2017/04/18 Tue
生活
ジャマイカ ショウガ事情
日本におけるジャマイカの農作物といえばコーヒー。
でも、ジャマイカで生活していて「これは!」と思う農作物は間違いなくショウガです。
生産と輸出が共に伸びており、産業としても期待の大きいジャマイカのショウガについて紹介します。
ジャマイカに来て驚いたのは、ジャマイカ産の野菜の味が非常に濃厚であることです。
例えば、ジャマイカのにんじんは日本のにんじんを濃縮したかのような味がします。
どの野菜も美味しいのですが、どれが一番おすすめかと言われれば、個人的にはショウガを選びます。
ジャマイカ産のショウガは日本で食べていたショウガの何倍も辛く、風味があります。
日本でも一部の清涼飲料にジャマイカのショウガが使われているので、知らないうちに口にしている人も多いのではないでしょうか。
最初は驚いたのですが、癖になる味で、いつの間にか生活に欠かせなくなりました。
16世紀はじめ、ジャマイカに初めてショウガが持ち込まれたのは、私の任地であるセント・アン教区とのこと。
栽培に適した熱帯の気候と良質な土壌もあって、程なくジャマイカ全土に定着しました。
国連食糧農業機関の統計によると、2011年のショウガ生産量は約400トン。
その後、国際的にも評価の高い品質のジャマイカ産ショウガを輸出しようという機運が高まり、ジャマイカ産業商業農業漁業省(Ministry of Industry, Commerce, Agriculture & Fisheries)や、ジャマイカ地方農業開発公社(Rural Agricultural Development Authority )等の公的機関がショウガの生産を積極的に推進していきます。
その結果、2012年には1082トン、2014年には1274トンと生産量が増えました。
もっとも、ジャマイカ産業商業農業漁業省の前身であるジャマイカ農業漁業省(Ministry of Agriculture and Fisheries)が作成した資料には2014年に3000トンまで増やすつもりだったと書いてあるので、ジャマイカ政府としてはまだまだ生産量が少ないと感じているのかもしれません。
実際のところ、ジャマイカの年間輸出量と、最大の輸出先であるアメリカの年間輸入量を比べると、アメリカの年間輸入量の方が780倍ほど多いです。
生産量の増加分がすべてアメリカ向けに輸出されたとしても、まだまだ旺盛な需要が存在することになります。
こうした状況を反映してか、ショウガをどんどん生産しようという機運は2017年現在も継続中のようです。
そうした機運はセント・アン教区の山間部にも確実に届いていました。
車道の脇でショウガを量り売りする人たちの活気や、ショウガの皮むきの作業場で集中して皮をむく人たちの真剣な眼差しは、見聞きするのに気持ちの良いものでした。
上の写真に写っている白い袋に、皮のむいていないショウガが一杯に詰まっているのですが、さすがに卸売価格。
沿岸部の市場で買う値段よりずっと安く、たくさん買えます。
また、ショウガの皮むきについて言えば、非常に根気のいる作業であるのは一目瞭然。
ショウガの商品加工に欠かせない工程ですが、手間がかかります。
日本の一部の外食産業で導入されているような電動皮むき機など、もちろんありません。
当分はショウガの皮をむくための労働力が必要になるのでしょう。
ここ5年の間、ジャマイカの失業率は12パーセント前後と高いままです。
ショウガ関連の産業が多くの雇用を生むことができるのであれば、ジャマイカの国全体にとっても大きな意味を持ちます。
ここまで紹介してきたジャマイカのショウガですが、日本でもオンラインショッピングで購入することができます。
興味のある人は、オンラインショッピングのサービス名とあわせて「ジャマイカ ショウガ」で検索してみてください。
ジャマイカの良質なショウガは癖になる味で、本当におすすめなので。
出典:
国連食糧農業機関 統計ページ
http://www.fao.org/faostat/en/
ジャマイカ産業商業農業漁業省 農業部門 Ministry Paper /2014 -Ginger Industry Expansion Programme
http://www.moa.gov.jm/Ministry%20Papers/2014/Ministry%20Paper%20Ginger%20Programme%202014.pdf
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