JICA海外協力隊の世界日記

牛vaca日誌 in PARAGUAY

太陽の恵みを楽しみに待ち続けたが、思わず気になってしまったこと。


一日一日、暑くなっていくパラグアイの気候が町の緑をより一層映えさせ、いよいよパラグアイが夏に向けて本気を出し始めていることを実感しています。植物たちも夏の到来を予感したのか、どんどんと花や実を結び、命を繋げようとしています。

おはようございます。こんにちは。こんばんは。ヘネラル・アルティーガス派遣、家畜飼育隊員の渥美です。

僕のホームステイ先にはマンゴー、アボカド、グァバ、パパイヤ、バナナの木があります。

それぞれのフルーツによって豊作の年があるようで、去年の夏はアボカドでした。パラグアイのアボカドは日本のそれとは一風変わっていて、上の写真のような形をしています。味は少し甘みがあり、醤油で和えたりサラダにするよりも、砂糖などをいれてデザートのように楽しむ方が合っている気がします。

木々の様子を見る限り、どうやら今年は我が家はマンゴーが豊作のようです。

弓削隊員の9月15日の記事「フルーツの楽しみ」にも書かれていますが、パラグアイではフルーツはその辺の木になっているものを収穫して食べます。僕もその恩恵にあずかり、毎日何らかのフルーツを食べている気がしますが、やっぱり夏になると大量に生ります。それはそれは大量に生ります。

本当にたくさん獲れて、自分たちでは処理しきれないほどです。

去年の今頃をふりかえると旬の初めはみんな嬉しそうにたくさん食べていましたが、気付くと僕だけが毎日アボカドを貪っていました。

最後にはみんな飽きてしまい、熟しきって落ちたアボカドを気にも留めず石ころのように踏んで行く家族もいました。

さすがにもったいないと思った僕は家族に「食べきれないなら売ったりしないの?」と聞いてみました。

「売ったりもするけど、周りの人達の庭もアボカドが大量に生るから買う人なんていないわよ。」とお母さん。

その言葉と食べられないまま腐っていくアボカドを見て、はっとさせられました。

需要を超えてモノがあふれてしまえば、その価値は自然と下がっていくのだなと実感しました。

この法則は当り前のことなのでしょうが、実際に目の当たりにするのは初めてで、肥沃な大地で元気に育った食べ物が1年中豊富に有り余っている国で育つと、食べ物への価値観は違っていて当たり前なのだなと気づかされました。パラグアイもそういった国の1つで、僕の任地に住んでいる人々はあまり食べ物に困っているという印象はありません。だからこそこのように「食」への捉え方に違いがあるのだと思います。

僕は食べ物の軽視は命の軽視と思っているので、もったいないと思いハラハラしたり、罪悪感を抱くのでこの食べ物を粗末に扱うことにはやっぱり慣れません(笑)

この様子を見て、日本は本当に特殊で異常な状況なのだと思い至りました。

自国の生産力では需要の40%も満たせないからとたくさんの食糧を諸外国から輸入しているにもかかわらず、日本は多くの廃棄食品を出しています。

人が生きる上で「食」というものは重要なものですが、日本の現状において「食」の扱いとはどうなんだろう?そして、「もったいない」や「いただきます」といった諸外国にはない言葉があることからもわからるように、日本は古くから「食」を大切にしてきましたが、現代の日本人の食べ物の扱いはどうなんだろう…。

僕は今日の日本では「食の大切さ」を感じられません。

自分たちの生産力では全国民を賄うことができず、本当は食べ物を大切にすべき状況にある日本で育っていく子供たちは、その価値を理解し大切にしていかないといけないにもかかわらず、本当に大切にしているか疑問が浮かび、少し心配になってしまいました。

日本の反対側にある国でアボカドが大量に生っただけで日本の事情を考えることになるとは思いもよらず、僕自身が日本人であることを実感しました。

さてさて、今年はマンゴーが豊作の年!今はまだ小さいマンゴーの実たちですが、間もなく手のひらほどの大きさになり、食べごろになります。実の数も去年の何倍もあろうかというところ。

食べ物を大切にする気持ちを忘れず太陽と土の恵みに感謝して、ありがたく頂きたいと思います。

そしてパラグアイの人々にも食べ物に対する日本人の感覚を伝え、またパラグアイの価値観も学びつつ、それぞれの国の食のあり方を見つめ直せればと思います。

それではみなさん

また後程。

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