JICA海外協力隊の世界日記

菅原洋子のミャンマー滞在日記

車いすの贈り物

皆さんは「海外に子供用車いすを送る会」というNPO法人をご存知ですか。この会は貸衣装屋の社長さんが2004年から始めた会ということです。これまでおよそ10年の間に23の国へ、5061台の車いすを送っているというので驚きました。これまで車いすを送られた国は、マレーシア、韓国、タンザニア、カンボジア、ラオス、インドネシアなどということで、ここミャンマーへは3回目の寄付だそうです。

 今月この会が、ヤンゴンの国立リハビリテーション病院とヤンゴン子供病院に各45台ずつ90台を寄付し、97日は私が活動している国立リハビリテーション病院で贈呈式がありました。代表として理事の小田さんがヤンゴンへおいでになり、日本の子供用車いすがどのようにここミャンマーまで運ばれてくるのかを写真で丁寧に説明がありました。

 日本では車いすは全国の障害児支援学校に各生徒が使わなくなったものが保管されていて、それが「送る会」の倉庫に集められます。集められた車いすを多くのボランティアが1日がかりで整備します。ボランティアは小学生から大学生それに日本に滞在している受取り国の人々です。百台以上の車いすを多くの人々が一斉に手作業で掃除し、修理するのでそれは壮観な写真でした。その日のランチは受取国ベトナムの人々がベトナム料理をふるまってくれたということです。そして最後は大学生と高校生がそれぞれの車いすのブレーキ、タイヤとシートの状態をチェックして仕上げです。それから11台を丁寧に梱包して再度倉庫に収めて終了ということになります。梱包された車いすは輸送用コンテナに詰め込まれ、船便で各国に運ばれます。このように多くの方々の手がかけられた車いすであることが、とてもよくわかり私も改めて一台、一台の車いすの大切さを実感しました。

さて、今日ヤンゴンではセレモニーの後に、昨年車いすを受け取った障害児のお宅を3件訪問しました。お一人は重度の痙性麻痺のお子さんでまだ10歳ということですが、体が大きいのでいつも2人がかりで抱きかかえて車いすに乗せているそうです。その他のお二人は14歳と9歳のアテトーゼ型のお子さんでした。14歳の少年は車いすの足台のところに足が当たってけがをするので、今は使っていないということでした。「来週にでもうちの病院に来てください。修繕します」と伝えてきました。手渡す時にはどのような状態だったのでしょうか。きっと体が大きくなったのですね。お二人は車いすに乗って家族と外出するのが一番の楽しみだと話してくれました。

このようなチェックはこの会の方針で決まっていることだそうです。本当は手渡した全員の1年後調査をできたらいいのですが、ボランティアと寄付で賄っている会の限界もあるのだと思います。

この会の活動は東京で行われているようで、関東圏の方々ならボランティアに参加しやすいかもしれません。(「海外に子ども用車いすを送る会」でネットに出てきます。)もちろん大人の方もボランティアに加わっており、お父さんに連れられてきた子供が車いすで遊んでいる姿が印象的でした。皆さんも機会がありましたら是非参加してみてはいかがでしょうか。新しい出会いの場があるかもしれません。

最後の写真は10歳のお子さんと家族の写真です。お父さんはお仕事でいませんが、車いすの後ろにいるお兄さんが私たちを車で迎えに来てくれました。家族に支えられている様子が伝わってきます。

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