JICA海外協力隊の世界日記

Dive into Jamaica

ウミガメの産卵

こんにちは。

人生で一度は見てみたい光景は何でしょう?鯨のダンスや北の国のオーロラを見てみたいと思う私はテレビの見過ぎですね。という事で今回はタイトルの通り、ウミガメの産卵についてです。

先日、同僚から「ウミガメが近くのリゾートホテルで産卵したから保護しに行かない?」と誘われたので早速隣のランナウェイベイまで出張しました。ホテルのプライベートビーチではジャマイカの環境省であるNEPA( National Environment & Planning Agency)の方がホテル関係者に卵を見せていました。卵はピンポン球サイズでぶよぶよしていて優しく握らないと割れてしまうほど柔らかいです。

写真の膝立ちの姿勢の方はウミガメの産卵やその生態に非常に詳しく、今回の保護活動を主導していました。私は最初NEPAの職員の方だと思っていたのですが、何と一般のウミガメ愛好家の方でした。10年位以上前にイギリスからジャマイカに移住して所有しているビーチのウミガメを保護しているうちにジャマイカのウミガメ事情に誰よりも詳しくなっていき、気付けばNEPAやジャマイカの研究機関から協力を求められるまでに知り尽くしたまさにウミガメ界の千石先生というべきすごい方でした。

実際に掘り出したのが上の写真です。深さは40cmほどで、想像以上に大量の卵がありました。その数何と180個。

保護する方法ですが、正確にいうと産卵した場所から少し移動した場所に埋めもどすことを行いました。ではなぜウミガメが産んだ場所からわざわざ動かして埋め戻したのかといこと事です。実はウミガメは人が多いと産卵する場所をうまく選べていないことがあるそうです。

今回の産卵もホテルのプライベートビーチのど真ん中だったのですが、底の方の卵が海水に浸かってました。このような状態の卵はうまく孵化できず死んでしまうそうです。またわずかな温度の違いによって雌雄が変わるなど、卵は非常に繊細で興味深い生態をしています。

見つけた卵は孵化した時に登りやすく、かつ安全な所に埋め戻されました。今回見つかったウミガメの卵は絶滅危惧種タイマイ(英名Hawksbill sea turtle, Eretmochelys imbricata)の卵でした。孵化には50日かかり、孵化したのちに夜間に海に出て数パーセントが無事に成長できると言われています。

リゾート客にとっても珍しい光景だったので多くの方が卵の移動に協力してくれました。ホテルはこのウミガメ愛好家の先生と共同でホテルのアクティビティに組み込めないかと画策しています。ビジネスが関わるとホテルも大きく動くようで、もしかするとジャマイカのエコツーリズムとして新しくビジネスが始まるかもしれません。

ちなみに日本では日本ウミガメ協議会というウミガメ界の新日本プロレスのようなすごい団体があります。もし、海岸を散歩している時にウミガメやウミガメの痕跡を見つけたら是非日本ウミガメ協議会に連絡しましょう。

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