2018/01/23 Tue
文化
モザンビークの昔話2
日本語クラブでリーダー的な役割を果たしてくれるロザーナが、素敵な絵を描いてくれました。「月の娘」というタイトルは、かぐや姫を連想させますが、バッファローやしまうまが出て来るところがアフリカ的です。この前の「ねずみと猟師」もそうでしたが、突っ込みどころ満載の納得できないお話です。でも、そこが面白いのかな。
月の娘
ある夜、月の娘が髪をすいていた。それを男が見ていた。
月: おまえ、そこで何をしている。
男: ああ、お月様。あなたの娘と結婚したいんです。
月: そうか。娘を絶対に働かせないと誓うなら許してやる。
男: わかりました。誓います。
男は、娘を連れて家に帰った。
男: 母さん、姉さんたち、ただいま。
母: おかえり。おや、その娘は?
男: 僕はこの人と結婚します。この人は月の娘だから、
絶対に働かせないで下さい。
姉1: ええ! 働かないでどうするの。
姉2: どうしてそんな娘と結婚するの。
姉3: 働かないなんてひどいよ!
男が出かけていない間、女たちは毎日川で洗濯をしていた。
姉1: 今日もこんなにたくさん洗濯物がある。
姉2: どうしてあの娘は働かないんだ。
私たちがこんなに大変なのに。
姉3: あんた、ちょっと手伝ってくれないかなあ。
娘: だめです。お母さんが働いちゃだめだって。
姉3: そんなのおかしいでしょ。
ほら、こっちへ来て。手伝って。
娘: わかりました。でも、恐ろしいことが起こりますよ。
娘が川で洗濯をはじめると、川の底から大地が盛り上がって娘を呑み込んでしまった。姉たちは、驚いて逃げ帰った。
男: どうしたんだ?
姉1: 嫁が大地に呑まれた!
男: なんだって?
姉2: 洗濯を手伝わせたから。
姉3: こんなことになるとは思わなかったの。
男: ううん、しかたない。お月様に助けてもらおう。
男は月に助けを求めた。
男: お月様、すみません。
姉たちがあなたの娘を働かせてしまいました。
だから、大地が娘を呑み込んでしまいました。
月: だから、働かせるなと言ったのだ。
別の夫を見つけなければ。
男: え、別の夫ですか。そんな、ひどい。
月はバッファロー、しまうま、そして亀を呼び、娘が呑み込まれた場所へ導いた。まず、バッファローが娘に呼びかけた。
バッファロー: どうか私と結婚して下さい。
娘: バッファローは嫌いよ。
あなたの角は大きすぎて怖い。
しまうま: どうか私と結婚して下さい。
娘: しまうまは嫌いよ。あなたって白黒だから。
私カラフルな方がいいの。
亀: どうか私と結婚して下さい。
美しいドレスとケープを約束しますから。
娘: ああ、亀さん、あなたと結婚するわ。
娘は大地から解放されて外に出てきた。そして亀と結婚し幸せに暮らした。
この絵では、どう見ても亀には見えないけど、ロザーナのイマジネーションで、亀の王子様と月の娘のハッピーエンドってことのようです。
SHARE