興味は命の賜物

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土棟 亜也子
(北海道)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
青少年活動
派遣国
中東・欧州
エジプト、カイロ
一言メッセージ
成長も行動も、興味を味方に加速します。初めての街、初めての文化、初めての景色。関心深い出会いを綴っていきます。

 

共同制作

2017.09.06

活動

子供は元気だ。エジプトで日々子供に接していると心から思う。

そして子供から大学生まで、スレたところがなく素直。

愛らしいまでに自分に注目してほしいことを態度で示してくる。

それは一方で、1対多数で指導に当たる難しさでもある。

エジプトで日本の教育を振り返り再認識したことの一つが、

「グループ意識やチームワークを育てる」ということ。

グループで何か一つのことをする。グループで相談して決める。

チームを作って対決する。役割を決めてそれぞれが並行で動く。

それは大人になると、時間の効率活用や仕事の進め方にも現れてくる。

幸い、私の活動時間における子供への指導自由度は随分高くなった。

今年5月以降、アクティビティのための時間を持つこともできている。

アクティビティ活動では、個人の技術向上もさることながら、

順番を待つ、交互に挑戦する、グループに分かれてゲームする、など、

協調性や生徒間の学び合いを触発する試みを推進している。

写真は、3月末にトライアルとして製作したハンドツリー。

上の葉っぱの部分は就学前児童の手。

幹の軸は施設長の手。

そして根の部分は、施設で働く人々と私たちボランティアの手。

ちょうど、別の都市で活動する協力隊員が配属先に来てくれた日で、

この集団画製作に一緒に取り組んでくれた。

配属先の約1年の活動において、初めて絵の具を使った。

小さな子供達の中には、絵の具自体が初めての子も多かっただろう。

色を選び、手のひらで色を混ぜ、スタンプをポン。

おどおどしながら慎重にペッタンする子もいれば、

一瞬のうちにペタッとする子もいた。

思い思いの手の葉っぱには、緑、青、茶、赤などその色もさまざま。

そこに、木をかたどる葉っぱの緑や黄、幹の茶、土の茶と黒で背景を描き仕上げる。

3-6才くらいの子供たちが列になって順番を待ち、

並ぶ、色を選ぶ、スタンプする、手を洗う、手を拭く、自席に戻る。

を一連の流れとして出来上がった初めてのグループ作品だ。

嬉しかったのは、施設長が喜んで参加してくれたこと。

画用紙の上部に、「"配属先名称"の家族の木」と文字を入れようと思う。

と話したところ、「誰が来ても読めるようにアラビア語で書こう。」

と提案してくれた。

9月半ばには、公立校や私立校の新学期が始まる。

新学期が始まると、配属先に通う子供達も多くなるとのことで、

直近、教室の飾り立てや新レイアウトを準備している配属先の方々の姿が目に付く。

ハンドツリーにアラビア語の文字が書かれ、室内アイテムとして

毎日目にすることができる日が来るのが待ち遠しい。

エジプトの暦には、西暦とイスラム暦(ヒジュラ暦)が併用される。

学校行事は西暦基準で新学期は9月、

中間テストは1月頃で、期末テストは5月頃。

一方で、国民の祝日や生活はイスラム教のイベントに因るところが多い。

ヒジュラ暦のカウントは、西暦に換算すると1ヶ月約29.5日、1年約354日。

ラマダーン(断食月)などのイベントは年毎に西暦日付が異なり、

前年比較では毎年11日程度ずつ早まることになる。

今年のラマダーンは、6月のほぼ1ヶ月間であった。

アクティビティ活動においては、色を塗る、絵を描く、から発展して、

はさみを使う、紙を切る、ということに少し慣れてきた子供たち。

時期を同じくして、縁あってエジプト人に教えてもらった切り絵のファヌース作りに取り組んだ。

ファヌースとは、ラマダーン期間中にとても良く目にするランプ装飾だ。

日本の提灯とエジプトのファヌース、紙文化としては共通するものがある。

小学生高学年の子供達に、トライアルで作ってみた。

線対称の認識は比較的簡単そう、はさみを使うことも特段問題なさそうだ。

だが、外形を描くのが大変そうで、なかなか1人で描ききることができない。

であればと、ダンボールで型紙を作ってみた。

ファヌースの美しさは、その線対称のフォームにある。

紙を半分におり、対象を意識して型紙をあてる。

形をなぞり描きし、はさみで切る。

型紙があるだけで、子供たちの手の動きは格段に向上した。

ファヌースを作ったと聞きつけた他の子供たちが、

「ファヌース作りたい!」

と配属先に来るようになった。

まず初めの1枚は色を塗ってお家に持ち帰る。

ファヌースは、就学前の子供たちもすでに馴染みがあるようで、

覗きに来ては、「ファヌース!」とニコニコだ。

であればと、

色塗り前の紙のファヌースを小さな子供達に色塗りしてもらうことにした。

切り抜きがあって中にはかなり細い部分もある白いコピー用紙。

色を塗るときに破いてしまうことを少し懸念していたのだけれど、

子供たちは左右の手を上手に使い、紙をくるくる回しながら色塗り。

その小さな子たちが塗ったファヌースが写真の左側上部のものだ。

色とりどりに様々な色を使う子もいれば、同系色の数色を使う子もいる。

その繊細なラインは、ランプが光って反射しているようにも見えてくる。

そんなこんなで、大人気になったファヌース。

せっかくならラマダーン期間中に教室内に飾ろうと、大量に作成することにした。

完成したファヌースを配属先にあった毛糸に通す。

ファヌースとファヌースの間に、短冊で仕切りをつけて位置を固定。

仕切りに活躍したのは、なんとポテトチップスの空き袋だ。

そうして出来上がったファヌースの飾り。

教室に飾った様子が写真の右上と右下の2枚。

通常、ポテトチップスの袋はゴミ箱にポイ。

ところが、シルバーのビニールでできているポテトチップスの袋は、

光をキレイに反射する。味により袋の色みもさまざま。

オレンジ、黄色、水色、青、赤、茶色。

小さなサイズの袋は、その大きさ的にも飾りにぴったりだった。

小さな子たちがいろ塗りしたファヌース、大きな子たちが作ったファヌース、

加えて、ポテトチップスの空き袋を切り取ったファヌース。

それを毛糸に通すのも、子供たちにとっては、とても楽しいゲーム。

次から次へとファヌースをスイスイ通しては、

「コレが好き」、「コレ私が色塗った」など、

嬉しそうにはしゃいでおり、非常に微笑ましい光景であった。

家で作るから型紙をほしいと言う子もいた。

指導者の一人は、家に飾るから教えてくれとノートを1冊持ってきた。

ラマダーン明けに取り外した教室のファヌースの飾り、

施設長が、来年また飾ると言って、今は型紙と一緒に箱に閉まってある。

協力して作り方を教えあう、限られた型紙を順番で使う、

色を共有して使う、皆で1つの目に見える形に仕上げる。

多くの要素を組み込んで、子供達の手でできた大きな共同制作だ。

今年ファヌースの作り方を覚えた子供たちが、来年のこの時期、

今度は伝達者として活躍してくれることに想いを馳せる。

そして、紙と色を応用した共同制作、粘土画。

発想豊かな子供たちが創り出した沢山の海の生物だ。

背景画を水彩画で上手に描いてくれたのも勿論子供だ。

この粘土、ご縁で教えていただいた、なんと、小麦粉から作る粘土。

家庭のキッチン食材から作ることができる。

小麦粉、油、お水、そして少々の塩。

徹底しているのは、カラフルな色が食紅であること。

全て口にすることができる、安全な原材料だ。

普段足を運ぶ近くの商店で入手可能であることも重要なポイントの一つだ。

この食紅、私のアクティビティ推進において、大きな一歩の実感にもなった。

それは、施設長が私に必要資材の買い物をさせてくれたこと。


配属先からお金を引き出すのは容易なことではない。

それはそうだ。

貴重な資金、少しでも余分なことに使うことは避けたいだろう。

配属先にすでにあるペンなどを活動で使わせてもらうのにも、

何日も、時には何週間も時間がかかることがある。

それが、

安価で容易に近くで入手できること、

1回に使う量はさらに微量で、

1度買うと数十回にも分けて使うことができること。

などを話し、数日で実現した買い出し。

ケーキなどに使われることが多い食紅。

お店によってはさまざまな色を扱っているが、

私が選んだのは、黄色、赤、青、の三色。色の三原色だ。

色の三原色から何ができるか。

それは、色を混ぜること。

色環のリアルな色作り体験だ。

赤と青から紫、青と黄色から緑、黄色と赤からオレンジ、

3色を全て合わせた茶色、そして食紅なしの白。

テーマは海。

背景は青い画用紙、

全部で8色の粘土を使い、子供達は思い思いに海の生物を創る。

魚、ヒトデ、クラゲ、カラフルな熱帯魚。

海に浮かぶ船を作ってくれた子もいた。

そうして出来上がった海の大作。

埃が乗らないように透明ラップでコーティングされ、

今は飾る場所のセッティングを待つばかりだ。

この粘土の試み、子供たちは勿論、配属先の人々にも好評で、

今度はもっと大量に作ると楽しみにしていた。

活動期間内に、配属先の人々が実施する粘土細工の時間を

見学できると嬉しいな。