JICA海外協力隊の世界日記

全身サモア

はじめての企画展

7月13日(金)に、サモア国立博物館では新しい展覧会がオープンしました。1972年から、サモア代表として伝統的なダンスを披露し続けている「Ausiva a Faiā'oga/Samoa Teacher's Cultural Group」という、先生たちによって組織されているグループについての特別展です。

実は私の派遣されているサモア国立博物館ではいままで、職員が企画・リサーチをして自分たちで作った企画展を開催したことがありませんでした。特別展に関しては、国外のミュージアムの持ち込み企画を受け入れてきたのみ。

私は派遣された当初から、何かひとつ題材を選んでみんなで企画展を一から作り上げようと提案していたのですが、一年半経ってようやくその願いが叶った形になりました。

元々私が提案していた企画は、展示機材が不十分なため展示できていなかった貴重なマットやタパ布を企画展で取り上げて見せるというものでしたが、展覧会を作るための調査費用が博物館の母体から出ず頓挫…しかけたときに、オーケストラやパフォーミング・アーツ押しの現在のACEOから「例えば〜」と提案されたのが、このグループに関する展示でした。

本当に展示にできるかどうか検討したところ、正式な記録はほぼなく、70年代に主要なメンバーだった方々の多くは既になくなっていましたが、それもあって、もしやるなら早いうちがいいだろうと3月くらいから企画展の開催を猛プッシュしました。

案の定、企画展を実現にこぎつけるためのプロセスは大変で、どうにか「自分たちの展覧会(題材は他者だけど)」と認識してもらうために話し合って仕事を振り分け、すべてフォローアップをし、リサーチのためにインタビューをして様々な方に会い、展覧会の方針を提案して、フォローアップしても現地の職員がやらないもの・専門的な監修が必要なものに関して(ていうか蓋を開けてみるとほぼすべて)は、私がドラフトを書いて完成するまで現地の職員と一緒に高めていくという作業を1-2ヶ月間ずーっとやっていました(あとデザインワークなども…)でも、こんな突貫工事で展覧会をつくったのは、はじめての経験となりました。笑

でもまあなんとか、開催できてよかったね。

サモアではオープニングセレモニーが華々しく行われますが、この企画展も例外ではなく。発注したものが中々届かなかったせいでオープニング当日まで設営をするはめになったのですが、現地の博物館職員はセレモニーの準備(お花のデコレーションなど)に手一杯で手伝ってくれず。私が展示を手伝ってと言っても、セレモニーの準備が上司からの命令なので手伝えず。これオープンしないかもな…と前々日くらいに思いはじめて、オープン前日・前々日には他の場所に派遣されているボランティアのみなさんも手もお借りしてしまいました。本当に助かりました、ありがとう!

蓋をあけてみるとオープニングは大成功で、ダンスグループのOBでこの展覧会の制作にも協力してくれた方たちの挨拶があったり、現在のメンバーによるダンスの披露があったり。準備した席も、セレモニーの中盤になると超満員になりました。

展覧会のオープニングというよりは、ショウに近い構成になって、かなり驚きましたが。笑

何よりもメンバーOBが再び集まって、思い出を語り合ったり旧交を温める場をつくることができてよかったなあと。インタビューなどでお世話になった方々は総じて楽しそうだったので、実際に人に見てもらってはじめて、やってよかったなあと思ったのでした。

サモアにおける伝統的なダンスは、動きやリズムに様々な営みが反映された、まるで文化のミクロコスモス!と今回調べていて思ったのですが、それを国の代表として必死に練習して披露し、時には革新的な振りや曲、コラボレーションに挑戦してきたメンバーたち。

今までその活動について公式にまとめられたこともなく、おそらく話に聞いてグループの歴史や多くの先人たちについては知っているけれど、自分が関わっているものの過去から現在については、なかなか一同に捉える機会がなかったのではないでしょうか。まあそういうわけで、小さなカタログを作って記録を残そうとしているところです。

同僚たちにはこの企画展を作り上げた経験をもとに、私がいなくなっても自分たちでどんどん展覧会を作っていって欲しいなーと思っているのですが、ちょっと今回は大変すぎたために、もう嫌になっちゃうんじゃないかなと、密かに心配しているのでした。笑

まあでも、他者のことをどうほかの人に伝えるかなんて大変なこと、大変じゃないわけないだろ、と私は思っていつも仕事してるんですけどね。

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