コンピュータと絵本(北橋隊員は帰国しました。)

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北橋 雅子
(福岡県)

ボランティア/職種
シニア海外ボランティア
コンピュータ技術
派遣国
アフリカ
モザンビーク マプト州マプト市
一言メッセージ
大学でコンピュータ技術を教える傍ら、小学校等で日本の絵本の読み聞かせをしています。

 

コンピュータと絵本プロジェクト3

2018.06.08

活動

 前回のブログで書いた1年生の授業の他に、2年生を対象として、ゲームプログラミングのプロジェクトをやりました。このブログで紹介した、3つの昔話をWeb絵本にして、大学のサーバーで公開し、そこに、簡単なゲームを載せよう、という目標に向かってやってみました。HTMLJavaScript を使って、プログラミング初心者でも、簡単なゲームをつくることができます。

 去年教えた年生の中の、優秀な学生に声をかけたのですが、去年の年生は70人いて、私の特別授業に合格したのは、10人に満たなかったのです。さらに、その中で、このプロジェクトの内容を理解できると思われる学生は5人しかいませんでした。その5人の中の特に優秀と私が判断していた2人が、2年生のクラスに登録していませんでした。これは、ショックでした。授業料の問題か、それとも、他の大学へ移ったのか、理由はわかりません。

 他の学生が参加するのも拒みませんでしたが、彼らは内容を理解できないので、結局脱落しました。実質3人のためのプロジェクトでした。1人が脱落して、最後までできたのは2人でした。でも、この2人は、オリジナルと呼べるゲームを作成することができました。これは、大きな成果です。この成果を、学部長や先生達に見せると、彼らは驚くとともに、とても喜んでくれました。上の写真は、最終発表会での記念写真。

 先生達は、いくら教えても学生が理解しないので、やる気を失くしているし、どう教えればいいのか、わからないのです。モザンビークでは基礎教育体制が整っていないので、基礎学力が十分でない学生がたくさん大学に入ってきます。基礎がない学生が、大学の授業についていけないのはしかたがない、と言ってしまえば、それまでです。もうひとつ、大きな問題があります。それは、評価の仕方です。学生の実力を評価する術がないのです。学生自身も自分の実力を把握していない、と言っていいでしょう。

 どうしてそうなのか、ここで詳しい説明は省略します。とにかく、私としては、まず、学生の実力を把握すること、そして、優秀な学生に学ぶ機会を与えること、これが今、この大学、この学部に必要なことだと、訴えました。もちろん、この訴えはスルーされました。いくら言葉で説明しても、それだけではわかってもらえないのです。だから、優秀な学生に、その実力に見合った課題を与えれば、大きな成果が得られることを見せたかったのです。最後に、その成果を見せることができて、本当によかったです。

 Web絵本とゲーム、そして、プロジェクトで使ったいくつかの教材を、大学のサーバーで公開し、このプロジェクトを続けたい、と学部長も先生達も言ってくれました。

 さて、今年の年生はシステム管理コースが2クラスで70人、ソフトウェア開発コースが1クラスで30人、合計100人です。私の特別授業に合格したのは、システム管理コース22人、ソフトウェア開発コース18人でした。去年より合格者の割合が増えているように見えますが、これは、テスト準備を去年より入念に行ったからだと思います。学生の実力を把握するのは難しいです。そのために、テストをつくるのですが、そのテストが、本当に学生の実力を示してくれるのか、実力とは何なのか、今も考え続けています。実力を知るためのテストだったのですが、学生の実力に見合った課題を出すための情報収集でもありました。その試行錯誤は終わらない取り組みです。

 クラスの中の学生の実力差はかなり大きいです。いっしょに学ぶのは無理なレベルです。だから、優秀な学生には特別な機会を与える必要があると、強く感じました。

 ゲームプログラミングプロジェクトの成果は認めてくれた先生達ですが、私のこの感覚、「学生の実力を把握することの重要性と、それに見合った課題を与えることの必要性」を共有してくれているとは思えません。これに共感して、いっしょにがんばってくれれば、明るい未来が見えるのではないかと思うのですが、残念ながらそこまで持っていくには、もっと時間が必要でした。

 ただ、やる気を失くしていた先生達の目に、輝きがもどったような気がするので、このプロジェクトをきっかけとして、後任ボランティアとともに、新たな道を模索してくれれば、と思います。