JICA海外協力隊の世界日記

速達!ホンジュラス

人と、家族との距離

同僚の先生から生徒まで「日本では1人しか子どもを産めないよね?」と、よく質問してきます。「日本では何人でも産めるよ。」と答える度に、5人兄弟、8人兄弟と話してくれる生徒達。街を歩けば、若いお母さんらしき人とくっついて歩く子ども達の数々。少子化の日本では滅多に見かけない光景です。

しかしながら出産を取り巻く現状は想像がつかない程、厳しいと感じます。若年妊娠は多く、宗教上の理由から如何なる理由でも中絶を許されず、出産設備が整っていないこと、学校での性教育も十分とは言えません。それでも、今日は「人、家族との距離」について綴ります。

よく「一度出会ったら友達、一度その家へ行ったら自分の家であり家族」という、「いつでも」受け入れて歓迎する心は、赴任当初はなかなか馴染めなかったものの、今ではすっかりその温かさに甘えることが出来るようになりました。人懐っこい人々は、一言で言い表せない程、寛大で優しいと思います。確かに時々ある類の偏見はあるものの、子どもから大人まで「来る者拒まず」という心の広さに、活動中も日々の暮らしの中でも助けられていたと思います。

ここの習慣から結婚するカップルは少なく、大概が事実婚であり、また異母兄弟も多かったり、母子家庭ではあるものの両親や親戚と協力して生活したりと、家族の形は多様であり複雑です。それ故に学校で子どもの情緒が不安定…という問題等もありますが、それでも家族間の絆を日本にいるときよりも感じます。子ども達がよく「お母さんが好き」」と「家族が一番」と喋りに来てくれる事、兄弟姉妹間の面倒見の良さやその繋がりを強く感じたりする事が多く、これはどこから来るのでしょうか?

他にもスペイン語独特の面白さで、夫婦間の呼び方や親しい相手への呼びかけが「amor(あなた)」「Cariño/a(愛しい人)」「Gordo/a(直訳すると、ふとっちょ)」等、バリエーション豊かです。勿論、自分の息子や娘への呼び方も同等に種類が多く、相手に直接愛情ある言葉をかけるのが日常的です。初めは聞くのも言うのも小恥ずかしかったのですが、家の中のみならず職場の同僚同士でも、至る所で聞いていると「それが普通」と思えてくるのは、文化の違いだとヒシヒシ感じます。

さて、話しは変わって、ホンジュラスでも携帯電話が普及している事より、四六時中メールをしている光景は、家でも公園でも学校でも見かけます。学校では「携帯電話持ち込み禁止」のルールがあるのに、こっそり?メールをしあう光景には呆れてしまいますが、コミュニケーションを取りたい気持ち・ソーシャルメディアで繋がっていたいのは、世界中同じ現象かと思います。一方で断水、停電、コンクリート舗装されていない道に馬も牛も歩くという、まだまだインフラが完備されていない現状の中、wifiを完備する公園や携帯電話の使用を便利にする整備を優先させている状況に、少しちぐはぐな気持ちになります。

様々なコミュニケーションの仕方がある中、この国の「人と人の距離」が近い理由は、家族間の愛情から来ているのと、キリスト教の教えから来ているのかなと、この2年間で私は感じていました。

TKMTe quiero mucho(君がとっても好き)」という単語をこれまでに何百回、学校でも聞いたでしょうか?子どもから親へ、親から子へ、友達同士で、そして時折生徒が私へも伝えてくれる。「君が好き」だなんて言い慣れない私にとって、子どもから大人まで恥ずかしがることなく伝える事が出来る事、挨拶で頬にキスしハグする事が、この国では【普通】であっても、言葉は魂だから。習慣が身になるから。言葉からも愛情深い性格が作られているのだろうか?と考えながら、最後に、ホンジュラスの人々へ感謝の気持ちも込めて伝えたいと思います「T・K・M」

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