JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「芸術の初夏?!」

サンルイにて、1週間にわたって開催されたARTEXPOが閉幕した。

ARTEXPOは、Village Artisanalという職人村にて開催された。

職人村にはカーズと呼ばれる昔ながらの小屋が30棟以上並び、

その小屋では職人が木彫りや銀細工などの作品を作っている。

伝統的な洋服を仕立てる職人さんもいて、

一つ一つ作品をみて回っていると、日が暮れてしまう。

ARTEXPOでは、職人の作品とともに、

職人村全体にアート作品が展示され、

アフリカンダンス、音楽のイベントも開かれた。

ジャンべと呼ばれる太鼓が独特のリズムで会場を盛り上げた。

私は、活動先の子どもたちの作品を出展し、

開催期間中には、子どもたちと壁画制作を行った。

活動先のシテニャフ幼稚園では、年中クラスで共同制作として

切れ布を利用した作品をつくり、それを出展した。

また、世界日記でも今後紹介したいと考えている

「タリベ」と呼ばれる子どもたちとの活動があるのだが、

タリベの作品も出展した。

私が子どもたちに、

みんなで作る作品が職人村に飾られることを伝えたとき、

子どもたちはとても目を輝かせた。

子どもたちは、

職人村がどのようなところなのか、ARTEXPOとは何なのか、

分からないことの方が多かったと思うが、

海外から来る観光客の人にも作品を見てもらえるということや、

自分のからだよりも大きい布で作品を作っていくということが、

嬉しかったようだ。

この年中クラスで作ったゾウをモチーフにした作品は、

1週間以上かけて仕上げていった。

セネガルのハサミはただでさえ切れ味が悪い。

布をハサミで切る作業は、子どもたちにとって難しかっただろう。

ボンドで大きな布に切った布を貼る作業も苦戦している様子だった。

大人が手を貸してしまえば、簡単にできてしまう作業であるのだが、

先生方とともに、「手伝おうか?」と口にするのをぐっと我慢し、

見守った。

セネガルの幼稚園や小学校での図工は、以前も書いたように

お手本があり、それを忠実に再現していくことが良しとされている。

そのため、お手本に近づけるために、

先生方が子どもたちの作品に勝手に描き足したり、

修正を加えたり、塗る色を指定したり、

「指示」することが多かった。

「花は赤く塗るのがきれい」のように言う先生もいるし、

子どもの作品に対して、「それは、きらいじゃないわ」と

子どもの前で言い切る先生もいた。

しかし、今回、いつの間にか、

先生方の「指示」が減っていることに気が付いた。

観光客を始め、外部の人に見られる作品に対して、

「指示」が減っているのである。

もちろん、お手本を再現するということも「あり」なのだか、

自由に描くことも「あり」なのだということが、

自由に描くことが子どもたちの想像力を豊かにすることが、

図工を通して身につけられるものがたくさんあることが、

先生方にも伝わったのかと思い、嬉しくなった。

壁画制作は、地元の小学生やタリベと呼ばれる子どもたちも参加し、

カーズと呼ばれる小屋の壁ひとつと、

職人村の入り口の大きな壁に描かれた。

子どもたちは、壁に描くということはもちろん初めてで、

筆を使って描くこと自体初めてという子どもたちもいた。

はじめのうちは、恐る恐る描いていた子どもたちも、

緊張がほぐれるにつれて笑顔になり、

ダイナミックに描いてくれた。

子どもたちの使う色が増え、鮮やかになっていく。

静かだった子どもたちが言葉を発し、言葉が会話になり、

温かい雰囲気に包まれていくその光景を見て、

ひとり、静かに感動していた。

名前も知らない、初めて会った子どもたち同士。

そして、壁画制作という初めての挑戦。

気が付けば、笑い声が響き渡り、絵は完成に大きく近づいていた。

夕暮れが近づいていても、

私は、「もう時間だよ」と声をかけることができなかった。

このARTEXPOは、

サンルイにて活動する隊員によって企画、運営された。

現在、サンルイには、私のほかに、

コミュニティ開発隊員と服飾隊員が活動している。

これからも、

子どもも、大人も、わくわくすることをしていきたい。

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