JICA海外協力隊の世界日記

ベトうし日記

牛たちにおいしい水を その1

 わたしたちの牧場には飼料添加物や獣医薬品のメーカー、あるいは代理店の方がしばしば訪れて、牧場の視察や商品の紹介をしていきます。日本から来られる方もいますし、遠くヨーロッパから来られる方も珍しくありません。市場調査のためにベトナムの畜産の現状を見たり、実際に現場で働く人たちに話を聞いたりしていきます。

 ひと月ほど前に栄養学の仏人専門家が牧場を訪れ、簡易的な尿検査や飲み水の検査をしていきました。そしてそこから牛の尿が極端に濃く、また牛に飲ませている地下水が軟水で、pH5くらいの酸性であることが分かりました。

 硬度が低すぎるのも問題だそうですが、今は脇に置いて話を進めます。

 私は日本では飲み水のpHに注目したことはありませんでした。盲点でした。肉牛や泌乳していない牛は一日に30ℓ以上、泌乳牛は泌乳量にもよりますが、一日30ℓの乳を出す牛で100ℓの水を必要としています。こちらでは一日18ℓほどしか泌乳しませんが、そのかわりとても暑いのでその分より多く飲む必要があるでしょう。

 尿が濃い、これは何らかの理由で水を十分に飲んでいないということです。そして酸性の地下水。極端に酸性やアルカリ性の水を牛は飲みたがりません。わたしたちは牛に自由に水を飲ませていたつもりでしたが、実際には牛たちはおいしくない水を我慢して少しずつ飲んでいたのです。ここに来た時から牛が水をあまり飲まないなぁとは感じていたのですが、こんなに単純なことだったとは。自身の勉強不足を痛感しました。

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