JICA海外協力隊の世界日記

まるタイ日記

大物

タイの中高校が学校の名誉と誇りをかけて闘う「シンラパハッタカム」の時期がやってきました。これは、タイ語で「総合芸術大会」という意味で、毎年10月から翌年1月くらいにかけて、タイ語、数学、社会、科学、コンピューター、音楽、美術、外国語など、ほぼ全ての科目でコンテストがおこなわれます。今年はこのシンラパハッタカム南部大会が、スラーターニー県で開催され、県大会を勝ち抜いた生徒たちが一堂に会しました。もちろん、日本語のコンテストもあります。12月19日の種目は、①県の観光ガイドと、②環境保全についての作文、20日の種目は、③一枚の絵から話を作る、④日本昔話の劇でした。(写真1は③と④の生徒)

ウィチェンマトゥの生徒たちは、裏打ちのない自信と余裕がみなぎる「大物」ぞろいなので、本番ギリギリになるまで全く焦りません。というのも、トランで日本語専攻を開講しているのは、ウィチェンマトゥ学校だけなので、生徒は県大会を経ずに南部大会に進出できる恵まれた環境に甘えがちなのです。でも、わたしは生徒が努力せずに負けるのは嫌でしたので、ほかの上手な学校の発表動画を見せて競争心を刺激したり、学期休みも呼び出して練習させたりして(写真2)、できることは全部させました。

今年はそんな指導の甲斐あってか、観光ガイド部門の2人の生徒(写真3)は、休み時間や放課後も、正しいイントネーションで流暢に話せるまで、自主的に何度も繰り返し練習していました。初めのころは読むのに10分かかっていた原稿も、本番までにはばっちり覚え、テンポよく5分で発表できるようになりました。
本番で、観光ガイド部門は100点中88点をとり、南部大会5位でした。3位以内に入れなかったため、惜しくも全国大会進出は叶いませんでしたが、生徒は「楽しかったから、また来年も観光ガイドをやりたい」と言ってくれました。一生懸命練習し、自分で上達を実感できたことに、自信と喜びを感じられたようです。勝ち負けを越えて、生徒の中に何か残るものがあったのならば、わたしも教師としてうれしいかぎりです。

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