JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「気にしないで」

「気にしないで」という言葉の使い方が、

日本人とセネガル人では少し違うようだ。

日本では、例えば、待ち合わせに遅れて謝る友人に対して

先に来て待っていた私が「気にしないで。」と声をかける。

しかし、セネガルでは待ち合わせに遅れてきた友人が、

待たせていた相手に対して「気にしないで。」と声をかける。

私は、遅れてきたセネガル人の友人が

「気にしないで」と私に声をかけてきたときは、

「〝気にしないで“はこっちのセリフだ!」

「むしろ、少しは気にしてくれ~!」と

思っていたのだけれど、

だんだんとそれにも慣れてきてしまった。

こんなこともある。

子どもたちと工作をしていたとき、

ある子どもがペンで机を汚してしまった。

日本では、汚してしまった子どもに対して

「気にしないで」と声をかけるが、

汚してしまった子が私の肩をたたきながら

「気にしないで」と言った。

「気にしないで」「たいしたことないよ」と言いたいとき、

公用語のフランス語で「Ce nest pas grave.」と言う。

自分自身に「気にしないで」と言い聞かせているのか、

それとも相手に自分のミスを「気にしないで」と言っているのか、

私には、わからない。

子どもたちは、普段から「気にしないで」という言葉で

大小さまざまなピンチ(?)を乗り越えてきているからか、

失敗することを恐れない。

石橋を石でたたきながら進む子どもは

セネガルにはいないのではないかと思うほどだ。

学校の授業では、答えがわからなくても

手をあげ回答しようとする子どもたちがほとんどである。

「まずはやってみる」という子どもたちが多い印象だ。

セネガルの子どもたちは

積極的とも言えるし、自信家とも言える。

「できる?」と聞かれたら

「できる!」と答えるのがセネガルの子どもたちなのだ。

もちろん、恥ずかしがり屋で手をあげなかったり、

慎重派で「できるかわからない」と答えたりする子もいるが、

セネガルではかなりの少数派と言えるだろう。

子どもたちと過ごしながら思ったことは、

「やってみる」と積極的な子どもたちでも、いざやってみると、

「できない」「上手でない」とあきらめてしまう子が多い。

工作の時間、

作業の途中でも「できない、もういい」と離席する子どももいるし、

「できないからやってよ」と誰かにお願いする子もいるし、

「あれだけできると言っていたのに~」と思うことがしばしばある。

子どもがちょっと失敗してしまったときに、

たとえば、塗り絵で少し色がはみ出てしまったとか、

工作でまっすぐ切りたかった段ボールが曲がってしまったとか、

私は「気にしないでいいよ、ダイジョウブ!」と声をかけるのだが、

私の「気にしないで」は、なかなか子どもたちの心に届かない。

それでも、粘り強くなったなぁと思う。

私の「気にしないで」が届くことが増えたかなぁと思う。

なにかをやり遂げたときの達成感は、

子どもたちが次に何か取り組むときの自信になり、

挑戦する力となる。

「できたー!」と成し遂げたときの子どもの笑顔は輝いている。

たとえ小さな「できた」でも、それはつながっていく。

小さな「できた」が大きな「できた」に。

あきらめないで頑張る力になっていくと思う。

子どもたちの何かに夢中になる力を伸ばしていきたい。

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