JICA海外協力隊の世界日記

5Sでゴー 薬剤師マラウイ奮闘日記

1人でストライキだぁ!!

いろいろ小さいことでイライラすることもないとは言わないけど… 今までは独り言を(笑顔を保ちつつ、もちろん日本語で)ブツブツと言いながら廊下を歩き、ストレスを発散しながらやってきた。そんな私がついにブチッと切れて!? 行動を起こすことにした!

私の配属先カムズ中央病院の薬剤部門は4つの部屋に分かれて日常業務を行っている。私は注射薬の管理と病棟への医薬品払出をメインの業務とするInjection Storeで日常業務に携わっている。配置人数は私を入れて5人。責任者のファーマシーテクニシャンと、月替わりで配置されるインターン3人。以前はインターンが1人しか配置されておらず合計3人で忙しかったが、今年に入ってからインターンが3人ずつ配置されるようになり少しゆとりができた。そもそもこの人数の増加が問題!? 人数が多ければ当然責任の所在が不明確になりさぼる人が増える… 自分が居なくても/やらなくても誰かがやるだろうという雰囲気が見え見えになる。今回のメンバーになってから状況は特にひどく、責任者はしょっちゅう早退や欠席だし、インターンも2人はほとんどいない。特に私が納得てきないのは、事前に早退遅刻欠席の報告がほとんどないことだ。いつまでたっても出勤してこなかったり、朝は居たのにいつの間にかいなくなっていることもしばしば。私の職場では不在であれば、きっと理由があるんだろうと納得し誰も文句を言わないし追及もしない。シフト表があるわけでもなく、みんなが自由に来たり来なかったりだ(少なくとも私にはそう見える)。特定の人は真面目に毎日ほぼ時間通りに仕事をしているが、彼らも文句を言わないことが私には不思議でならない。

今月に入ってから、5人いるはずの私の部屋では、私と特定のインターンと2人で仕事をすることが多かった。過半数以下だ。そしてついに私の堪忍袋の緒が切れる日がやってきた!

その日は木曜日。責任者は朝から出勤してこなかった。子供のワクチン接種に行く必要があるようなことは言っていたが、欠勤するとは聞いていない。そしてインターンは朝は確かに3人いた。いつも一緒のインターンは風邪をひいて調子が悪いとお昼に帰宅した。そして午後、気が付けば部屋に私1人。2人インターンはどこへ? そして彼らの誰かが管理すべき鍵が机の上に置き去り!ボランティアで正規職員ではなく休日や緊急時の出勤をしない私は鍵の管理をしないと伝えてある。誰に聞いても彼らがなぜ居ないのか分からない。結局無断で早退したらしく戻ってくることはなかった。

私が不満に思った理由は2つ。仕事に対する責任感のなさとコミュニケーションのなさ。病院の薬剤部門は患者さんのために常に安全に薬を払い出せる体制になっていることが大原則なのに誰も居ない状況を作るなんて無責任すぎる。そして、それぞれ事情があって遅刻早退欠勤があるのは仕方がないとしても、4人中3人が何の連絡や報告もなく不在にするような相手を信頼してチームとして働くことはできない、そもそもコミュニケーションがなさすぎる。英語のできない私は(本当に情けないが1年経っても私は英語ができない…)残念ながらマラウイでは一人前の薬剤師とは言えない、英語ができないと理解も説明も不十分で知識がないと同じだ。事前に報告連絡相談がなければ他の職員にサポートを頼むことすらできない。ということで私はブチっ!!と切れて怒り狂った。

「何なのよ~!この状況は。仕事に対してこんなに無責任な人たちとは一緒に協力して仕事をすることはできない。1人でストライキを起こす!この状況が改善するまではこの部屋で彼らと一緒には絶対働かない!!」薬局内で宣言した私に、他の部屋の職員達は「落ち着け~」「落ち着け~」と言いつつ大爆笑だった。

今まで仕事の方法について自分の意見を主張することはあったが、仕事に対する態度については文化の違いもありどこまでこちらの日本人としての主張を通して良いか少し悩む部分もあったが、薬剤師として患者さんのための医薬品使用に責任を持つことはどこの国でも当然であり、今回はたとえマラウイ人が問題と思わなくても私は問題だと思っていることを最大限アピールすることにした。

怒り狂ってても仕方ないので1人で作戦を立てた、せっかくストライキをやるなら少しでも効果的にやる方法を考えねば。まず自分の主張をどう伝えるか。英語の能力に欠ける私は日々、口頭では上手に伝えられないことが多い。なのでまず帰宅後辞書を片手に「手紙」を書いた。でもここで彼らを批判して怒りをぶちまけるだけでは仕方がない。何を問題と感じているのか、別に1人にされて自分だけ仕事をしなければならなかったことが不満だったわけではない。一緒に働いているチームの一員として報告連絡相談なく不在にすることが当然であることが納得できなかっただけだ。私には彼らのサポ―トが必要だし、彼らはチームとして連携し自分達のまかされている部屋の業務が滞りなく行われるようお互い協力しなければならない。私の同僚はみな素敵な人たちだ。それぞれとても魅力的だし、働く時は真面目に業務に取り組んでいる(まあ働く時が少なすぎるのが問題だけど…)。私は同僚たちがとっても好きだ。なので最初の怒りが収まった後の私は、怒っているというより彼らの責任感にかける行動にがっかりして寂しく残念に思っていることをまず伝えようと思った。そして、現地の薬剤師としては能力不足で彼らの支援を必要とする私は、報告連絡相談のコミュニケーションが不足している彼らのチームの一員として働くには不安があり、それゆえこの連携不足が解消されるまでは安心して働けないことを説明し、きちんと話し合いをして問題が解決されるまではこの部屋での業務は行わないと決めたと宣言する内容の手紙を書いた(と自分では思っているが、英語でちゃんと通じたか不安だけど(>_<) )。

翌日、辞書を駆使して寝不足になりながら作成した「手紙」を携えて出勤。ストライキと言ってもここで出勤しなければ彼らと同じ無責任だ。ちゃんといつも通りの時間に出勤して仕事をする姿勢を見せるのが日本人の私。昨日大爆笑した他の職員達は今日も笑いながら「まだ怒ってるの?」「今日はどこで働くの?」「本当にストライキするの?」「今日はこっちで一緒に働いて良いよ~」「手紙書いたの?」などと興味津々で声をかけてくれる。当たり前よ、有言実行、今日はストライキだぁ!

さてこの後どうなったか。続きは次回の日記で(笑)

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