JICA海外協力隊の世界日記

牛vaca日誌 in PARAGUAY

記録の継続

みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは。いかがお過ごしですか?

先日とてつもない嵐がきて、収穫を楽しみにしていたマンゴーの木が根こそぎ倒れてスーパーがっかりしているアルティーガス派遣の家畜隊員、渥美翔です!

マンゴーの実が立派に大きくなって、収穫までほんとにもう少しだったんです・・・(TωT)

さてさて、前回のブログの最後に書いたとおり先日あった嬉しかったことを書いていきます(笑)

僕は活動するにあたり酪農家さんの将来の展望に重きを置いて携わるようにしています。もっと稼ぎたい人には多少の出費が伴っても乳量が上がるように、現状維持を希望する人にはなるべく省力的で出費の少ない対応策を…といったところです。

そして酪農で稼ぐためには要所要所で記録を残し、記帳していくことが重要になります。中には記録を怠るとまったく上手くいかない技術もあるほどです。

そこで、まずは記録をつけることに慣れてもらおうと簡単な乳量の記録と発情の記録を勧めてみました。でも酪農家さんたちにとっては必要性を感じられなかったようで、「何の意味があるの?」とか「時間の無駄だ」と言われたり・・・Σ(゚Д゚)

上述の「記録を怠るとまったく上手くいかない技術」はここにつながってきます。

畜産には「人工授精」と呼ばれる技術があります。これは、上手く継続できれば生産乳量に大きなプラスのインパクトを与えます。他市において適切な行程を伴った人工授精を継続している酪農家と自然な交配方法を行っている酪農家とでは牛乳の生産量に1日単位で大きな差があります。それほどに人工授精は酪農の発展に重要な存在なのです。

酪農先進国では一般化しているものの、成功率はさほど高くありません。しかしながらコストもかかるので小規模酪農家には何度も失敗できる余裕はない…。そこで重要なのはそれぞれの牛の発情周期の把握です。そしてそれを可能にするのが発情の記録なのです!牛の発情周期は大体日数が決まっているので記録さえすれば次の発情がいつか予測可能なのです!!

・・・と熱弁をふるうものの、酪農家さんたちはポカン顔(‘Д’) (‘Д’) (‘Д’) (‘Д’) (‘Д’)

ほとんどの酪農家さんに響かず、といったところでした…。

これまでの他の活動でもバシッと上手く普及されることもなかったので、「あぁ、またか。」と、興味は持ってくれても実行には至らないのかなと、机の隅に積まれた記録用カレンダーも気にしないようにしていました。でも諦められなくて会うたびに「この牛は〇月〇日くらいに発情くるよー」と教えていました。

そしてなんとなく日々がすぎ、別の用事でとある酪農家さんを訪ねました。彼女はこのプロジェクトの発足時から協力してくれている酪農家さんで、講習会や会議なども必ず出席してくれている人でした。

その人が帰り際に僕を呼びとめて見せてくれたものは、他でもない乳量の記録と繁殖の記録でした。もう絶対誰もやってくれていないと思っていた記録を一月以上も継続してくれていたのです。

僕にすごい量の記録を見せながら、嬉しそうに「どう?特に乳量の記録はもらった紙をコピーして使い続けているのよ。」「翔の言っているとおり、記録するとわかってくることがある。またいろいろ教えてね。」と言ってくれました。あまりに予想外のことで一瞬固まるとともに何とも言えない気持ちが胸にこみ上げてきました。記録の大切さを訴えて少し経ちますが、変化が目に見えなくてもちゃんと試してくれる人がいて、ちゃんと見てくれている人がいるのです。そんな人たちを大切にしたいなと思えました。

牛とぼくらの621日も残すところ80日足らず!!

任期が終わるのが先か、プロジェクトメンバーのネタと根気が尽きるのが先か、乞うご期待!!

それでは、

後程。

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