JICA海外協力隊の世界日記

ボールが繋ぐ日本とアフリカ ~Enjoy Football~

ミュージックフェスティバル 後編

ウチの生徒20人がステージに上がる。
数百人の目線が一斉に彼らに注がれる。

初めにリーダー格の生徒がスワヒリ語で一言。
「カカメガ更生学校です。今から私たちは日本の伝統ダンスを披露します。タイトルは?(みんなに呼び掛ける)」

生徒みんなで
「So-ran bushi ソーラン節 So-ran bushi ソーラン節」

リーダー格の生徒
「皆さん私達のダンスを楽しんでもらえたら嬉しいです」

他の生徒
「Kamae!! 構え!!」

ダンスまでのこの流れは全部生徒達自身で考えたもの。
私が狙いとしている自主性の進歩が垣間見えた瞬間で少し鳥肌が立った。

構えのモーションもバシッと決まり、後は普段通り見守るだけ。

約4分間の演技が始まる。
最初の数秒で私の心配は杞憂に終わった。
なぜなら普段より声は出るわ、動きは揃っているわ、細かいところを言えば修正点はあるけど、彼らの今できるベストのパフォーマンス。

ダンスの中盤で

「ヤー!」

と気合を入れて叫ぶところがあるんやけど、そこの声出しも完璧。
小刻みにジャンプするパートでは、動作が激しすぎて床が抜けると思ったほど(笑)
(観客の悲鳴が少し聞こえた(笑))

最後まで集中力を切らさず、会心の演技だった!
演技後は会場から万雷の拍手。先生という立場ではなく、一観客として彼らに拍手を送った。
それくらい素晴らしかった20人の生徒達。正直結果には期待していなかったし、彼らの会心の演技にお腹一杯だった。

それから他のチームが演技し、時間もだいぶ遅かったため生徒はカウンターパートに頼み先に学校に帰すことに。
結果発表が行われたのは夜8時頃。

他の学校の点数が100点満点で次々に発表される。

〇〇 School 60点
△△ School 65点



「カカメガ更生学校、、、、、、、、80点」

うおー!!まさかの高得点!!
80点超えの学校がまず少ない中、まさかの好結果。
おそらく全国4位!!


お世辞にもそこまでレベルの高いパフォーマンスではなかったが、評価されたとしたら彼らの大きな声から感じる気合と熱気(笑)

はるばる遠くから応援に来てくれていたJICAの調整員や青年海外協力隊の仲間からも

去年ダンスがバラバラだった時から見てるから、凄く感動した。」
「何より気合を感じた!」
「一生懸命やっている姿をみてたらじーんときました」等々

その後、夜の学校に戻り生徒に結果を伝えると意外にも、、(笑)

「優勝じゃないのか」
「4位ってどうなの?良いの?」

など、自分達の立場を考えない発言ばかり(笑)
この図々しさが彼らの強みと言えば強みだが、、、



とまあそれは置いといて、彼らは本当に良く頑張ったと思う。

一つのことを継続することが苦手な彼ら。
時には厳しい指導により生徒が泣いてしまうことや練習に来ないといったこともあったけど、今では全て良い思い出。

この経験は生徒の今後にどれだけの影響があるのか?
正直分からないし、直接的な影響はおそらくないだろう。
あるとしたら内面的な変化。

大観衆の前で何かを披露した度胸。
全国大会に参加したという経験。
一つのことに打ち込んでマスターしたという忍耐強さ。
自分達で一部のダンスのアレンジをした自主性。

他にもいろいろあるやろうけど、この経験が彼らの人生の新たな可能性を生み出すきっかけとなればそれ以上のことはない。

ミュージックフェスティバルに出場すると決めてからの約3カ月。
長いようで、終わってみれば怒涛のように過ぎていった期間だった。

ふと気付いたら自分の任期もあと2ヶ月ちょっと。
最後まで生徒の自主性を育むことにこだわって活動していく。

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