JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「タリベと呼ばれる子どもたちのことを」

セネガルに住む多くの人が、イスラム教徒である。

町にはモスクがあり、夕日に照らされるミナレットは美しい。

町にはマドラサ、或いはダーラと呼ばれる

コーラン学校があちらこちらにあり、

子どもたちは放課後や休日になるとそこへ行き、

マラブと呼ばれる宗教指導者からコーランを学ぶ。

私が活動でお世話になっているマラブによれば、

コーランを学ぶ子どもたちのことをタリベと呼んだのが起源らしいが、

現在ではコーランを学ぶ子どもを指す広い言葉ではなく、

義務教育であるにもかかわらず小学校へは通わずに、

親元を離れ、マドラサで寝泊まりをしながら

マラブと呼ばれる宗教指導者のもとでコーランを学ぶ

子どもたちを指すことが多い。

親元を離れる理由は様々で、

両親との死別、マラブによるリクルート、

或いは、家庭の生活苦などにより両親がマラブへ預けたり、

何らかの理由で、子どもがマラブのもとへひとりでやってきたり、

1人1人事情が異なる。

タリベはコーランの勉強以外の多くの時間を、路上で過ごしている。

路上では物乞いをしたり、

道行く人の手伝いをしたり、

電気屋さんのテレビの前でサッカー中継を見たり、

ビニール袋などのゴミで作ったボールでサッカーをしたり、

昼寝をしたり。

路上で得たお金や砂糖、お米などはマラブに渡す。

マドラサによっては、マラブに渡すお金にノルマが存在する。

一日250500FCFA、日本円にして、50円から100円ほどだ。

タリベの生活の基盤となるマドラサは劣悪な環境であることが多い。

コンクリートや砂の上に直接寝ているタリベもいる。

マラリアに感染するリスクがあっても蚊帳のないマドラサも多い。

皮膚病が蔓延しているマドラサもある。

電気や水道がないマドラサも多い。

タリベは、着ている洋服を洗濯する回数も少ないし、

シャワーを浴びる回数も少ないため、

埃まみれの破れたTシャツを着ていることが多い。

靴を履いているタリベも少ない。

タリベの姿を見て、

ストリートチルドレンと思う海外の人も少なくない。

しかし、一方では、

毎日水を浴び、洗濯をし、布団で眠っているタリベもいる。

彼らの生活は「修行」の一つであり、

その中で「社会の中で生きていくこと」を学ぶのだという。

自ら道行く人の手伝いをし、人に尽くす、いわば奉公だ。

タリベの生活環境は、

コーラン学校であるマドラサによって様々である。

タリベは4歳から18歳と幅広い年齢層であり、

「劣悪ではないか」と言われる環境でも

子どもらしく伸び伸び過ごしているタリベがいる。

遊ぶことに夢中になっているタリベがいる。

現在、私はタリベの生活の基盤となるコーラン学校、マドラサにて、

宗教指導者のマラブとともに図工の時間を開いたり、

衛生指導を行ったりしている。

コーランを学ぶ時間以外の多くを路上で過ごしているタリベだけれど、

彼らにも空いた時間がある。

私はマラブと協力し、タリベの余暇支援を行っている。

情操育成の観点からの余暇支援だ。

私が日頃活動でお世話になっているマラブは、

とても親切で気さくな方で、

昼下がりはマラブのとなりに私が、というくらい、

のんびりとお話しさせていただいている。

笑顔の似合うマラブだ。

タリベと呼ばれる子どもたちのことを、

少しずつ、世界日記でも皆さんにお伝えしたいと考えています。

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