ジャマイカよ、めざせコミュニティ防災 2016-2018

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笹森 賢一
(愛知県)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
防災・災害対策
派遣国
中南米
ジャマイカ セント・アン教区 セント・アンズ・ベイ
一言メッセージ
ジャマイカ北部のセント・アン教区で、コミュニティ防災(Community-Based Disaster Risk Management:CBDRM)に取り組む様子を報告します。

 

ハリケーン「イルマ」に思う災害と報道

2017.09.11

活動

出典:米国立ハリケーンセンター

(http://www.nhc.noaa.gov))


カリブ海沿岸の地域では自然災害が頻発しています。


9月8日の夜に起こったメキシコ南西部の地震については、死者90名が確認されたことが複数のメディアから報道されています。


メキシコ国内のメディアがSNSで共有している写真には、倒壊した家屋や散らばるがれきが写っており、被害の深刻さを裏付けています。


また、この記事を書いているちょうど今まさに、ハリケーン「イルマ」が米国フロリダ州を縦断しています。


米国内では、2週間前にもハリケーン「ハ―ビー」のために洪水の被害が出たところです。


間を置かずに直撃したハリケーン「イルマ」でも大きな被害が出ることが予想されており、メディア報道は大変な警戒感をにじませています。


この1週間、米国立ハリケーンセンターのウェブサイトなどを情報源に、ハリケーン「イルマ」の動向を追っていました。


観測史上、最大規模のハリケーンである「イルマ」はカリブ海の小島嶼国アンティグア・バーブーダで大きな被害をもたらした後、セント・マーチン島、仏領サン・バルテルミ―島、英領アンギラ、ヴァージン諸島、英領タークス・カイコス諸島、バハマ、プエルト・リコなど、多くの国・地域で死者を含む被害を出しました。


ドミニカ共和国・ハイチ・キューバでは洪水を引き起こしたという報道がありますが、詳細な被害はまだ報道されていません。


それ以上にフロリダ州に接近していることを扱っているニュースが目立ちます。


キューバでの被害が深刻なものではなかったかのような印象すら与えるほどです。


実際には、キューバでは大雨と高潮により深刻な洪水被害が起きていると複数の米国のメディアが報じているのですが、あまり注目が集まっているとは言えない状況です。


例として末尾にCNNによる記事のリンクを貼りましたので、詳細はそちらを参照下さい。


(音が出るのでご注意願います。)


幸運にも、私の任国であるジャマイカは、ハリケーン「イルマ」の被害を免れました。


しかしながら、一連のメディアの報道の仕方を見ていて、「これは他人事ではないぞ」と思わざるをえませんでした。


災害には人間本位なところがあり、多くの人口に影響がなければ、それがどんなに大規模な現象であっても災害とは認識されないことがあります。


その裏返しで、たくさんの人が影響を受ければ、どんなに小規模で局所的な現象であっても、大災害として取り扱われ、メディアの報道が集中します。


この2週間のメディアによる報道は、ハリケーン「ハービー」による米国ヒューストン市の洪水被害→ハリケーン「イルマ」の経路(+途中にあるカリブ諸国での被害)→メキシコにて起こったマグニチュード8.2の地震→ハリケーン「イルマ」のフロリダ上陸、という順に推移していきました。


前述のようにドミニカ共和国やキューバの洪水被害は大々的に取り上げられていません。


これは一重に、中米地域やカリブ地域での災害報道が米国に頼むところが大きいためと推察されます。


特に、今回のハリケーン「イルマ」のように、複数の国・地域にまたがって被害が起きると、各国にスタッフを駐在させている米国の報道網なしには継続して報道することができません。


その結果、どうしても米国の報道網から見たニュースバリューを重視した報道になってしまいがちになります。


先ほどのキューバの例はその最たる例と言えるでしょう。


私は防災・災害対策隊員としての活動の一環で、任地セント・アン教区の災害対応計画の素案を作っているのですが、今回の件でメディア対応についてはまだまだ考える余地があることに思い至りました。


災害対策本部にメディア対応担当者を常駐させることや、指定被災した方々のプライバシーを尊重するための報道規制を敷くことは盛り込むつもりでいました。


しかしながら、メディアの関心が瞬く間に別のところに向かってしまった際の対応については考えていなかったのです。


災害の後、まだまだ支援を必要とする状況で、報道してもらえればありがたいと被災地側が思っていても、他にニュースバリューのある事件があれば、たちどころにメディアで報道されなくなってしまいます。


ほどなく、さまざまな機関や団体を通じて、ハリケーン「イルマ」被害に対する支援の募集が始まるかと思います。


カリブ諸国はその対象に含まれるのでしょうか?


建物の95%に被害を受けたバーブーダ島に必要な支援は届くのでしょうか?


こうした観点から災害対応計画を考えた時、どのような仕組みを計画に盛り込むことができるのでしょうか?


簡単には答えの出ない問題です。


世界のどこで起きた災害であっても、1日でも早く日常を取り戻すことが、一番の災害復興であるのは変わりません。


この2週間の間で起きた自然災害に影響を受けた、すべての国・地域の人たちのところに、必要な支援が、必要なところに、適切な量とタイミングで届くことを願ってやみません。


参考:

HURRICANE IRMA

http://www.nhc.noaa.gov/refresh/graphics_at1+shtml/152552.shtml?swath#contents 2017年9月11日閲覧。

Cuba cleans up after Hurricane Irma tears through Caribbean - CNN

http://edition.cnn.com/2017/09/10/americas/cuba-caribbean-hurricane-irma/index.html 2017年9月11日閲覧。