モロッコ便り★ハムドゥリッラー

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髙野 友花
(神奈川県)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
助産師
派遣国
中東・欧州
モロッコ エルジャディーダ県エルジャディーダ市
一言メッセージ
モロッコで助産師として母子保健活動をしています!現地の文化を学びながら、自分にできることを少しずつ取り組んでいきます!

 

モロッコの母子保健状況

2017.08.24

活動

こんにちは。今回はモロッコと私の任地の母子保健状況について紹介したいと思います。

モロッコの公立の医療機関には、病院保健センターがあります。私は、主に保健センターで活動しています。上の写真は、母親学級の教材の一部で、保健センターについてのイラストです。

病院◆

私の任地には、年間10000件ほど分娩を扱う病院と、年間3000件ほど分娩を扱う病院の2つの総合病院があります。病院では、日中と夜それぞれ3-4人の助産師で分娩に対応しています。多い時には1日で30件ほどの分娩があります。日本では年間の分娩が1000件を超える病院は、お産が多い病院と言われ、医療者の数ももっと多いです。

都市部では、妊婦健診は保健センターで行い、出産は病院で行うことになっています。

◆保健センター◆

私の任地の県内には、39の保健センターがあります。都市部には保健センターが5か所あります。

保健センターでは妊婦健診母親学級、予防接種などを行っています。

分娩施設付き保健センターという、助産師のみで正常な分娩を扱う保健センターも8か所あります。現在、3か所の分娩施設付き保健センターは機能していませんが、5か所で年間約3000件ほどの分娩を取り扱っています。1年間に1000件前後の分娩を取り扱う施設もあります。分娩施設付保健センターでは、夜間は助産師一人での勤務であることがほとんどです。

妊娠中から産後までのモロッコの状況としては以下のようになっています。

<妊娠中>

モロッコでは、1人の妊婦さんあたり妊娠中最低4の妊婦健診受診が推奨されています。

(日本では、14回の妊婦健診が標準的な回数とされています。)

実際に私の任地では、昨年の平均は1人の妊婦さんあたり2.21回でした。

保健センターによっては3回以上のところもありますが、まだ目標達成には至っていません。

妊婦健診の内容としては、体重、血圧測定、赤ちゃんの成長をみるための子宮底の測定、赤ちゃんの心臓の音の確認、破傷風の予防接種(日本では行いませんが、モロッコでは必須です)が主です。これらは各保健センターで行い、血液検査や超音波検査は指示書を出し、病院で行います。

妊婦健診の状況は、下の写真左の女性手帳と呼ばれる青い冊子(後述します)に記載します。写真右は、破傷風の予防接種について説明するためのイラストです。

<分娩>

病院または、分娩施設付き保健センターで行います。入院期間は最大48時間後までです。48時間以内で自宅に帰ることもあります。分娩が多いので、ベッドが足りないためです。

<産後健診、予防接種>

各保健センターにて実施します。妊娠・分娩は私立の病院で行っていたという人や、自宅で出産した人でも、赤ちゃんの予防接種には来ています。子どもには予防接種をするという意識は住民にしっかり根付いているのだなと感じます。

◇女性手帳とこども手帳◇

日本では母子手帳に母と子の両方の情報を記載しますが、モロッコでは女性手帳とこども手帳に分かれています。モロッコでは、従来からこどもの予防接種を記録する手帳は存在していました。こども手帳は、上の写真のように男女で冊子が分かれています。

女性手帳は、女性の一生涯をサポートする内容であり、妊婦健診、家族計画、乳がん・子宮がん検診等の記載欄があります。この女性健康手帳は、女性が女性として自覚し、周囲にも尊重されることを願って作成されたといいます。2004年に日本で開催された研修に参加したモロッコ人医師が日本の母子手帳を知ったことがきっかけで女性手帳が作成されたそうです。

女性手帳の内容は素晴らしいのですが、残念ながら活用しきれていない現状があります。

現在、私はモロッコに派遣されて11か月が経過しました。

モロッコと日本では生活や働き方、医療者の数等の状況が全く違うので、比較をしてはいけない、と日々思いつつも、今まで慣れ親しんだ日本の医療とモロッコの現状を比較してしまい、その違いに葛藤を抱きます。否定をしてしまうと関係性が壊れてしまいますし、色んな気持ちをぐっとこらえながら、少しずつできるところから活動しています。

残りの活動が11か月となり、焦る気持ちもありますが、「少しずつ」と「主役は現地の人であること」を意識して、モロッコ人と歩んでいけたらいいなぁと思います。