JICA海外協力隊の世界日記

ルワンダかけはし通信~ブホロ ブホロ

ハンドクラフトコーペラ支援活動②~販売機会拡大作戦いろいろ

断水が収まったと思ったら、今度は停電...。断続的な停電が続くと思っていたら、とうとう2日間停電になりました。乾季の終わり目、雨季の始まりは色々起きて飽きる暇がありません。

さて、今回はコーペラ支援活動の販売拡大作戦について紹介したいと思います!

コーペラメンバーとリレーションが構築でき、色々と支援の策を試行錯誤して取り組んでいきました。主に以下5つが挙げられます。

①郡庁主催イベントに出展 @東部県各地

まずは郡庁主催のイベント参加。販売機会を増やし、且つ彼女達の経験値も上がる為、参加を勧め出展準備をサポートしました。

ルワンダでは、毎年郡庁主催のイベントが各地で開催されています。各種業種(NGOや郡庁のunitも含む)のプロモーションが目的です。毎回アナウンスが直前なのが難点でしたが、機会がある度に出展を重ね、この1年間で3回出展しました。

2018年6月_ルワマガナ郡EXPO(@ルワマガナ)

2018年7月_国際文化交流イベント(@ルワマガナ)

2018年9月_東部県EXPO(@ニャガタレ)

【写真①:ルワマガナ郡EXPO】

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【写真②:国際交流文化イベント】

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【写真③:東部県EXPO】

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こうしたイベントで分かった事は、ルワンダ人は興味を示すもハンドクラフト製品の実質の購買者という観点ではやはりムズング(=外国人)が多い、という点でした。特にルワマガナ郡から離れた地方で開催されたイベントではあまり売れませんでした。購買層の実態を知る事が出来ました。

また、最初の頃は彼女達も要領が分からず、その上郡庁のスケジュールは直前まで未定の為、右往左往していましたが、辛抱強くサポートしていると徐々に段取りを理解し始め、最後の方のイベントは自分達でスムーズに準備が出来るようになっていました。こうした経験値もイベント出展で得たものでした。

②新しいデザイン案の提案

続いては新しいデザインの紹介、実践提案。ハンドクラフトに限らず、ルワンダのお店の改善点として、『どこも同じ商品しか置いていない』というのが挙げられます。

余談になりますが、例えば道路沿いにはアリメンテーション(小さな雑貨屋、日本で言うコンビニ?)が沢山ありますが、どこも同じお菓子、飲み物、生活雑貨を置いてあるだけで、「新規性のある珍しい商品を置いて、商売繁盛させよう!」いう気概があまり見えません(もちろんルワンダ国内に商品種類自体がそれほどない、という前提条件はありますが)。ルワンダ人は保守的なので、「新しい物は皆買おうとしない。変に新しい商品を増やすよりも、確実に売れる物で商売しよう」と思っている節があります。(なのに、「商売でもっと儲けたいんだ!でもルワンダの市場は小さいから難しい。どうすればいいんだ!」とも言っています)

さて、こちらのハンドクラフトコーペラも、同じようなデザインの物しか置いていませんでした。初めは「スキルの限界なのか」と思っていたのですが、ふとしたきっかけでちょっと凝ったデザインを依頼したところ、綺麗に仕上げてくれました。「なんと、作れるじゃないか!」と驚きつつ、「そうか、出来るけどデザインの多様性を知らないだけか、これが売れるというのに気付いていないだけなのかも」という事を発見。

そこで、まずはピアスの新デザインを提案し、バリエーションを増やしていく事に。ニット編みのデザインなどを参考に、色々思いついたアイデアをイラストで描いて示しながら、デザイン案を改善。製品の一つの飾り皿は非常に多様な柄があるので、そのデザインをピアスにする事も提案。また、同期の隊員にもデザインのアイデアを作って貰って、色々選択肢を増やしてみました。大分バリエーションも増え、「後はこれが売れるんだ、という事を、彼女達にどうにか示したいな…」と考えていました。

【写真④:新しいデザイン案。上_デザイン案。既存の飾り皿等も参考に/中、下_デザイン案を基にピアスを作成】

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③NGO主催のクリスマスバザール出展支援 @キガリ

そうこうしているうちに、次のチャンスが巡ってきました。クリスマスバザールの出展です。首都キガリで毎年12月開催されている大きなNGO団体主催のクリスマスバザールがあり、同期から共同出展の誘いがあったので参加しました。このイベントは非常に大規模で出展者(=競合)も多くいます。

今までのイベントで製品の運搬に課題があったので、今回は移動の負荷も考え出展商品は少なめにして、私が持参する事にしました。

他にも同じようなハンドクラフトのお店が出展していたのであまり売れ行きは期待していませんでしたが、当日、予想以上に商品が売れて驚きました。購買者であるムズングが多く集まるイベントであったということ、新しいデザインがやはり好調であったという事が奏功した様でした。任地に戻ってメンバーに売上金を渡し、「やはり新しいデザインは売れるんだよ!」と状況を伝えると、彼女達も納得した様でした。

【写真⑤:クリスマスバザール】

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④クリスマス特別販売 @ホテル、お店

4つ目はクリスマスでの販売強化。③のクリスマスバザールから戻り、この勢いでホテルのショップでのイベント特設を検討。ショップを出店しているホテルで、クリスマスバザールで使ったデコレーションと残りの商品を、12月中イベント特別期間に設置してよいか交渉。快諾を得て、12月~1月までレセプションに展示しました(ルワンダのクリスマスデコレーションの期間は長い)。

クリスマスのデコレーションが目を引き、「なんだなんだ、クリスマスのデコレーションで何か売っているぞ」と人々の目に留まり問い合わせを受ける事が多くありました。

【写真⑥:ホテルのレセプションでクリスマス特別設置】

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しかし、地方ではやや価格が高めの印象なのかここでの販売は伸びず、「やはり地方での販売は難しいかな」と考えていました。が、暫くするとお店側(=ホテルのショップではなく元々あった方)に置いていた新デザインのピアスが全部売れていました!メンバーに聞いてみると、「近くを通ったムズングが買っていってくれたんだよ。また新しいデザインがあったら欲しいって言ってたよ」との事。このコーペラと同じ地域にピースコー(=アメリカ版JOCVのようなもの)の語学学校がある為、その人々が帰り道に立ち寄った際に購入してくれたようです。今までは購入層になり得る可能性が低いと考えていましたが、良い商品であれば彼らも買ってくれるという事が分かりました。地方でも顧客層がある事を発見。

⑤ビジネス管理

最後はビジネス管理です。

基本的な売上管理、スケジュール管理、デザイン案管理、等です。

◇売上管理

彼女達はその場で現金で販売する為、実質何がどれだけ売れているのか把握出来ていませんでした。また、上記④から、私がコーペラに行っていない時間帯でお客さんが来ているのかもしれないと思いました。

そこで、新しい専用ノートを1冊用意し、売上を記載するページを設定。各記入項目の枠を作り、「毎日売れたら記入してみて」と伝えたところ、早速記録がついていました。日によってばらつきはあるものの、ムズングの購入者が多く、また一度に結構な品数を買っている事が分かりました。彼女達も記録を付けると販売状況が理解出来たらしく、「トモコ、ノートを見て!昨日はこれだけ売れたよ!」と嬉しそうに報告してくれます。

【写真⑦:売上管理】

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◇スケジュール管理

続いてスケジュール管理表を作りました。1ヶ月分のスケジュールで、各自の出勤スケジュールと、オーダーの〆切予定を記入出来るようにしたものです。

コーペラに来るメンバーが日によって変わること、また、私や、私の友人知人からの個別オーダーが増え(ありがたや)、オーダーの〆切スケジュールを把握しにくくなっている感があったので、一覧で見れるようにしました。こちらは最近始めたばかりなので、「随時予定を記入していく」という習慣がまだ身に付いていませんが、今後仕事が沢山舞い込んできた時に備えて、今から少しずつ練習してくれればと思っています。

(最近ではキガリの会社から輸出用の商品オーダーが入り、彼女達の仕事量も増えてきているようです)

【トップページ&写真⑧:スケジュール管理】

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◇デザイン案管理

今まで提案したデザイン画を捨てずに、今後の製品作成の参考に出来るようきちんと保管するように伝えています。ルワンダ人は自分の記憶に頼る傾向があり、その時の仕事が終わったら過去の資料をきちんと保管する習慣が無いように見受けられます。そこで、売上管理ノートに貼ったり、ノートポケットに保管する等して、「次オーダーが来た時、参考にしてね」と伝えています。

また、今まで作った製品を写真に収め、ラミネート加工をして『カタログ』を作っています。オーダーメイドで注文する際、いつも絵で描いて示してきましたが、「デザインや色の参考にあるカタログがあれば、他のお客さんもイメージの参考になるし、彼女達もオーダーを間違えにくくなる。なにより、色々なデザイン案を残しておける」と思い、作成を始めました。これは今まさに着手しているもので、帰国までに何とか仕上げようとしています。

【写真⑨:ラミネート加工をしてカタログ作成中】

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■活動を振り返って

このように試行錯誤の連続です。文章で書くともしかしたら一見易しいように見えるかもしれませんが、「一つの事を進めるのに意外に山あり谷ありだったなあ」とも思います。

私の活動は、一つ一つは小さな事です。結果は、(たまたま)上手くいったり、(大半は)予想通りにいかなかったりと場合によりけりですが、後者の場合でも「失敗だったな」とは感じなくなりました。何もしなければ何も動かなかったものが、自分のアイデア一つでチャレンジをする機会を作れ、その結果が今回たまたまこうなっただけ、という感じです。もちろん上手くいけば嬉しいですが、予想に反した結果でも「そうか、そうなるのか。これは今回勉強になった。次はこうしてみるといいかも」と思うだけで、あまりがっかりもしません。

何より、私が「こういうアイデアがあるけど、どうかな?」と提案すると、メンバー達が「いいね!じゃあちょっとやってみよう!」と前向きに挑戦してくれるのが嬉しく、私としてもアイデアの考えがい、提案のしがいがあります。日本では、色々規制や規則がある為(もちろんそれも大事ですが)、「こうすれば彼らの為になるから、試しにやってみたい!」ということが、なかなか(本当になかなか)出来ませんでした。

が、ここでは皆すぐに「Ntakibazo(=問題ないよ)。やってみよう!」といって試すチャンスが沢山あります。時には安易すぎる気もしますが、これはルワンダのいい所だと思っています。

3月下旬の帰国まで目前にして思う事は、「私が何かをしてあげられた」というよりも、「彼女達と一緒に活動出来て楽しかったな」という事です。

私の活動が、今後彼女達の一助になれば幸いです。

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