JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「ラクダ」

季節は移って、サンルイはすっかり涼しくなった。

洗濯物も朝一でやらないと乾かない。朝晩は寒いと感じるほどだ。

日が沈むのも早くなり、

なんだか活動からの帰り道はさみしくなってしまう。

先日は、タリベたちとともに、

大工さんから分けていただいた木材の断片と釘やボンド、

油性ペンを使っての工作をした。

釘は手足に見立て、動物や人間、ロボットを作っていった。

この木材を分けてくれる大工さんは、

私の活動にとても協力してくださる方で、

木材が集まると電話をかけてきてくれる。

子どもたちが扱うことを知っていて、

釘が刺さっているものなどは除いて袋にまとめておいてくれる。

トンカチで釘を打つ音に導かれるように、

いつもより多くのタリベが集まった今回の工作では、

ボンドを厚めに塗り、その白さを羊の毛に見立てる子どもがいて、

その柔軟な発想に驚いた。

出来上がるのは羊や犬、ハイエナなど

セネガルに馴染みのある動物が多かった。

私の活動先の一つの、

タリベがコーランを学び寝泊まりするダーラには電気が通っておらず、

日が暮れてしまうと真っ暗になる。

冬はどうしても工作の時間が足りなくなってしまう。

ろうそくを灯して、小さな炎の下で工作をするときもある。

さて、釘を打たずに、

ボンドで木片をつけ、それを足に見立てるバージョンも作った。

今回は絵の具で色をつけていく。

原色を好む子どもたち。

木材に原色の仕上がりはどこか暖かみがあって、

どれも優しい作品になっていく。

だんだん寒くなってきた今の季節にぴったりだ。

絵の具で色を塗っていると、

いつの間にかだんだんとほかの色が混ざってくる。

子どもたちは、その色の変化も楽しんでいるようだった。

クレヨンやペンで色を塗るときよりも

絵の具の方がその変化がわかりやすく、面白い。

「歯を出しすぎ!」という謎な突っこみをするほど

子どもたちの笑い声が響き、笑顔が絶えない時間が過ぎていく。

1119日、セネガルではマガルトゥーバという巡礼を迎える。

セネガルにはイスラム教の2大宗派があり、

ティエスの北、ティバワンヌを総本山とするティジャンヌ派、

トゥーバを総本山とするムーリッド派だ。

(トゥーバ訪問の際の記事はこちら→http://world-diary.jica.go.jp/nishimura/culture/post_49.php )

ムーリッド派は、19世紀末にアーマドゥ・バンバによって作られた。

彼は、植民地時代にフランス政府に弾圧されガボンに追放されてしまう。

しかし、数年後にはセネガルに戻り布教活動を再び始め、

植民地から独立以降、セネガルの大統領から路上の物売りの人まで

多くの人の心を捉え、

その経済力はセネガルを左右するほどと言われている。

そのアーマドゥ・バンバが流刑から戻った日を記念して

行われる巡礼祭がマガルトゥーバで、

国内外から多くの信者たちがトゥーバに巡礼に訪れる。

このマガルトゥーバでは、なんとラクダの肉を食べる風習がある。

普段の生活ではラクダの肉を頂くことはほとんどなく、

私の任地では売られていることを見たことがない。

セネガル北部やセネガルの北に位置するモーリタニアには

ラクダがたくさんいるそうで、

そちらの方からラクダを買ってくるのだそう。

と、前書きが長くなったけれど、

今回タリベたちが絵の具で色を塗っていった作品は、

ラクダを頂くマガルトゥーバにあわせた「色とりどりのラクダ」です。

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