JICA海外協力隊の世界日記

薬剤師のウガンダ秘境滞在日記

マールブルグ出血熱①

 「マールブルグ出血熱」という言葉を耳にしたことはありますか?
 正直、私も薬剤師の国家試験勉強で名前を聞いたことくらいで、勉強したことはありませんでした。

 日本では、マールブルグ出血熱はエボラ出血熱やペストと同じ一類感染症に分類されており、致死率の高いウイルス性の感染症です。ワクチンや抗ウイルス薬はなく、熱などの症状に対症療法するしか治療方法はありません。サルやコウモリが自然宿主であり、それらの生物に接触があった人が感染することで広まるとされています。

 過去に何度かウガンダでアウトブレイク(突発的な発生)がありました。

 先9月末から10月にかけて隣のクウェーン県で患者がみつかり、クウェーン県には県立病院がないため、患者はカプチョルワ病院に運ばれた後に亡くなりました。そこで政府からマールブルグ出血熱の流行宣言がだされました。

 最初にそのニュースを聞いた時、私自身も不安になりショックを受けました。1年ウガンダで暮らし、悪い意味で環境に慣れてしまっていたと思います。

 地方に行くと、外人を目にする機会は珍しいので、子供たちが寄ってきて手や髪の毛を触ってくることがあります。

 また、ウガンダ人は挨拶で握手をします。

 そして水へのアクセスが良くないため、すぐに手が洗えないこともあります。

 もちろん石鹸もありません。

 日本では考えられない環境に慣れてしまっていました。

 マールブルグ出血熱に限らず、まず自分が感染しないこと、

 そして、他の患者さんに感染を媒介しないこと。

 医療者として普段からしっかりと心がけなければいけないと改めて深く反省しました。

 私の所属先であるカプチョルワ病院は、クウェーン県のヘルスセンター(診療所)と共に、マールブルグ病最前線医療施設として対応することになりました。

 ウガンダ保健省、WHO、UNICEF、国境なき医師団、CDCなど様々な国際機関から専門家が派遣され、マールブルグ病患者の隔離病棟の整備や予防対策がとり行われました。

 2枚目の写真はカプチョルワ病院に建設された隔離病棟です。今回のアウトブレイクでは、入院した患者はいませんでした。

 

 1枚目、3枚目の写真は防護服着用デモンストレーション時のものです。アウトブレイク終息宣言後、「カプチョルワから来た。」と伝えると首都で嫌な顔をされるなどの風評被害がありました。こういった被害を払拭するために政府の役人が実際に防護服を着て、隔離病棟の見学にも赴きました。

 今回のアウトブレイクでは、病院スタッフに院内感染しなかったことを本当に嬉しく思います。

 そして、カプチョルワ病院でがんばっていたスタッフにエールを送りたいと思います!

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