JICA海外協力隊の世界日記

5Sでゴー 薬剤師マラウイ奮闘日記

マラウイのエレベーターに乗る!

私の活動先であるカムズ中央病院には4階建ての病棟がある。もちろん入院患者には自力では動けない人も多く車椅子やストレッチャーで移動する人のためにエレベーターが設置されている。(ただし2機あるエレベーターのうち1機しか動いておらず、待ちきれずに階段を使って車椅子の患者さんを移動させている光景も良く見るが) 首都の中心部には高い建物も多くエレベーターが設置されている建物も多いが、一般のマラウイ人が使用する建物としてはエレベーターが設置されている高さのものは非常に珍しい。2階以上の階段には「物を投げ捨てないように」とわざわざ注意が書かれているほどだ。学生やインターンは病院で初めてエレベーターというものに乗る機会を得ることも多いようで興味津々で乗りたがる。

しかし私は絶対に乗らないと決めていた。もちろん恐ろしすぎるからだ。まず病院とはいえ停電の多いマラウイで、乗っている最中にもしものことがあれば…。そして珍しいエレベーターのメンテナンス状況がどうなっているか…。不安要素しかない。しかしそんな私がエレベーターに乗る日がやってきた!

この日私は2階にある透析室から期限切れの薬を引き上げることになっていた。事前に確認したところ、とても手で運べる量ではない。そのため現地スタッフに依頼し台車を持って一緒に病棟へ。行きは現地スタッフと台車だけをエレベーターに載せ、私は階段を使うと宣言し小心者だと笑われながら階段へ。そして薬を台車いっぱいに回収しいざ薬局へ戻る帰り道、エレベーターに乗る羽目に陥った!! もちろん私は台車だけを載せるつもりで自分は階段を使用する予定だった。しかし台車が重く、エレベーターと廊下の隙間に車輪が引っ掛かり載せるのに協力しなければならず、いつのまにかエレベーターの中へ。そして扉が閉まり… 「うそっ!!」エレベーターに乗っていた。無事に1階に着いたが生きた心地がしなかった(笑)

しかし百聞は一見にしかずで、乗ってみて初めて分かったマラウイの(カムズ中央病院の)エレベーター事情がある。

エレベーターの前を通るたびに不思議に思っていたこと。「なぜエレベーターを待っているマラウイ人はエレベーターの扉を激しくドンドン叩くのか?」いつも人々が扉を叩き、扉のその高さの塗装が剥げているほどである。待ちきれなくてイライラしているのかとも思うが、もともとのんびりしている彼らには似合わない行動であり理解できないでいた。

普通のエレベーターのように病院のエレベーターにも当然外側に呼び出しのボタンが設置されている。乗りたい時に押す上下のボタンである。しかし病院のエレベーターはこれが作動していないのである!つまり乗りたくても自分でボタンを押して呼ぶことができない。ではどうなっているかというと、中にエレベーターガールならぬおじさん職員が乗り込んでおり(ちゃんとおじさん用の椅子が設置されている)、中で次にどこの階に停まるかを決めて操作しているのである。したがって乗りたい場合はドアを叩いて中に伝え、迎えに来てもらわなければならない。

ではおじさん職員が搭乗していない場合はどうするか。エレベーターは次の行き先階を押さなければ、ドアが開いたまま停止し続け動かない。なのでしばらく待っても動く気配がなければ、誰かが停止している階まで出向き、行き先階ボタンを押すしかないのである。なかなかのシステムである(笑)

いろいろ実際に自分で挑戦・体験してみないと分からないことはいっぱいある。せっかくの貴重なマラウイ生活、私も多くのことに挑戦してみようとは思っているが、病院のエレベーターに乗ったのはいまだにその1回のみである。

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