JICA海外協力隊の世界日記

ジャマイカよ、めざせコミュニティ防災 2016-2018

「津波マン」はポート・マリアで活躍中

11月の間、ジャマイカの別の教区で活動中のJICAボランティアとお互いの任地を相互に訪問しました。

地域住民のみなさんに「津波マン」と呼ばれて、すっかり受け入れられている他のボランティアと協力しあうことで、より効果的に活動するため、
「JICAボランティア同士がもっと緊密に連携できれば」と、考えるきっかけになりました。

日常生活で日本人と1人も会わない任地に住み始めて、1年と少しが経った11月のこと。

任地での普段の活動を通じて、私が日本人であることを認知してもらえたようです。

道を歩いていると「Yo! Japanese!!」と、誰彼となく声をかけてもらえることも増えてきました。

まだ名前を憶えてもらえてはいないのですが、来たばかりの時の、無言で遠巻きに観察されるだけの状態からすれば、大きな進歩です。

そんな折に、隣の教区で活動しているJICAボランティアと連携する機会に恵まれました。

隣の教区で活動中であるそのJICAボランティア、山川純平さんは私と同じタイミングでジャマイカに来た方でした。

長野県駒ヶ根市で行われた派遣前訓練で知り合って、かれこれ1年半。

同じ時期、同じ国、同じ職種というご縁のおかげで、お世話になりっぱなしの方です。

2017年6月からは、ジャマイカ国内で活動しているJICAボランティア用の連絡所の管理・運営の代表者としても尽力されています。

また、11月5日の「世界津波の日」に合わせて、セント・メアリー教区の行政機能所在地であるポート・マリアで地域を巻き込んだ津波避難訓練を実施したりと、JICAボランティアとしても精力的に活動されています。

(山川さんのご厚意で、津波避難訓練当日の様子の写真を使わせていただきました。)

たまたま出席した何かの会議で山川さんの活動を知った私の上司。

「是非、ミスター純平に地震と津波の危険性についてセント・アン教区の
小学校で話をしてもらいたい。ついては笹森から速やかにミスター純平へ連絡を取るように」

セント・アン教区災害コーディネーターである上司から突然そんなことを言われて、何が何やらわからないままに連絡を取ってみたところ、

「その話は、この間の会議の時にきっぱり断ったんだけどねぇ…」

と、山川さんから苦笑気味の返事が返ってきました。

そんな事情も知らずに無邪気に連絡してしまって申し訳なく思いました。

しかし、上司命令とあってはこちらもそのまま引き下がれません。

いろいろと条件を交渉し、紆余曲折の末、山川さんに引き受けていただくことができました。

会場となったのはセント・アン教区の最西部にあるディスカバリー・ベイという町の小学校でした。

「ベイ」という名前のとおり、綺麗な砂浜のある海沿いの町です。

だからこそ、津波の危険性を訴えるには適切な場所だと言えます。

私の上司による紹介の後、映像と分かりやすいスライドを使って、地震と津波の危険性を分かりやすく説明する山川さん。

後から聞くと、もう何度も同じ説明を小学校でやっているとのこと。

完成度の高いプレゼンテーションに小学校の生徒さん達の目も釘付けです。

この日のことは生徒さん達に強烈なインパクトを残したようです。

後日同じ学校を訪問した時、生徒さん達は私の顔を見るやいなや、

「ミスター純平は今度いつ来るんだ」

と、聞いてくる程。

そう聞かれる度に、一回で名前を覚えてもらえた山川さんに比べて、「Yo! Japanese!!」止まりの自分のことを思い、ショックを受けるのでした 。

山川さんと私は同じ「防災・災害対策」という職種のボランティアですが、配属先が違えば活動の内容も大幅に変わってきます。

様々な障害のため、私がやりたくてもできなかった「学校での啓発活動」という、JICAボランティアの王道を行く活動。

それを実施できている山川さんが、正直に言って、羨ましかったです。

11月の末日、津波からの避難経路を示した地図をつくるため、今度は私がポート・マリアにお邪魔しました。

人工衛星が測定した、海面からの高さにかんするデータを地形に反映した地図を見ながら、津波が来た時の避難経路を、山川さんに案内してもらい確認しました。

後日、避難経路を反映した地図を山川さんに渡したところ、どうやら意に沿うものになっていたようです。

ポート・マリアの災害対応計画にも使えるよう山川さんの上司に相談してみる旨、コメントをいただけました。

地図作り自体は上手くいって良かったのですが、私個人としては、またも山川さんの現地への馴染み具合に衝撃を受けました。

前述の津波防災訓練を実施してからすぐだったためか、ポート・マリアの町を歩いている山川さんに地域の方が親しげに声をかけてくるのです。

「おお、津波マン、元気か?」

「津波マン、今日は訓練はやらないのか?」

「津波マン、ちょっと座ってコーラでも飲んでいきなよ」

すごい受け入れられていますね、と山川さんに聞くと、最近やっと自分が日本から来たボランティアだということがみんなにわかってもらえつつあるとのこと。

国際開発の用語に、地域の人と同じ目線で生活をしつつ、その国の発展に寄与する「参加型開発」というものがあります。

山川さんの活動はそれを体現しているかのようでした。

先にも述べたとおり、山川さんと私は同じ「防災・災害対策」という職種ですが、普段の活動内容はかなり違っています。

お互いの任地を訪問しあうことで、違いに気づくだけではなく、それぞれの得意分野でJICAボランティアとしての活動に貢献し合えるのではないかと感じました。

現在、ジャマイカには防災・災害対策のボランティアが3名いて、直近でさらに1人増える予定です。

土木や環境教育など、一部活動内容が重なる職種も含めて、JICAボランティア同士で連携できるような仕組みがあれば、より効果的な活動ができるのではないでしょうか。

今のところは、私が考えているだけですが、そんな風に感じてくれる人が少しずつ増えていけばいいなと思う、そんなポート・マリア訪問となったのでした。

参考:

世界HOTアングル 東日本大震災の被災者の方々に思いをはせて

https://www.jica.go.jp/hotangle/america/jamaica/20171219.html

(2017年12月29日閲覧)

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