JICA海外協力隊の世界日記

NO SWING NO HIT!!!!!!

#8 バットを振らなきゃ当たらない

Bula Vinaka

今更ですが明けましておめでとうございます。

先月、予てから希望していた活動がスタートしました。

「outreach(やりたい事)」と「指導者育成(求められている事)」の両方を同時に始められました。

「始められた」と言っても任期は残り5ヶ月を切っているわけだし小規模な活動ですが、私にとっては(配属先にとっても)大きな前進なんです。

任地内で普段は行かない(これまで行けていなかった)コミュニティに出向いての活動です。

Fiji National Sports Commisionの事業に同行させて頂き、村レベルでのスポーツイベントを運営する様なお仕事。

Train the trainer programと言う、今後スポーツ指導者になり得る若者に指導する活動です。

3日間で8人の若者が野球の会場に来てくれました。

今回は「Baseball5(ベースボールFive)」という新しい競技の普及、指導者の指導を行いました。


今回は”野球”ではなく新たに取り組み始めた”baseball5"について

http://www.wbsc.org/ja/baseball5/

簡単に言うと「5人制の手打ち野球」

競技普及の観点で課題となっていた点を殆どクリアしている。

※以下baseball5➡︎野球5とする

【人数の問題】

野球は試合をするのに各チーム9人以上の人を集めなければいけないが、”野球5”は5人で済む。

18人集まってやっと試合が出来ても1試合。19人目以降の選手は試合に出られるか分からない。
36人目が来れば2試合出来るが35人だと1試合をしか出来ない。

一方、”野球5”なら10人で試合が出来る。20人なら2試合。

【道具の問題】

野球はお金が掛かるとフィジーでも言われるくらい必要な道具が多い。

グローブ、バット、ボールは勿論。安全性を考慮すればヘルメットやスパイクも必要。
ベースは当然の事だし、バックネットや外野のフェンスなんかも…挙げたらキリがない。

”野球5”ならボールとベースだけ。

【試合時間の問題】

野球は基本的に9イニング。(アマや中学以下は7イニング)

時間にして2〜4時間はかかる。
テニスやゴルフ、クリケットなど野球よりも長時間行うスポーツも多いが、この”試合時間が長い”と言うのがここ数年野球界の大きな課題の一つであることは間違いない。
試合の時間制限がないことが、野球の最大の特徴であり魅力の一つ(とわたしは思っている)なのに…
でも実際「試合時間が長い」せいでテレビの枠の問題が起きたり、野球を知らない人が敬遠しがちになっているのも事実。

”野球5”は5イニング15分。ファールやフォアボールも無いので遅延行為が殆どない。

他にも一塁の駆け抜けが無くなったり、ホームラン制度が無くなったりと色々あるが割愛。

初めて野球に触れる若者や、興味を持って来てくれた彼らに先ずはBaseball5という競技について1日。

指導法と審判講習そして普及活動をコミュニティでの活動を想定してのワークショップを2日行いました。

最終日には実際に他のスポーツに参加してる人を集めて実践して貰いました。

3日間で覚えた事をその場で披露する。教育実習の研究授業ですら3週間は猶予があるのに…

大人相手とは言え、自分も2日前に初めて聞いたスポーツを未だ知らない人に伝える。

無謀な挑戦にも聞こえますが彼らはやってのけるんです。

身振り手振りで伝える力、その場をなんとかする力は凄い。

普段の活動と同様にウォーミングアップから練習、試合までを運営。

教え子が必死に説明しているのを黙って見守るのって凄い歯痒くて、でも何処か心地良くて。

講師と生徒と言う関係だけど、自分と殆ど同じくらいの年齢の彼らとの時間は新鮮でした。

野球好きの仲間が増えた様で嬉しかったです。

赴任直後から感じていた「俺がやらなきゃいけない事って何だろう」という疑問。

『協力隊の一員としてすべき事(と自分が思っている事)』の大枠として

同僚に何かを残す(experience and knowlege的なもの)があって

自分が帰った後に「ケントはあぁしてたからな〜」と真似してくれたり参考にしてくれたり出来る技術やなんかを置いて帰れたら一番いいのかな

という中で

自分の配属先は同僚が一人で、凄く働き者で野球に関する知識だったり指導者としての振る舞いや技術も文句なしのカウンターパート。

「俺がこの人に残せるようなことはあるのだろうか?」と考える日々

働き者の同僚はオリンピック協会の仕事まで引き受けて地方や海外にも出張に行ってしまう。

同僚に何かを残したいのに何を残せば良いのか分からない。

そもそも同僚が一人しかいないし、配属先はお金が無いから新しい人も雇えない。

その上 一人しかいない同僚も出張でいなくなる。

結局二人目の職員(マンパワー)として働いているだけな様に感じていた時期もあった。

「お金が無い、人がいない」と ”無いから出来ない”というありがちな言い訳を掲げて考えることから逃げて来た。

「無いなら作ればいい」

みたいな協力隊の誰かが言いそうな言葉を思い出して

少しづつお金を作って勝手に人を雇おうとしていたのが半年前。

やっと新たな一歩が踏み出せました。

同僚が普段から出張で(五輪関係の仕事)世界中を飛び回ってくれているお陰で勝ち得たチャンス

オセアニアのスポーツ界もLTAD LONG TERM ATHLETE DEVELOPMENT=長期的選手育成)の流れが主流になって来た中で

早い段階で「コミュニティレベルでの若年層へのスポーツ普及」に取り組んで来た配属先の活動が認められつつある様です。

同僚や先輩隊員のやってきた地道な活動にやっとスポットライトが当たって来ました。

今回アウトリーチの活動に出られたのはスポーツコミッションのサポートがあったから。

結局自力でお金を集めてどうこうするなんてことは出来なくて

自分の無力さを痛感したわけですが、同時に自分がいかにラッキーかと言うことも感じました。

ラッキーでも何でも貰ったチャンス、逃すわけにはいかない。

バットを振らなきゃ当たらない。

まさにNO SWING-NO HIT!!!!!!です。(Baseball5はバット使わないんですけどね)

このプログラムをキッカケに少しづつ野球好きの仲間が増えると良いな。

NO SWING

NO HIT!!!!!!!

SHARE

最新記事一覧

JICA海外協力隊サイト関連コンテンツ

  • 協力隊が挑む世界の課題

    隊員の現地での活動をご紹介します

  • JICA 海外協力隊の人とシゴト

    現地の活動・帰国後のキャリアをご紹介します

  • 世界へはばたけ!マンガで知る青年海外協力隊

    マンガで隊員の活動をご紹介します

TOPへ