JICA海外協力隊の世界日記

タラワの宝

毎週金曜日はマーケットの日

今日のテーマは、今年に入ってから挑戦しているマーケットの開催についてです。以前もご紹介したように、ベシオ町役場ではごみ減量の取り組みの一環として、枝や葉などの「庭ごみ」をリサイクルし、コンポスト(土壌改良材)を作っています。キリバスのほとんどの島々はサンゴ礁由来の痩せた土壌であり、野菜を育てることが難しいという状況があります。ベシオ町役場のコンポスト事業は、このような問題を解消することができる可能性を秘めた取り組みであり、住民の期待度も高いです。

一方で、役場内でのこの取り組みの存在感は、残念ながらそれほど大きなものではないと感じてきました。それは、この取り組みの作業員さんがずっと一人で作業をしており、何とか体裁を保っている状況であることからも見て取れます。何とかして、この前向きな取り組みに、役場内外の人たちにもっと関心を持ってほしい。これまでの一年間と少しの活動の中で、そんな思いをずっと胸に抱いていました。

そこで、少しずつ挑戦していたのが、マーケットの取り組みです。マーケットとはいっても大規模なものではなく、単に役場正面入り口にボロボロのテーブルを持っていき、そこに野菜を並べただけなのです。しかしこれが思ったより効果があり、これまで収穫されないまま腐っていく運命だった野菜たちが、オープン直後に即完売するようになりました。日によっては、「ある野菜を全部売って!」と言われたり、近所の中華レストランから注文が入ったりすることもあります。

収穫の有無に左右されてしまうものの、「毎週金曜日はマーケットの日!」を合言葉にできる限りオープンし、運営側へもお客さん側へもイメージの定着を試みています。このような取り組みの積み重ねにより、有機ごみリサイクル事業の存在感をアピールし、予算の確保や事業拡大などに有利に働けばよいなと思っています。

マーケットに関して、最近嬉しかったことがあります。これまで、マーケットの開催は私が来るまで待ってくれていました。それは逆に言うと、自分たちだけではやってくれないということであり、少し悩んでいました。しかし、あるとき私が体調不良で入院してしまい、金曜の活動に行けないことがありました。そのときは病院のベッドに横たわりながら、「マーケット、今日は開いてくれていないだろうな・・・」と落胆していました。しかし、翌週役場に行くと、「おうナルミ、先週は来なかったじゃないか。マーケット?そんなの自分たちで開いたよ、ナスが10本あっという間に売れていったぞ」と作業員Aさんから報告を受けたのです。

残りの活動期間はあと約8ヶ月。ほんのちょっと寂しい気分になったのは、活動の終わりが少しずつ見えてきたからかもしれません。マーケットの取り組みは、今後も改良を加えつつ継続していきます!

(おわり)

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