JICA海外協力隊の世界日記

ルワンダかけはし通信~ブホロ ブホロ

ハンドクラフトコーペラ支援活動①~ホテルへのショップ出店!

雨の日が増えてきました。小乾季がいつの間にか終わろうとしています。「今回は小乾季だけあって短かったな」と思っていた矢先に、1週間の断水...。小とはいえ、乾季を改めて感じています。

今回はハンドクラフトコーペラティブ(=手工芸の協同組合、以下コーペラ)の支援活動の様子を、2回に分けて紹介します!

私が任地に来たばかりで活動場所を探していた頃、このコーペラ『Agaseke K'urukundo』を見つけました。コーペラの名前の意味は『バスケットが大好きな人々(愛好家?)』。Agaseke(アガセチェ)とはルワンダの伝統工芸品であるバスケットの事で、結婚式やイベントの時に贈られます。

このコーペラのメンバーは皆女性で、よく会うのは5人程。登録メンバーは20人だそうですが、家庭の事情からか、他のメンバーは来ていないそうです。

初めてお店を発見した時、小さなお店の棚一杯に商品が並べられており、その前で女性達がAgasekeを編んでいました。どの商品も丁寧に作られており、品質の良さに驚きました。デザインは他のお店でも売っている、似たような物しかありませんでしたが、これだけ質が良いのであれば、お土産としても販売できると思い、販売機会が広がる可能性を感じました。

また、私がルワンダのハンドクラフトに興味があった事、そして彼女達が温かい雰囲気で私を受け入れてくれたので、このコーペラのサポートを始めました。

【写真①:上_コーペラの入り口/中_中には棚一杯にアガセチェ等の商品が/下_コーペラメンバー】

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■ハンドクラフト製品の数々

彼女達が作っているのは伝統的なハンドクラフト製品。干し草(=牛が食べている物)等を束ねて芯にして、その周りに針に通したイミグウェ-グウェ(=染色した蔓)や糸等を器用に巻き付けて編み上げていきます。

こうして出来上がったのがアガセチェ等のハンドクラフト製品です。アガセチェ、飾り皿、イヤリング、敷物...色々出来ます。

【写真②:商品の数々。アガセチェ(マトリョーシカ風)、ピアス、飾り皿、コースター、ランチョンマット...】

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■作り方レクチャー

まず初めに私が取り組んだ事は、どうやって作るのか教えて貰う事。元々作り方に興味があったのと、彼女達と仲良くなる為にも、と一緒に作業を始めました。彼女達が作っているのを見ていると、スイッスイッと簡単そうに編み上げているのですが、やってみるとこれがなかなか...。イミグウェーグウェ同士が緩まないようにぐっと締めつつ、芯の束の間に針を通していくのは結構力が要ります。そして、見た目が綺麗になるよう、イミグウェーグウェを等間隔になるように編んでいくのですが、上手く寄せられず。また、芯を継ぎ足す時のイミグウェーグウェの巻き方にもコツがあります。手も針が当たる部分が痛くなってきます。

少しずつ作っては「トモコ!上手くなってきたじゃない!驚いたわ!」と皆がおだててくれるのに気をよくしながら、数日掛けて何とか小さなイヤリングを作り上げました。この作業を通し、一つの物を作り上げた満足感と、作業の難易度を知れた事、そして(下手でも)一生懸命作業をする私の姿を見て皆と仲良くなれたのが収穫でした。

彼女達が小さなアガセチェを作るのに5日間位掛かりますが、自分で作ってみると、5日間でも十分早いスピードだと思いました。

【写真③:上_レクチャーを受けている様子/下_初めて編んだイヤリング】

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■改善策提案するも...

彼女達はお店の中で作りながら販売していますが、あまり目立たないので、お客さん、特にムズング(=外国人)に気付かれません。「商品は良い物を置いているので、目に触れる機会が増えれば販売機会は広がるはず」と思い、何とか改善する方法はないかと考えていました。

そこで、「商品を外に並べてはどうか」、「看板を大きくしてはどうか」と色々提案してみましたが、「子供達がいたずらして持って行ってしまう」、「大きな看板を作るお金は今はない」という事で、初めの頃はなかなか進みませんでした。

そこで思いついたのが、『ホテルのお土産コーナー』としての出店です。

■4月、同僚に相談

彼女達のコーペラの近くに、ムズング向けの大きなホテルがあります。プールあり、レストランあり、ムズングや比較的お金に余裕のあるルワンダ人がやってきます。結婚式や、郡庁の大きな会議も開催されるので、同僚達もよく訪れます。

そこで、「このホテルの一角に商品を置かせて貰えないか」、と思いつきました。

「しかし、どうやって交渉したものか...」と悩み、郡庁の同僚に相談したところ、start-up担当の同僚が、「私はホテルのオーナーと知り合いよ。コーペラを支援する、という目的なら、一緒に交渉に行ってあげるわ」との事!これはラッキー!

【写真④:協力してくれた同僚】

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が、なかなかホテルのオーナーと同僚との予定が合わず、アポが延期、延期となり...(よくあること)。しかし諦めず、「次はいつなら行ける?」「来週もう一度行こうよ!」としつこく食い下がり、遂にオーナーとの面会アポが取れました。

■5月、オーナーと交渉、快諾。『コーナー』の予定が『ショップ』に!

オーナーは非常に理解のある人で、「実は丁度お土産物ショップを作ろうと考えていたんだよ。もしよければその場所を使っていいよ」、「ルワンダのコーペラを支援する、という目的なら、無料で利用してもいいよ」との好条件を提示してくれました!同僚が口添えしてくれた事もあり、交渉は非常にスムーズに進みました。私は嬉しくて、交渉直後に喜び勇んでコーペラのメンバーに報告。みんな「ありがとう!」、「楽しみだわ!」と喜んでくれました。

【写真⑤:オーナーと同僚。右手奥がショップ予定の場所】

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■6&7月、ひたすら待機とフォロー

しかし、了承が得られたからといって、スムーズに進まないのがルワンダ。油断は禁物です。

ホテルのオーナーがお土産物ショップにしようと考えていたのは、ホテルの入り口にある、ガードマンが利用していた部屋。ホテルに入る時に必ず通るので立地条件は非常にいいです。が、「ちょっと綺麗にする必要がある」との事。「改装するから、それが終わったらいつでも使い始めていいよ」と言ってくれましたが、なかなか改装は終わらず。

オーナーは非常にいい人でしたが、ルワンダでは「ここで計画が頓挫」、という事もよくあるので、忘れられないように自分でもホテルに出向いて確認する日々。同僚にも毎週「改装は順調かな?」「オーナーは何か言っていない?」と確認。きっと「トモコはしつこいなぁ...」と思っていた事でしょう。でも目的達成にはこれくらいしつこくないと進められないのもルワンダ。

そして、快諾から待つこと1ヶ月超。遂に同僚から「改装が終わったから、いつでも来ていいと連絡がきたよ」、との吉報が!!急いでコーペラ報告。が、今度はコーペラメンバーが何やら「移動の準備をするから」とすぐには動かず。もやもや思いつつ、「いやいや、これがルワンダの人々のペースだ。ここで無理やり私が移動させたら、『自分達でやっていこう』という感覚が無くなってしまうかも。ホテルのショップは逃げないから、ここは彼女達のペースに合わせよう」と思い直し、ぐっと我慢。

その後も定期的にコーペラとホテルに足を運び、コーペラ側には「準備は順調?」と状況を確認しつつ、ホテル側には「今メンバーが準備しているところだから。彼女達も喜んでいるので、もうちょっと待っててね」とフォロー。「お互いなかった事になりませんように...」とひやひやしながら状況を見守っていました。

■8月、遂にショップ開店!『Made in Rwanda』

そして、遂に遂にショップが開店!!メンバーが綺麗に掃除をし、棚を持ち込んでショップらしくなりました。

【写真⑥:遂にショップ開店!】

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初め、「盗難防止の為、商品は毎日持って行って、持って帰ってこないといけないかな」と考えていたのですが、ホテルのガードマン(元ショップの部屋を使っていた人)が、ショップの警備も引き受けてくれ、朝や夜も商品を置きっぱなしにしてもいい事になったのもラッキーでした。

【写真⑦:ショップの見張りも引き受けてくれたガードマン】

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また、「ショップと分かるように看板を発注しないといけないかな」とも考えていたのですが、後日オーナーの指示でショップの壁に『Made in Rwanda』とペインティングしてくれたので、すっかりお土産物ショップらしくなりました。

【トップページ&写真⑧:ショップのペインティングもしてくれた】

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場所だけ間借り出来れば幸い、と思っていたところ、予想以上に協力してくれて非常に有難いです。

オーナーには直接お礼を言うと共に、私のボスにも報告を入れ、「ホテルのオーナーが非常に協力的で助かっている」という事を伝えています。ルワンダでも人間関係やビジネスリレーションシップが大変重要な為、このように彼の貢献度を広めておくことで、今後ホテルにもメリットが出てお返しが出来れば、と考えています。

■名実共にMade in Rwandaのお店へ

開店後、ホテルに来る多くの人が一度はこのショップに見に来るようになりました。

売上が一気に伸びた、というところまではまだ来ていませんが、ホテルに訪れる人々がショップに立ち寄り、「何を置いているの?」と覗いていきます。近くのナショナルパークへ向かうムズンググループもこのホテルで昼食に立ち寄った際、珍しそうに「アガセチェが置いているよ!」と集まってきていました。

また、これが呼び水となり、他のコーペラ等からも商品設置依頼があり、今では、靴、ルワンダ絵画、バック、コーヒー...etc.も並ぶようになりました。商品が増えすぎたので、「そろそろレイアウトを考え直さないと...」と思っています。

名実共に『Made in Rwanda』のお店となりつつあります。

【写真⑨:商品種類も増え始めた】

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次回は、コーペラの販売機会を拡大する為の、その他の活動について紹介します。

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