JICA海外協力隊の世界日記

チェケ チェケ ホンジュラス

モチベーションは未来

最近、活動の範囲を少し拡げて隣市エルパイライソ市にて医師と看護師で構成される家庭保健チームと共に活動しています。2014年から新大統領体制となったホンジュラスでは、これまでの治療中心の医療から予防重視の体制へと変成を遂げようとしています。JICAは、技術協力プロジェクトとしてこの国家モデルの普及を支援しているのです。

ホンジュラスには、このモデル導入以前から現地の人々の有志で構成されるの保健ボランティアが存在していました。しかし、機能していない地区があったり保健ボランティアの知識不足があったり様々な問題を抱えているようです。彼らは、元医療従事者、元教員、小売店の店主、主婦等、職種や年齢もバラバラです。また、彼らの活動は多岐に渡り、どこからか妊婦検診未受診の思春期妊婦を見つけてきたり、受診が必要な人に付き添って保健所に来たり、感染症の啓発活動、保健指導等…東二病気ノコドモアレバ、行ッテ看病シテヤリ、西ニツカレタ母アレバ、行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ…以下略。宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の世界が浮かんでくるようです。わたしの知る限り、彼らは限りなく無償に近いかたちで私的な時間を割いて活動をしています。一体、その原動力は何なのか。そんなわたしの疑問を投げかけたところ、こんな風に話してくれました。

「自分たちの活動は本当に些細なものだ。道のゴミも、デング熱やチクングニヤ熱などの感染症も無くならない。今は何にも何の成果にもならないのかもしれない。でも、わたしたちは未来を見ている。自分たちの子どもたちが大人になったときのホンジュラス、この地域を少しでも良い状態で子どもたちに残してあげたいし、それが未来につながっていくように子どもたちにも伝えていきたい」

確かに予防活動は地道です。結果が出るのは10年後、20年後。その上、結果もわかりにくい。罹患率が上がってこないことが結果であったり、因果関係の証明が非常に複雑であったりするからです。

エルパライソ市はこの保健ボランティアを家庭保健チームが連携して、円滑に活動を進めている地域です。ボランティアの知識不足を専門職である家庭保健チームが補い、地域に根を張るボランティアがチームの活動を支援し住民とチームを上手く結びつけています。そんな彼らと活動できる幸せを感じながら、残りの任期を大切に過ごしていきたいと思います。

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