JICA海外協力隊の世界日記

5Sでゴー 薬剤師マラウイ奮闘日記

行って来ました!夜の病院

私が働くカムズ中央病院の薬局の勤務時間は7時30分から16時。毎日7時30分に職場に出勤する私は、いつも一番乗りで鍵はまだ開いておらず、鍵を持っている職員が出勤するまで空や自然や人々を観察しながらぼーっと過ごす時間を満喫しています。7時30分始業のはずなのに9時になっても職員がそろっていないのは何故かは考えてはいけません(笑)。

そんな日勤帯にしか病院にいない私はずっと夜の病院がどうなっているのか興味がありました。カムズ中央病院はマラウイの中でも最も高度な三次医療を提供する4つの中央病院の1つのなので夜がどうなっているのかぜひ見たいなと思っていました。しかし、ここはマラウイ。夜の徒歩外出は厳禁、病院の敷地内と言えども日本のように建物1つではなく、各部署の建物が点々としている病院内をウロウロするのは脅威でしかありません。そして野良犬がそこらじゅうに居て、かつ狂犬病のリスクのあるマラウイ。なかなか夜の病院を探検する勇気の出ない中、ついに機会を得て行ってみました。

きっかけをくれたのは中国医療チームの内科の先生。同じ複合住宅の敷地内に住み、同じカムズ中央病院で働いていた先生。その後ムズズ中央病院に移動されてしまいましたが、2ヵ月ほど毎朝45分の道のりを一緒に通勤させていただいていました。である時「夜の病院に行ってみたいんですよね」とポロッと発言したところ、「じゃあ行こう!いつにする?」と。私にはこの勢いが足りない…。といっても真夜中の移動は危険すぎるので20時~21時に行くことに。せっかくなので!?、やはり同じ敷地内に住み同じく青年海外協力隊の理学療法士として活動している隊員も誘って3人で、いざ!夜の病院へ。

感想は、意外に機能している!?。日中でも時々停電のある病院ですが… 思っていた以上に明るいなと思ったのが第一印象。そしてそれなりにスタッフも居るんだなと。夜中は探しても見つからないと聞いたことがあったので。もちろん薬局も含め検査部門や放射線部門などは閉鎖されており、救急外来にあたる部門と入院病棟だけの稼働ですが、思った以上に病院として機能している印象でした。警備スタッフが大勢いるのは想定通りでしたが、ビックリしたのは20時にも清掃スタッフが多くいて、各場所を掃除していたこと。マラウイ人はとてもきれい好きで病院の床などはいつでもきれいです。影ながら病院を支えてくれている警備や清掃のスタッフさんにも感謝ですね。(余談ですが各所のお庭もとてもきれいです、ガーデナーさんにも感謝!)

もう1つ気になっていたこと、それは付き添い家族のこと。マラウイでは看護師は医療行為が主な仕事で介護にあたる部分は付き添い者が行います。薬剤師の私が驚いたのは薬の交付。飲み薬は時間になると看護師が薬を乗せた台車のそばから患者さんの名前を大声で叫びます。すると付き添い者がやってきて薬を受け取っていき、ここからは付き添い者の責任で患者さんに飲ませます。付き添い者が居なかったら… なので何の薬をいつどれだけ飲んでいるかを付き添い者がきちんと理解しているのは利点です(日本ではご家族はなかなか理解しにくいですよね、もちろんマラウイでは薬の種類が非常に限られているので把握するのがとても簡単だという理由もありますが)。そして注射薬。病棟にもよると思いますが、ある病棟では薬はまずまとめて家族に渡されます。そして投与回数と日数が説明され、投薬時間になったら家族から看護師に注射を依頼します。依頼を忘れて投薬が漏れたら患者側の自己責任… ちょっと(かなり!?)ビックリしました。

で、話がずれましたが、マラウイではこういう理由もあって患者さんの周囲にはいつも家族や近所の人やら付き添い者がたくさんいます。そして中央病院には広範囲のエリアから患者さんが照会されて集まってくるので帰宅できず滞在している付き添い者も多くいます。日中は病室だけでなく敷地内のお庭が付き添い者であふれ炊事場や洗濯場も整備されている病院で、夜間はそれらの人々がどうしているのか気になっていました。やはり日が暮れると帰宅できる人は帰宅するそうで、病室内いは家族の姿は少なかったです。付き添い者滞在用のテントがあり、そこで寝泊まりしている人も多いようで、テントの中から話し声が聞こえていました。また病院の廊下の床の上で寒そうにチテンジ(マラウイの人々が生活に使用する布)にくるまって座っている女性がちらほら居たのも印象的でした。

日本の病院は完全看護で面会時間が決められ家族の負担が少なくて済み、いつでも適切で丁寧な看護が受けられて素晴らしいと思うと同時に、いつでも家族や友人に囲まれて支え合っているマラウイの人々がうらやましくもある体験でした。夜の病院は私の想像以上にきちんとしていてちょっと安心!?しましたが、やはり健康が一番。病院にはお世話にならなくて済むのが一番ですね、日本でもマラウイでも。

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