JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「いただきます!」

おなかが空くだけで、イライラしやすくなるし、

おなかがいっぱいなだけで、心も広くなるし、

おいしいものを食べると幸せな気分になる。

ということで、子どもたちとの調理活動。

ここ、孤児院ではすでに、

ホットケーキ祭り、ベニェ祭り、タピオカ×マンゴー祭りを開催した。

ベニェとは、セネガルでの庶民的なお菓子の代表で、

揚げ菓子のひとつである。

そして、今日はスイートポテト祭りである。

なぜ毎回「祭り」なのかと言うと、

子どもたちがそのように言うからである。

おなかいっぱいの笑顔で、「祭りは最高」と言っているし、

調理をしながら、「次は、なに祭りにしようか?」と言う子どももいる。

「祭り」と言うだけで、気分も盛り上がるし、

子どもたちのやる気も出るし、雰囲気も明るくなるので、

私も「祭り」と言うようになった。

しかし、祭りとは言うものの、

私にとって祭りは戦いの日である。

最初の敵は、バイキンである。

子どもたちは手洗いをする習慣が身についていない上、

手の洗い方も雑である。

「それは、手を濡らしているだけだ!」という突っこみをし、

「ごしごし♪ごしごし♪」と子どもと手を洗う。

手を洗ったそばから、鼻をかいたりトイレに行ったりする子どもたちだ。

子どもたちの手についたバイキンを倒すのは一苦労である。

最初の敵を倒している間に、次の敵がやってくることがある。

それが断水だ。

断水は珍しいことではないが、

蛇口をひねって水が出てこないということは、不便だ。

溜め水を用意しておくが、蛇口のほうが衛生的である。

そして、孤児院にはつまみ食い星人がたくさんいる。

彼らこそが一番の敵である。

やっかいなのは、子どもから大人まで、

みんながみんなつまみ食い星人なのだ。

「食べる分がなくなるよ!」と日本語で言う始末。

茹でてもいない、生のサツマイモを笑顔でかじっている

つまみ食い星人を発見したときは言葉を失った。

たくさんの敵がいるけれど、私は調理活動が好きだ。

食べるのも好きだし、みんなで作るのも好きだし、

それに、たくさんの遊びと学びの要素が詰まっている。

例えば、ホットケーキ作りのときに、

ホットケーキ粉と卵、牛乳を混ぜるときには

あえて子どもたちには手で混ぜてもらった。

混ぜる作業で、見た目の変化、

柔らかさや温かさなどの感触の変化、

水分(牛乳)の量の変化で、丸められるようになるなどの

カタチの変化も

たくさんのことを楽しんでもらおうと考えた。

セネガルでは、

粘土で遊ぶ機会も砂場などで遊ぶ機会も少ないためか、

子どもたちは感触遊びを楽しんでいるようだった。

もちろん、調理器具の名前や使い方を知ったり、

材料をフランス語(公用語)で言ってみたり、

量を計るときに計算してもらったりするなど、

学びの要素もたくさんある。

孤児院での活動は、授業ではないし、

私は彼らの家にお邪魔している立場なので、

アトリエ・ジビ(私の活動)は自由参加だ。

だから、先生・児童の関係でもない。

私は、たくさんの弟と妹をもったような気でいるし、

スタッフに対しては、年の近い親戚のような感覚だ。

調理活動でつくったものをみんなで食べるときは、

いつも「大家族」を感じている。

私は、ここでの人間関係がとても心地よい。

活動として、支援する側と支援される側ではあるのだけれど、

もっと自然な人と人の関係を感じている。

年上が年下の面倒を見て、

勤務歴の長いスタッフから

施設のことや子どもたちのことを教えてもらって、

ここでの暮らしを助けてもらって、

人と人との関係で生活している。

同じお皿を囲み、

みんなでおいしいものを食べ、

今日も笑顔で頑張ります。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ