JICA海外協力隊の世界日記

ルワンダかけはし通信~ブホロ ブホロ

携帯電話~その②:利用状況、利用の課題とコミュニケーションの工夫

先週半ばに待望の大雨が降りました。我が家のガードマンは雨を予想していたようで、雨が降る2日位前に庭の畑を耕し始め、雨の翌朝にイビゴーリ(=トウモロコシ)の種植えをしていました。「雨に合わせて畑仕事をするとはさすがだな」、と思いました。

さて、前回に続き、今回は携帯電話の利用状況、利用の課題及びコミュニケーションで工夫している事について紹介します!

■挨拶代わりに頻繁に利用

ルワンダ人は、よくSMSで友人同士「おはよう」「元気?」「おやすみ」というだけのメッセージを送り合います。世間話...というか本当に挨拶だけのメッセージで、初めの頃は「え、これだけ...?なんか用事があったんじゃないの?」と拍子抜けでした。どうやら、ご近所さんと道端で挨拶を交わすように、家族、友人、知り合いとは定期的に連絡を取っておきたい...という感覚のようです。

初めの頃はどう対応してよいか分からなかったのですが、だんだん彼らの感覚が分かってきたので、「メッセージは嬉しいけど、私は仕事や緊急の用事で携帯電話を使うから、電話で挨拶だけをする習慣はないんだよ。だから頻繁にメッセージを送らないけど、別に嫌いな訳ではないから、気にしないでね」と説明しています。

パーティーや結婚式の後にも、主催者は参加者へのお礼の電話やメッセージを送ります。日本で言うお礼状の習慣と通じるものがあります。

【写真①:ちょっとの合間にも携帯をチェック。イベントの様子もスマホのカメラで撮影】

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■業務でも利用

会議案内や地域のイベントのお知らせ等の業務連絡もSMSやWhatsAppで行われます。

以前から「郡庁職員は毎朝の会議開催可否や急な変更をどうやって知っているのだろう...」と疑問に思っていたのですが(日本だと前の週には翌週の会議予定が連絡されますが、ここではそんな連絡がないので)、どうやら郡庁職員のWhatsAppグループがあるらしく、そこで業務連絡が流れているようです。

「全職員が入っているのであれば、グループメッセージは相当頻繁に動いているのだろうな…」と予想されます。

【トップページ&写真②:業務で携帯電話は必須のアイテム】

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但し、会議中でもスマホをいじっている人が散見されるので、日本人の私としては若干頂けない感じがします(こっちの人々はあまり気にしていないようです)。

【写真③:会議でも発表者以外はスマホを見ている人が...】

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■携帯電話を利用する事の問題

こうした便利な携帯電話ですが、課題も幾つか見られます。携帯電話が原因というよりも、携帯電話が問題を助長している、という感じです。

①足を運ぶことを惜しむ

傾向として「電話はあれば用事を簡単に済ませられる」と考えている傾向が見られます。

◇例:支援先のメンバーが郡庁の私の同僚に用事がある場合

この支援先のお店から郡庁まで歩いて15分の距離なのですが、郡庁に確認すべき事も「電話を掛けて後から聞いてみるよ」と言う。忙しいからではなく、「面倒だし、電話の方が簡単...」という印象を受ける。が、電話を掛けても相手が忙しくて取らない事も多く、また電話だとミスコミュニケーションも多くて結局再度確認が必要だったり、当日勘違いがあって上手くいかなかったり...という事が続いた。

なので、業務の話はきちんとアポを取って面会して話をするように勧めています。携帯電話は便利ですが「手間を惜しんではいかん!」と思います。

②時間を守って行動しようとしない

ルワンダの人々は時間を守らない(守れない)傾向がありますが、携帯電話が拍車を掛けている感もあります。

◇私が思うルワンダの人々の考え方の傾向

「携帯電話があればいつでも連絡出来る」と思っている→「当日何かあっても電話で連絡すれば大丈夫」(その割にエアタイム切れで当日連絡が取れないケースも頻発)→約束の時間に合わせて事前に段取りをしない→時間を守らない(守れない)→約束の時間に待ちぼうけ→遅れてきて、後から言い訳をする or 電話を掛けると「今から行く!」といってさらに30分待たされる...

確かに突発的事項が発生して時間を守れない事もあるのですが、よくよく事情を聞いてみると、「ん?それは予め準備をしていれば問題なかったことだよね?」という事の方が多いです。

③そもそも約束を忘れる

ルワンダ人は大体約束を忘れるので、前日or当日再度電話連絡して初めて約束が成立する...という事が多くある。ルワンダ人は記憶に頼って約束事のメモを取らない傾向が多い。そして、忙しくなると一つ二つの約束をうっかりすっかり忘れる...という事がある。

彼らがよく口にする言い訳(言い分)は、「Sorry、つい忘れてしまっただけなんだ」「今朝また電話を掛けて確認してくれれば思い出したんだけど...」。悪気なく言われるので、「そうか、そもそも習慣が違うからなのか...」と怒りようがありません。

■解決策の一例

こうしたルワンダの人々の行動傾向をみて、私は出来るだけ携帯電話だけで連絡を取らず、以下のようにしています。

◇例:話し合いの日程を約束する場合

①担当者を訪問し、顔を合わせて確認しながら日程を約束する。

②約束の日程を付箋紙に書き、目につくところに貼っといてもらう(2.5×7.5㎝の付箋紙がかなり重宝!)。

③重要度、緊急性が高い用事の時は、前日or当日の朝SMSで再確認。

④当日約束時間は絶対守って行く。私が遅刻をしない。

⑤もし約束の時間に相手がいなかった場合、15分だけ待って、来なかったら延期。メモで「●月●日●時に来た。約束の時間に待っていたけど来なかったので、また別の日に」と書置きして、帰る。後から電話で「今着いたから来て欲しい!」と言われても、「約束の時間に来なかったからダメ。私にも他の予定があるので、また別の日にしよう。」と別日程を提案。「次回から、都合が悪くなったなら事前に連絡してほしい」とも伝える。

【写真④:付箋紙に約束の日時を記入して渡す。目にしやすいコピー機に貼り付けてくれる人も】

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これを何回か繰り返すと、友人や同僚、関係者達も、「トモコは時間を守る事をとても大事にしている」という事を理解してくれるようになり、徐々にですがスケジュールを守るようになってきました。

最近では、相手の日程の都合が悪くなった場合、事前に電話やSMSで「トモコ、急用が入って都合が悪くなった。別の日程にして貰えないかな?」「ちょっと用事で遅れそうだから、午後の予定を15分ずらしてもいいかな?」と、連絡してくれるようになりました、また、携帯電話が使えない時は別の同僚に伝言を頼んで、「●●さんが『トモコが来たら、急に上司の指示で村に視察しに行かなければならなくなったのでゴメンと伝えておいて!』と言って出掛けて行ったわ」と言ってくれるようになりました。

こうした事は、一緒に活動を進めて行く上で非常に嬉しい、大きな変化への第一歩...だと感じています。習慣なのですぐには直りませんが、「繰り返し伝えていれば少しずつ変わっていくかも!」という希望が持てます。

便利な携帯電話にはコミュニケーションの補助的役割を担って貰いつつも、「大事なのは最新ツールではなく行動の変化だな」と改めて思います。

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