JICA海外協力隊の世界日記

みんなの知らないインドネシア~スマトラ島・バンダルランプン~

ゴミが川を堰き止める!

 インドネシアはどこに行ってもゴミ問題が深刻です。ここバンダルランプンもご多分に漏れずゴミがあちらこちらに散乱、下水や川をブロックして大雨の時に街中の冠水の原因にもなりかねません。また、ゴミ収集や清掃作業をしていることはしていますが、埋め立てによる最終処分場はどんどん狭くなっており、このままでは自然環境も住環境も悪化する懸念があります。私は任務として農産加工業におけるバイオマス系廃棄物のマネージメントに取り組んでいますが、これとて地場産業に直結したゴミ処理の一環です。背景にあるのは産業でも一般社会でもいかに不要な物を出さないか、どう再利用するか、どのように循環させるか。即ち、世界のどこに行っても同じですが、ゴミ問題を解決するためには3R(Reduce / Reuse / Recycle)に対する我々一人一人の取り組む姿勢が大切と言えるでしょう。

 以前の記事にもあるように(2015年8月)、インドネシアでは環境に取り組む隊員が各地で活動しています。学校での環境教育に携わっている隊員が多いのですが、主立った活動の一つはゴミを「(なるべく)出さない」、「ポイ捨てしない」、「分別する」を現地の子供たちに教えること。これがいずれ家庭ゴミ、都市ゴミ、そして産業廃棄物の適正な処理に繋がっていくことへの期待を込めて日々取り組んでいます。その活動状況や様々な情報を交換することを目的に、折に触れ環境関連の隊員同士が分科会を開いています。私自身少し分野が違うものの、参加するたびにいろいろと参考になる情報が得られ、たいへん勉強になっています。

 さて、インドネシアのゴミ問題、どのように今後展開していくのでしょうか。おそらく一朝一夕には解決できないことと思いますが、まずは現地の人が一人一人「その気」になること。つまり、我々としては皆が「何とかしよう!」という気持ちになってほしいなぁ~、という思いです。それには具体的に「ゴミをちゃんときれいにすればこういう良いことがありますよ」ということを示す必要があります。それを目標として実際の行動に移していくことが理想の形でしょう。私の考えでは、大量にあるゴミ(廃棄物)を大量に使う物に変換することが一番現実的ではないか。例えばエネルギーや堆肥、紙パルプとして活用できれば、地元の人たちにとって「ゴミがこんなに役立つ物に変わった!」と身近に実感できるのではないでしょうか。生ゴミは堆肥に、新聞紙や段ボールなどの故紙は紙パルプに、そして木材やプラスチック類を含む有機物ゴミ(=「炭素を含む物質」の意)は電気や熱を供給するエネルギー源として活用する。この三つの用途に対してバランス良く原料となる廃棄物を供給することにより、ゴミ処理=有用物質・エネルギーへの変換というシステムが可能になることと思います。そして、このことを広く一般の人々に周知する。それによって「ゴミを何とかしよう」というモチベーションが個人個人上がってくることを期待しています。

 もちろん、ゴミ利用のための設備投資や収集運搬コストなど経済的な負担は大きいので、「どこでもすぐに」とはいかないでしょう。また、処理容量には限界がありますから、極力ゴミを出さないことが原則であるのは言うまでもありません。しかしながら、こうした理想的なゴミ処理システムの構築にはゴミをきちんと捨て(=集め)、それを分別することは欠かせません。JICA隊員を含む環境教育に携わる人たちの地道な努力が、いずれこうした健全なゴミ処理を行なえる体制になり、インドネシアのあらゆる環境改善に繋がっていくことを願ってやみません。

(写真1)河口付近に堆積したゴミの山;(写真2)満杯状態のゴミ最終処分場;(写真3)パーム油工場の廃棄バイオマス

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