JICA海外協力隊の世界日記

全身サモア

手仕事をならう

去る8月9日(水)から11日(金)にかけて、サモア国立博物館では "Vocational Workshop"(職業訓練ワークショップと訳すと硬くなりすぎますが)が行われました。元々5月下旬に開催予定でしたが、諸々の理由で5回ほど延期・日程変更になりようやく開催にこぎつけたこのワークショップ。。

博物館が毎年行っている企画であり、今回はポスター作成やその他諸々のお手伝いをしました。クラフト製作の職業訓練として、今回レクチャーをお願いしたのは、サモアでは "Lalaga(ララガ)"と呼ばれている、編み物によるファインマット作成と"Siapo(シアポ)"というタパ布(樹皮布)の二つ。

ファインマットとは、パンダヌスという植物の葉を細かく裂き、半年から一年以上もかけて編まれるマットのことで、結婚式をはじめとするサモアの儀礼において交換財となる重要なクラフトです。

タパ(bark coth)は、サモアだけでなくオセアニア、メラネシア、ミクロネシア地域で生産されている主にカシの木から作られる紙のような布で、布の上に様々な模様が施されています。昔はラバラバ(腰巻き布)などとして日常生活でも用いられていました。現在はインテリアや、お祭りで踊る時にしか使われていないようですが…

講師は同僚の知り合いというゆるさでしたが、村の女性たちはコミッティを作ってファインマットやタパを生産し、交換経済を支えたり、お土産物として売ることで現金収入を得たりしています。

今回ワークショップに参加したのは、AveleカレッジとLeifiifiカレッジの中高生約30名超。一連の製作工程をじっくり見たあと、ファラぺぺと呼ばれる、ファインマットの中でも赤ちゃん用の小さいマットの製作と、タパ布の色つけをみんなで行いました。

30名も学生がいると、おしゃべりやセルフィー撮影に興じたり、変なちょっかいを出してきたりする子ももちろん出てくるのですが、進んで体験したいと講師に申し出たり、色々な質問をしたりと真剣に参加している子が印象的でした。村の生活では、女性から女性へと継承される技術ですが、博物館で行うと男子学生が参加しやすいというのもいいですよね。

今回、ミュージアムでワークショップやるよ〜といってサモア国立大学へ遊びに行った時にお誘いしたのが、普段はニュージーランドのオークランドに住む研究者のダニエルさん(ヴァンパイアの表象研究をされています)

ダニエルさんもニュージーランドで編み物をされているということで、色々と持ってきて見せていただきました。FlaxやKeikeiといったニュージーランドの植物で編まれた繊細な作品の数々。

色はケミカル着色らしいですが、実はサモアでも最近、現代的でカラフルなデザインのマットを作っている作家がいて、実は密かに手に入れたいなと思っていたりします。

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