JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「糸と針とココナッツ」

お金がないときは、廃材利用の工作!ということで、

ペットボトルと切れ布を利用したショルダーバックを

子どもたちと作ってみた。

セネガルの布は色鮮やかなものが多く、

布の切れ端を集めて貼り合わせただけでも

とてもきれいな作品に仕上がる。

もうすぐ2年の任期を終えるけれど、

お金の重要性が身に染みるこの頃である。

日本では、子ども一人一人がクレヨンやハサミや糊を持っていて、

一人一人座れる椅子があって、恵まれていると感じてしまう。

セネガルでは、図工に必要な材料を集めるために、

とても苦労し、お金の問題がいつも付きまとう。

お金ばかりは、

「頑張ればなんとかなる」といった精神論では解決できない。

国際協力の現場で聞く「魚を与えるのではなく、釣り方を教えよ」

という格言。

たしかに、物を与えるだけではその場しのぎになってしまい、

根本的な問題解決はできないだろう。

しかし、いま、国際協力の現場にいる私が感じるのは、

「針と糸はどうしようか」ということだ。

現地にあるものを利用して、廃材を利用して、

と考えても、限界があると今は思う。

子どもの成長は待ってくれないので、

問題や課題があっても、いまあるもので

なんとかしなくてはならない。

なんとかしなくてはと悩みながら、焦りながら、

現場の先生方は保育にあたっている。

ペットボトルと切れ布でつくった

ショルダーバックを持って、お散歩へ。

サンルイには、大洋州を思い起こさせるような、

ココナッツの並木道があるのだけれど、

幼稚園のすぐ近くにありながら

お散歩で子どもたちと行ったことがなかったため、

お出かけしてみることに。

「ドームココ!」の声が響くココナッツの並木道。

子どもたちが声を上げて見つけたドームココとは、

ココナッツの子どもと言う意味で、

ココナッツの実の小さいやつをそう呼んだらしい。

子どもたちは、ドームココや木の枝や小石、貝殻、

さまざまなものを拾い、

お手製のショルダーバックの中へ。

ムッサ君は、大きいココナッツを手にしたいと、

ココナッツの木を登ろうし始めた。

ココナッツの木は足をかける枝もなく、

登りにくい木である。

それでも、必死に抱き着くようにしているムッサ君。

「がんばれ~」」とまわりの子どもたちが応援する中、

私がすこしお尻を支えるカタチで、ちょっと上へ。

ココナッツまでは遠かったけれど、

ムッサ君は満足気で、次来たらまた挑戦するとのこと。

私の任地サンルイでは、道端で切られたココナッツが売られていて、

ココナッツを食べ歩きする人も少なくない。

子どもたちもココナッツのおいしさを知っているのだ。

遊びと勉強は別と考える人が多いセネガル。

そのため、幼稚園でも自由遊びの時間のない園もたくさんある。

お散歩をしている園も聞かないし、

活動先のシテニャフ幼稚園くらい

工作を取り入れている園もなかなかないと思う。

図工の時間は、国旗の色塗りやほかの塗り絵が多く、

フランス語で色を言えるか、

国旗の色を覚えているか、

はみ出さずに塗れるか、に重点が置かれているところが多い。

トントン・パテやタタ・アミなど、

2年間いっしょに活動してきた先生方は

遊びから学ぶこと、遊びながら学ぶということを

少しずつ理解してきたようで、

工作も絵本の読み聞かせもお散歩も、

子どもの好奇心を育てるのに重要であると言うほど。

本当にそのように思っていて、

私の帰国後も活動を続けてくれるのかどうか、

私には分からないけれど、

先生方の引き出しのひとつになり、

現地に合った方法で活用してもらえたらと思う。

任地を離れるまで、残り30日。

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