興味は命の賜物

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土棟 亜也子
(北海道)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
青少年活動
派遣国
中東・欧州
エジプト、カイロ
一言メッセージ
成長も行動も、興味を味方に加速します。初めての街、初めての文化、初めての景色。関心深い出会いを綴っていきます。

 

ラマダーン

2017.06.11

文化 生活

イスラム教の五行の1つであるラマダーン、

2017年は5月27日(土)が開始日となった。

イスラム教に因んだ年間行事は、西暦で決まる学校行事などとは異なり、イスラム教の暦(ヒジュラ暦、太陰暦)に従って決まる。

ヒジュラ暦のカウントは、西暦に換算すると1ヶ月約29.5日、1年約254日。

ラマダーンなどのイベントは年毎に西暦日付が異なり、前年比較で11日程度早まる計算になる。

ラマダーンはヒジュラ暦の第9月、断食月といわれ、日中の飲食を絶つというもの。

断食は、サウムと呼ばれ、アラビア語の女性形活用では「サイマ」。

この時期、活動先の子供達、お店の職人、道で話すエジプト人から

「エンチ、サイマ?」(あなたは断食してる?)と尋ねられることはとても多い。

ラマダーン期間中の特徴として、飲食店の日中閉店、ファヌースというランプの装飾、コーランの音読、モスク(イスラム教の礼拝堂)でのお祈りの増加、などが見受けられる。

写真はモスクの入り口。入り口は、基本的に土足禁止。

モスクの中にはカーペットが敷き詰められ、メッカの方向を向いて礼拝を行うことができるようデザインされている。

女性と男性のお祈り空間は分離されており、女性のための礼拝スペースは、周囲から見えないよう幕などで仕切られている。

モスク内には1日5回の礼拝時間が掲げられていて、西暦とヒジュラ暦の双方の時間を確認することができる。

西暦2017年6月は、ヒジュラ暦に換算すると1438年のほぼ第9月に該当する。

日中の飲食店閉店に伴い街並みが閑散としている上に、

モスクに出入りする人々、歩きながらコーランを音読している人々の姿が見受けられ

通常の交通渋滞やクラクションとは別世界の厳かな雰囲気が街一帯に広がる。

エジプトにおけるラマダーンの風物詩、ファヌース。

5月初旬から店頭に並び始め、

キヨスク(露店)、モスク、オープンカフェ、住宅街、土産店、

街のいたるところで目にすることが多くなる。

このファヌース、毎年親から子供に1つずつプレゼントする風習があるようだ。

初めは、毎年ファヌースが増えるって大変なのでは。と思っていたけれど、

良く見ると、おもちゃに工夫された子供向けのファヌースがたくさん。

子供向けのファヌースにはいくつか共通点がある。

まず形。キャラクターや子供になじみの深い動物(アヒル、鳥、クマなど)でデザインされており、下部にはローラーが付いている。

次に光。電池式で姿全体がピカピカ光る。

そして音。スイッチを入れるとラマダーン特有のアラブ音楽を奏でる。

つまり、電動式でピカピカ光りながら音楽を奏でて動くランプ。

視覚と聴覚の両方で子供の興味をそそる特別なおもちゃだ。

そりゃぁ、子供は毎年違うのほしくなるよねぇ。

そしてなんと、これらのファヌース、ほとんどは中国製。

中国マーケティングの浸透も実感する商品バリエーションだ。

一般的なファヌースは、ハーヤメーヤと呼ばれる美しい幾何学模様の布を使う。

モスクやカフェの中には、この布を大きく広げて飾るところもある。

ハーヤメーヤ柄で着飾られるにつれ、街は一層賑やかさを増す。

ラマダーンという断食月、言葉から連想すると厳しい修行のように感じるが、

毎年経験しているエジプト人のお話では、毎日がお祭りの期間でもあるのだとか。

上の写真はスイーツ屋さん。


日没と共にいただくエフタール(その日初めての食、通常は朝食を示す)のためのスイーツを買いにくる人々でお店は混雑しており、なんと店頭で整理券を配布していた。

日中の絶食で不足しているエネルギーを補強するため、この時期のエフタールには甘いスイーツが欠かせない。

小麦粉を糸状に紡いだコナーファをたっぷりのシロップにつけて揚げたり焼いたりしたお菓子。

小さなパンケーキにナッツやドライフルーツを包んで揚げるアタイエフというラマダーン時期特有のお菓子。

グラニュー糖のようなふんわり真っ白なお砂糖をたっぷりかけたカハクというビスケット。

蜂蜜たっぷりの小さめのドーナツや、チョコレートやアーモンド、ナッツをトッピングしたお菓子。

とにかく糖分たっぷりの甘いお菓子たちが店頭に並ぶ。

兄弟姉妹などの家族の集いや、友人など人々が集ってパーティーのように食すことが多いエフタール向けには、ホール買いが一般的。

ピザのデリバリーのような大きな平たいスイーツ箱を持ち歩く人は多く、

その姿は、心なしか皆ウキウキしているように見える。

この時期一般的に知られる生活サイクルは通常と異なる。

日の入り時刻を示すアザーン(礼拝の呼びかけ)と共にエフタールをいただき、以降、シーシャ(水タバコ)やシャイ(紅茶)を堪能する人々がカフェに戻ってくる。

通常以上に夜中12時、1時までファヌースのライトアップの中で人々は

お祭り時間を過ごし、日の出前の夜中1時から2時くらいにスフール

という軽い食事を済ませて眠りにつく。

家で過ごす時間の多い女性たちにとっては体調管理が難しい時期でもある。

男性と比較すると、女性たちはカフェに出入りすることが顕著に少ない。

つまり、夜のお出かけなく眠りにつき、スフールのために起きてすぐ再度眠りにつく、という「食っちゃ寝」生活に陥りかねない。

断食を体験するという時期でありながら、食の豊富なエジプトの首都カイロでは、日没後の食に困ることはほぼないと思われる。

ラマダーン、イスラム教徒の人々にとって、体調管理が試される1ヶ月にもなりそうだ。