JICA海外協力隊の世界日記

まるタイ日記

学校訪問

約1週間のムクダハン滞在で、日本語教育を実施する3つの学校を訪問しました。7月25日は、JOCV(青年海外協力隊、2016年度4次隊)が活動中の、ムクダウィッタヤヌクン学校(1枚目の写真)です。この学校では、携帯電話をいじっている生徒が一人もおらず、みんな勉強熱心でした。わたしが一番感心したのは、先生に会うと、生徒はもれなく全員が深くワイ(合掌)をして、教師にあいさつすることです。たとえ、遠くにいても、先生の姿が見えると、丁寧に手を合わせて敬意を表します。一方、ウィチェンマトゥ学校では、先生とすれ違っても、まるで気づかないようなふりをして、あいさつしない生徒が多いです。ですから、ムクダウィッタヤヌクン学校に、先生を敬う礼儀正しい生徒がたくさんいて、うらやましく思いました。この学校は、家庭が経済的にきびしく、親が出稼ぎにいったり、片親だったりして、家族とあまりいっしょに過ごせない生徒も多いそうです。そのぶん、生徒たちは将来家族の助けになりたいと、勉学に励んでいるようでした。
ちなみに、毎週火曜日はタイ衣装の日で、写真のように、生徒たちがピンク色の服を着ます。タイの衣文化を学校生活に取り入れることができますし、全校も明るく華やかになります。ウィチェンマトゥ学校でも、ぜひ、「バティック(タイ南部でよく着られるろうけつ染めの布)服の日」をつくってほしいものです。

7月26日は、ムクダハン学校を訪問しました。ここは、約2年前から日本語教育が始まった学校で、中学1年生から高校3年生まで445人の生徒を、タイ人の先生が一人で教えています。中学生にはローマ字で簡単な会話を教え、高校生になってから日本語の文字を導入するそうです。この日は、中学2年生と3年生の3クラスの授業を見学しました。1クラスが生徒40人前後なので、一人ひとりに発言させたり、反復練習させたりすることが難しく、語学の授業をするには生徒が多いように感じました。ウィチェンマトゥ学校は生徒50人に対して先生3人。一方、ムクダハン学校は生徒445人に対して先生1人。なんだか、すごい差です。その中でも、タイ人の先生はがんばって教えていて、わたしも何かサポートできることがあればと思いました。
7月27日は、プリンセス・チュラポーン・カレッジ・ムクダハン(2枚目の写真)を訪れました。ここは、わたしが2年半ほど前に半年間、国際交流基金の“日本語パートナーズ”として活動していた学校です。当時は中学1年生と高校1~3年生を教えていましたが、高校生はみな卒業してしまい、現在残っているのは中学1年生(現在、高校1年生)のみです。当時まだ小さかった教え子たちがもう高校生だなんて、不思議な気持ちですが、生徒たちの顔は当時のままで、体だけが少し大きくなっていました。午前中、授業見学をさせてもらいましたが、100分授業のうち、最後の25分くらいが余ったので、その時間を使い、むかし教えた「ごあいさつのうた」を歌いました。驚いたことに、生徒たちは歌詞やメロディーをよく覚えていて、「おはよう~おやすみ~こんにちは~」と元気よく歌ってくれました。簡単な歌ですが、生徒の中に残るものを教えることができたと実感し、うれしくなりました。
古巣の学校には、この数年で結婚したり子どもができたりした同僚の先生方も何人かいました。また、教室が以前よりずっときれいに整備されていたり、新しい図書館が建っていたりと、月日の流れを感じました。

7月28日は、現国王の誕生日で祝日でしたが、来週コンテストに出る生徒に、ディクテーション(書き取り)の指導をしてほしいと頼まれ、ムクダハン学校(3枚目の写真)へもう一度行きました。生徒は、ひらがなカタカナがまだ定着していないようで、はじめは何度も間違えましたが、練習しているうちに耳が慣れてきた様子で、しだいに誤りが減り、書くスピードも速くなりました。学校に日本人の先生がいれば、もっと上達するだろうなと、彼らの伸びしろの大きさを感じました。
コンテストには辞書引きの種目もあり、規定では講談社の漢字辞書を使うことになっていますが、この学校は1冊も持っておらず、生徒たちは辞書のコピーで練習していました。コピーは、実際の辞書と使い心地が違うため、急きょ、隣県の学校から3冊を借りてしのぎました。まだまだ環境が十分に整っておらず、いろいろ大変だと思いました。
ところで、南と東北では、同じコンテストでもルールに地域差があるようです。たとえば、南では、ディクテーションの種目に出られる生徒は各校2人ずつですが、東北では3人です。辞書引きも、南では各校2人ずつですが、東北では6人ずつです。また、ディクテーションは、南では日本人が生徒の前で直接問題を読み上げますが、東北ではあらかじめ録音しておいた音声を機械で流します。
来月はいよいよコンテスト月間です。生徒たちが日頃の練習の成果を発揮してくれるよう、願うばかりです。

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