JICA海外協力隊の世界日記

タラワの宝

名前がいっぱい?キリバスの自己紹介

Mauri(こんにちは)! 今日のテーマは、日本とちょっと違うキリバスでの自己紹介の仕方についてです。日本で自己紹介というと、場面にはよりますが、以下のような感じになるでしょうか。

【写真:配属先での自己紹介の様子】

「皆さん、初めまして。青年海外協力隊の工藤成美と申します。出身は北海道です。どうぞよろしくお願いします。」

さて、キリバスの人たちは、初対面の人にどのように自分を知ってもらうのでしょうか?同僚の自己紹介を元にご紹介します。

「皆さん、こんにちは。私の名前はメーリアです。母の名前はアニータ、父の名前はアマノノです。出身はブタリタリ島です。私は内務省の職員です。ありがとうございました。」

【写真:どんなに人数が多くても必ず全員が自己紹介。この日は停電だったので、外でミーティングです】

このように、キリバスでは自分の名前だけではなく、両親の名前も一緒に紹介するのが一般的です。同僚に理由を聞いてみたのですが、「理由もなにも、そういうものだからね」「みんな同じようにしているから・・・」という反応で、特に何かを意識して紹介しているというわけでもない様子です。しかし、一人の同僚はこんな話をしてくれました。

「中には両親だけではなく、夫や妻の名前、そして子ども全員の名前を紹介する人もいるよ。自分の周りにいる親族みんなの名前を紹介しちゃうんだ。だって自分が初めて出会う人でも、他の身内とはもう知り合いかもしれないからね!」

私のこれまでの体験から思うに、キリバスの人たちは自分の家族や親族のつながりをとても大切にしています。例えば同僚の女性とお昼休みに通りを歩くと、親族だという人が次々と彼女に声をかけ、他愛のないおしゃべりが始まります。時には時間通りに帰れなくなってしまうことも・・・。また、誰かが病院に入院することになった場合などは、パンダナス・マットを抱えたたくさんの家族や親族が病室に押し寄せ、一緒に寝泊まりして看病します。

このように、家族や親族の結びつきの強いキリバスの暮らしでは、彼らの名前を一挙に紹介し、「あ~、あの人の親族か!」と思ってもらうことが、自分を知ってもらうのに一番の自己紹介の方法なのかもしれません。

また、多くの人が自分がキリバスのどの島の出身なのかについても触れます。一つの国とはいえ、赤道直下に散らばった33の島からなるこの国では、自分が生まれた島、「ホーム・アイランド」は大切なアイデンティティーの一つになっているようです。

【写真:新職員を迎えた日は歓迎パーティ「ボータキ」が開かれます。洗面器にいっぱいの料理をみんなで持ち寄ります】

ところで、外国人ボランティアの私はどのように自己紹介しているかというと、今のところは次のように話すことにしています。

“Kam na bane ni mauri!

(カム ナ バーネ ニ マウリ/みなさんこんにちは!)

Arau Narumi Kudo.

(アラウ ナルミ クドウ/私の名前はナルミ・クドウです)

Arau tinau Norika, Arau tamau Takashi.

(アラウ シナウ ノリカ、アラウ タマウ タカシ/私の母の名前はノリカ、父の名前はタカシです)

Kain Hokkaido, Tiaban. 

(カイン ホッカイドウ、サベン/日本の北海道からきました)

I mwakuri n te MIA. 

(イ マクリ ン テ ミア/私は内務省で働いています)

Ti ngaia, kam bati n rabwa!” 

(シ ンガイア、カム バシ ン ラバ/以上です、ありがとうございました!)

日本にいる両親の名前を紹介しても、当然キリバスでは誰も知りません。私の「ホーム・アイランド」である北海道も、まったく有名ではないかもしれません。しかし、少しでもキリバスの人たちに親しみを感じてもらえればと思い、ここでの習慣に従うことにしています。

次の目標は、私なりにもっとキリバスの習慣を取り入れ、「私の上司は○○さんで、私の同僚は△△さん、お隣のデスクは□□さんで、その隣は・・・」などと周りの人の名前をたくさん紹介できるようになりたいな、と思っています!

(おわり)

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