JICA海外協力隊の世界日記

バヌアツの海と空の間で

ワークショップ

バヌアツのサント島に赴任して1年が経ちました。サント島水産局オフィスに初代隊員として派遣されたものの、特に仕事が用意されているわけでもなく、地方都市の公務員はとてものんびりでやる気に溢れていた当初は結構面食らいました。マーケットで売られている魚の量や値段を調べてデータ化したり、直接の配属先でない養殖部門の手伝いをしたりして過ごしていてこれでいいのかと悩むこともありましたが先週ようやく自分主導のワークショップを開くことが出来ました。水産局では漁協組合を作りたいという要望はあるものの、何一つ働きかけをしてこなかったので漁師にとっても加入するメリットはなく、むしろ加入することによって規制を受けたり組合費を取られたりするので水産局と関わろうとしない漁師も多い現状だったので、漁師を対象とした生活向上や知識向上を図るワークショップを開き、ボランティアとして少しでも水産局と漁師との距離を縮められたらいいな、という思いがありました。今回のワークショップは水産加工品と付加価値という題目のもと、以前から温めていた干物、燻製、さつま揚げ、の3つで授業を行い とても好評だったので端的ではありますが内容を書いていきたいと思います。

干物

サント島ではアジがよく獲れる。ほとんどの漁村には製氷、冷蔵設備がないので朝獲れたアジはほとんどクーラーボックスと氷を用意している仲買人に買われ、漁村なのにあんまり魚が食べられていなかった。そこで、生きている魚の筋肉内部には腐敗菌はおらず臓器から腐っていくので、水揚げしたらすぐにエラと内臓を取り除き、塩を使って干物にする方法を教えた。シンプルな事ではあるけど朝獲れた魚が翌日の昼頃それなりに水分を含んだ身が腐敗せずに食べられ、且つうま味があることに気づいてもらえたようで多くの人が関心を持ってくれた。また、今は漁獲量が少なくても保存ができないため毎日街まで高い交通費を払って売りに行かなくてはいけないけれど、干物にしてしまえば翌日の朝獲れた鮮魚と一緒に売りに行けるというメリットもある。

燻製

3枚に下した赤身の魚を一度煮てから燻製にするという、いわゆる「なまり節」の作り方を教えた。燻製の過程でとても乾燥するので1か月以上の日持ちができ、且つ日本人ならわかると思うがイノシン酸のうま味が出るのでスープや水分の多い料理に使える。以前、スリランカを旅行した時に、これを砕いたものをカレーに入れるという調理法を写真で紹介し、是非これをバヌアツのラップラップという料理やココナッツミルクで煮込む料理に入れてアレンジしてみて欲しいという願いがあり、保存食がないこの国の食文化に多様性が生まれたらうれしいと思う。

さつま揚げ

さつま揚げに適しているのは基本白身の魚ということになると思う。白身の魚は近海にすむ回遊しない魚で市場でもリーフフィッシュという名で売られているものの、数やサイズがまちまちでレストランや食堂で同じものを出せないので使いづらいという声があった。さつま揚げであればミンチにしてしまうので魚種もサイズもあまり関係なく使えるのでそこにメリットも見いだせる。バヌアツ人は揚げ物料理をあまりしないが、作ってみると揚げ物がとても好きみたいでどこかの食堂が採用してくれれば少しは流行るかな~、という淡い期待もある。

ちょっと硬い文章になってしまいましたが、結果として最後のアンケート記入で参加者全員からとても楽しく、勉強になった、という回答があり、近いうちにまた教えてに来て欲しいと何度も言われとても充実した2日間になりました。

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