JICA海外協力隊の世界日記

ザンビア起業家の喜怒哀楽

ザンビアの若い起業家たち

前回ザンビア政府や外国企業・政府が起業家を支援していることをご報告しました。その中でも英国政府系の団体が支援する”Business Competition”で、私が支援した2人の若者が650社からの勝ち抜きで上位に入賞しましたので一部ご紹介したいと思います。

1.e-Learningのコンテンツやソフトウエア開発

 彼らは、e-Learningのコンテンツやソフトウエアを開発すべく早速活動を開始し、私もスタートアップの経営支援を継続しています。最初は、高等教育用の数学、物理、化学、英語などをビデオや音声を中心に、わかりやすいソフトウエアを開発・提供する予定です。その後社会人向けの教材の開発を計画しています。

ただ、ビジネスの経験の乏しい彼らには克服しなければならない課題も多くあります。 例えば、販売方法、プロモーション、売上管理、ソフトウエアの発送、ユーザーマニュアルなどビジネスに必要な管理システムを構築する必要があります。また、ザンビアのインターネット普及率が約15%でPCやタブレットの普及率も低い為、当面は普及率が70%を超える携帯電話端末(スマートフォン)向けにMini SDメモリーカードなどでソフトウエア提供をしていかねばなりません。

彼らは、起業家としての情熱、責任感、リーダーシップやチームワークを兼ね備えており、私は必ず課題を克服し成功するものと信じています。

世界のe-Learning市場は2兆円前後ともいわれており、ザンビアでも市場が開かれようとしています。

2.若い起業家たちとグローバル企業の出会い

 コンサルティング会社を設立したので、ぜひ支援してほしいという要請がありました。今は、大手NGOの顧客調査の請負が主たる業務ですが、将来は企業経営や業務に対する戦略、統合、ITなどのコンサルティングをしたいとのこと。社員は、パートタイムの学生を含め7名の会社です。まずは、経験やスキルを身につけることが先決のため、海外の起業家の成功例や一般企業の顧客、販売、製造、組織、人事、管理といった基本を丁寧に解説しています。

 別の若者たちは、企業の研修・セミナーなどを開発・運営する会社を2名で立ち上げました。彼らはザンビアでの人材育成や学校教育が不十分なため、企業教育は必ず成長すると信じており、私は彼らのプレゼン資料やコンテンツへの助言をしています。日本の企業向け研修サービスの市場規模は5000億円ともいわれており、彼らの夢が実現していくことを願っています。

ザンビアの若者たちが起業するエネルギーと成功を信じて情熱を傾けている姿を見ていると、この国の将来が大変楽しみに見えてきます。

また、情報通信業界ではグローバル企業が最近ザンビア市場に参入してきましたし、光ファイバーのインフラを着実に普及・推進している企業が業務範囲を拡大しています。1990年代に日本や欧米で構築された情報通信網がザンビアでも整備され、いずれグローバルな大手企業とザンビアの若い起業家たちが出会い、新しい産業を創造していくものと信じています。

澤村  ザンビア 首都ルサカより

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