笑


練習が終わると,食事スペースでは,子どもたちのお母さんたちが,すでに朝ごはんの準備をしてくださっていました。
このお母さんたちもすごい。昨晩は夜遅くまで残り,打ち合わせや最終的な準備をし,その後はワッハッハーと大きな声で話ししながら,ビールを飲んで夜中遅くに帰っていったのに,翌朝はピシッとシャキッと準備をしてくださっていました。(寝てる?ちゃんと休めてるの?と本気で心配になるブラジル人の体力のすごさ。)

全員で,いただきますをして,参加チームが到着するのを待ちながら,ゆっくり朝食をとりました。


【手応えが確信に】
季節がだんだんと夏に近づいてきているブラジル。
雨の日も多くなってきており,先週も大半が雨で,夜中もパラパラと雨が降っていた様子。

この日も雨の予報でしたが,予想を覆して,時折太陽の日差しが眩しい天気。

そんな日の午後3時ごろ。我がチームは見事,この大会の優勝を果たしました。

最終回は,10対3と大きくリードしているにも関わらず,余裕のない守備陣。
最後の一球がなかなか決まらず,見ているこっちもハラハラドキドキ。
これまでの試合なら,いくらリードしていようと,一度崩れたリズムを立て直すのがとても大変だったこのチーム。
しかし,この試合では,全員が仲間を鼓舞し合い,最後の最後まで集中力を切らしませんでした。

見事,やってのけた子どもの喜ぶ姿に思わずグッときてしまい,保護者の涙ぐむ姿を見たら,もう...どっかーーんと目元大洪水状態でした。

“しっかりしてきたな”と思っていた昨日の手応えは,今日のグラウンドでしっかりと確信に変わりました。

【コツコツと伝えてきたことが実を結ぶ】
これまでやってきたことが見事に実を結んだこの大会。
チーム全員で戦えたことが一番の糧になったと思います。
それは,試合に全員が出場したという意味でもありますが,それ以外のところでも“全員で戦えた”と思えた,驚く光景がありました。

決勝戦の序盤,チーム12人中の9人の選手はフィールドへ。残りの3人の選手は,ベンチで出場機会を待っていました。
いつもなら,ベンチに座っているか,ボーーッとしてるかの控え選手なのですが,今回は積極的に体を動かし,バットを振り,ボールを投げ,いつでも出場できる準備をしていました。
ひとしきり体を動かし終えた3人。ベンチでグラウンドの中へ声をかけながら,仲間を応援していました。

よしよしと思いながら,私はゲームを見ていると,いつの間にか先ほどの3人の間に赤いバケツが置かれていて,立っていた子どもたちが中腰になり,何かをしています

『何してんの?』と尋ねると,

「Pegar sorte (運を拾ってるんだ!)」と。

“Pegar sorte”とは,私のチームでは“グラウンド内の石を拾うこと”を意味します。
“野球選手は身体が大事。小さな怪我でも100%のパフォーマンスは難しくなる。だからボールがイレギュラーして怪我をしないように準備・確認をしておくこと”。また,“グラウンドを綺麗にしておくことで,運が舞い込みやすくなる。野球の技術以外の所での,目配り・気配り・心の整理が良い結果を招く。石を運に見立てて,多くの運を拾うと必ず自分にとって良いことが起こるよ。”と,子どもに伝え,チームが始まった当初から毎日ずっと欠かさずに行ってきました。

それが,この決勝戦の場面で,誰が頼んだわけでもなく自ら,試合に勝つために運を拾ってるんだと。

嬉しくて本当にその瞬間は,なんと表現したら良いのか,ため息のような“おー。すごいな”というような声を漏らしてしまいました。

グラウンドに出る9人だけでなく,このチームにいる全員がチームのために戦わなければいけないんだと,練習時から口酸っぱく言ってきたことが,ここにきて浸透してきた表れでした。

選手一人一人が最高な面持ちで野球をしている。
そして,そこにしっかりと結果が乗っかってきている。最高の流れです。

このチームの最終的な一年間の努力を発表する場は,再来週の11月10日と11日。
残すところ,このチームとして毎日を過ごせるのはあと2週間となりました。
この波に乗って,最後の大会を有終の美で飾れるように,残りの期間一日一日をこの子たちと全力で楽しみたいと思います。