JICA海外協力隊の世界日記

みんなあのねのセネガル便り

みんなあのね、「川がささやく町」

前回、馬が出迎えてくれる町「ケベメール」を紹介したが、

今日は、「ポドール」という町を紹介したいと思う。

ポドールは、任地であるサンルイから約200km東に位置している。

任地であるサンルイからは、

荒々しい大地、砂に飲み込まれそうな集落を抜けるように

長距離タクシーとミニバスを乗り継いて4時間半をかけて行く。

突然、車窓に緑が増え、農作業に精を出す人の姿が見えるようになる。

セネガル川沿いは灌漑地区として整備され、稲作も盛んな地域だ。

農業地帯を抜けると

フランス植民地時代の建物が今尚残るポドールに到着だ。

当時作られた船着き場に現在もセネガル川をのぼってきた船が着く。

ゆったりとした流れのセネガル川のように、

ポドールを行く人々の暮らしものんびりとしていた。

人々の生活は河に寄り添っているようだった。

小さな舟にのって漁をする男の人の姿、

川べりでコーランを読む老人の姿、

川に入って声を出して笑いながら遊ぶ子どもたち、

その様子を見守りながら洗濯をする女の人の姿。

川沿いを歩いていると、

カメラのシャッターを切りたくなるような場面にたくさん遭遇する。

川から吹いてくる風は日本の初夏を思い出す。

乾燥地域のポドールであるが、川沿いは緑が多い。

木陰で休みながら、町を歩いた。

ポドールの町の中は車やバイクがほとんど走っていない。

町の人の交通手段はロバか馬車である。喧騒とは無縁の町だ。

馬が地面をける音が心地よい。

木陰に座り、談笑していたおじいさんが

「アタヤを飲んでいきなさい」と、カップを渡してくれた。

アタヤとはセネガルでよく飲まれている甘い紅茶のようなもので、

地域や各家庭によって味が少しずつ異なる。

プラール語で「ジャーラーマ!」とお礼を言い、町を後にした。

ポドールから帰ろうと、来るときにバスを降りたところで

国道沿いの町まで行くバスを待つが一向に来る気配がない。

ガソリンスタンドのおじさんにバスは来るか尋ねると、

「わからない。」と言う。

国道沿いのタレジという町から、

ポドールに向かうバスが満席になったらやってきて、

それがポドールで折り返し、タレジ行きのバスとなる。

何時にこっちにバスが来て、折り返すかわからないとのことだった。

ポドールは国道からのわき道を入った突き当りに位置しており、

交通量が全くと言っていいほど、ない。

国道までは20kmほどで、灼熱の太陽の下を歩ける距離ではない。

仕方なく、道端に座ってどうしようか考えていると、

偶然トラックがやってきて、国道沿いのタレジという町まで

乗せてもらえることになった。

トラックの助手席に座らせていただき、走り始めると、

道端に人が集まり始めるではないか。

タレジの町に着くころには、荷台に12人もの人を乗せていた。

トラック運転手もプラール族出身の方であった。

「ジャーラーマ!」と握手をし、タレジの町で別れた。

セネガル人の優しさにまた触れることができ、

感謝の気持ちを感じながら家路に着いた。

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ