興味は命の賜物

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土棟 亜也子
(北海道)

ボランティア/職種
青年海外協力隊
青少年活動
派遣国
中東・欧州
エジプト、カイロ
一言メッセージ
成長も行動も、興味を味方に加速します。初めての街、初めての文化、初めての景色。関心深い出会いを綴っていきます。

 

小道具

2018.02.01

生活

街中を注意して歩いていると、

衣食住あらゆる生産過程における道具を目にする。

その用途はさまざまで、

下準備をするもの、

型取りをするもの、

加工するものなどなど。

恐らく日本では、その多くが工場内に収容され、

モノによっては機械化により流れ作業の一工程になっている

ことも多いことが推測される。

写真は、さまざまな「焼く」場面。

右下は魚屋さん。

魚の調理法は大きく2つ、揚げるか焼くか。

焼く手法も主に2つ、蒸し焼きか、グリル。

段取りを見ていると、

蒸し焼きとグリルを組み合わせていることが多い。

魚の内臓部を取り除き、特性のソースをしみこませた野菜を詰める。

まずは蒸し焼いて味をしみこませ、

その後、開いてグリル。さらにソースをかけてシズル音たっぷり。

右上は路上でよく見かける焼きとうもろこし。

バス乗り場、メトロ(地下鉄)の入り口など、

人通りの多いコーナーにさり気なく散在し、

コーンが焼けるよい匂いを放つ。

車通りの多い広い道路の中央分離帯上で焼いていることもあり、

通りすがりに買い食いをそそられることもしばしばだ。

実際、バスやミクロ(乗り合いバス)では、乗り場や乗り物の中で

とうもろこしを食べ歩いている人を見かけることも多く、

需要も伴っているようだ。

左上は焼き芋販売の荷車。

秋から冬にかけて目にすることが多くなる。

サツマイモのような、皮が赤く中が黄色いお芋。

人気がなく、どうやって購入するのかと観ていたら、

立ち止まるとどこからともなく人がやってくる。

どこに居るのかと見回してみると、

近くのお店でシャイ(紅茶)を飲んでいるらしく、

おしゃべりがてら店舗(荷車)の客入りに気を配っているようだ。

荷車の簡易店舗を見かけることは多く、

ロバや馬が引く貨車であることもしばしば

ロバや馬が道端にたたずんでいる光景は何とも風情がある。

野菜、フルーツ、焼き芋。

場所によっては、スイーツやキッチン用品、靴下などの衣料品。

スーク(商店街)の店頭よりも更に、

季節感溢れるアイテムが多い印象だ。

そして左下はパン屋さん。

エジプトで頻繁に見かけるのは、アイーシュという薄くて丸いパン。

中が空洞で、半分に切ってサンドウィッチにすることが多い。

レストランに行くと当たり前のように提供され、

スプーンやフォークを使わずに、

スープやサラダと上手に絡めて食す姿を見かけることはとても多い。

国からの補助が出ているようでとても安いのも特徴。

一般的、かつ人気のある常用食材だ。

とはいえ、パンはアイッシュのみではない。

写真のパンは、アイッシュよりは気持ちふっくらしたもっちりパン。

小麦粉の発酵過程までは恐らく共通するものが多いだろうが、

火のある釜は実は丸型。

鉄板は回っていて、生地を乗せて一周すると、

ふっくらした、こんがり焦げ目のついた温かいパンが焼きあがる。

まとめ買いの便利さと、出来立ての幸福感、

こまめに足を運ぶか非常に悩ましいところだ。

続いては、「運ぶ」道具たち。

まず左上。広告一色のメトロ(地下鉄)。

広告電車を見かけることが増えてきたように思う。

その広告はバリエーション豊かで、

パスタ、乳製品(チーズやヨーグルト)、ヌードル、

携帯電話会社、インターネット会社など、

日常生活に身近なアイテムが続々と登場する。

時に、日本国旗のあるメトロを見かけることがある。

国旗の下には、「From the people in Japan」の文字。

日本鉄道システム輸出組合なるものが存在し、

カイロの地下鉄整備にも貢献したようだ。

時間通りに運営される日本の電車や新幹線に感銘を受ける外国人は多い。

上中の写真はジューススタンド。

通常はスイカ、マンゴー、ガヴァなどのフルーツジュースを販売するお店。

しかし、冬の初め、フレッシュジュースのスタンドから湯気が。

不思議に思って覗いてみると、

寒くなる冬には「ホンモス」が欠かせないのだそうで、

なんとご馳走してくれた。

豆の入ったオレンジ色のジュース、もはやスープだ。

レモン汁を少し入れていただく、軽く酸味のきいたあっさりジュース。

芯から身体が温まる。

左下の写真は、

アイッシュを乗せて運ぶ木の板を何段にも重ねて運ぶお兄さん。

頭にモノを乗せて運ぶという文化は広く浸透しており、

特に女性に見かけることが多い。

洗面器のようなボール、パンパンの買い物袋。

重たそうなバックが痛々しくもあるけれど、

なんとも愛らしい日常生活を思わせる光景の1つだ。

中右の写真は、カゴの数々。

木のカゴに入った山積みのトマトを運ぶ軽トラックと、

手前は買い物カゴ。

まさに買い物カゴにふさわしく、

上層階のアパートの窓からおもむろにカゴが下りてくる。

物が入れられ、お金が渡される。

良心的なその一連のサイクル。

外に出ずに安全に買い物をすることができる。

頭に物を乗せて運ぶという文化と共に、積み上げるという文化も盛んだ。

何層にも山積みの木のカゴを運ぶトラック。

何段にも山積みのフルーツの山。

積み上げるというボリュームと、バランスよい山積みの美しさ。

季節感が相まって、その光景は何とも見ごたえがある。

真ん中はガスボンベを運ぶロバ車。

よく見かけるのは貨車の角に座り、

テーブルスプーンやペンチでガスボンベをカンカンたたいて通る姿。

ステンレスのスプーンは非常に響きがよく、

うるさいまでに良く響く。

その賑やかさに耳を塞ぎたくなりながらも、

思わず振り返ってしまう光景の1つだ。

右上の写真はメトロの車内販売。

車内の手すりを上手に使って商品を展示する。

アクセサリー、携帯カバー、財布、靴下などの小物を短時間で

要領よく販売する売り子さんを目にすることは多い。

中下の写真は靴磨きのセット。

早朝の光の中、これから出勤と思われる人の靴を

手際よく、かつ、丁寧に磨く姿は何とも献身的だ。

磨くだけでなく、時には修理もするようで、

周辺には靴紐などの小物が沢山ぶら下がっている。

右下は飲み水のボックス。

夏は40度を越えるカンカン照り。

水を運ぶサービスは、顕著に生命保持に繋がっているように思われる。

「運ぶ」という小道具、そこには、日常生活と思いやりが溢れている。

そして、「作る」小道具たち。

左上は、エジプトに来る前から知っていた数少ない小道具、

モロヘイヤ専用のナイフ。

フレッシュなモロヘイヤの葉っぱを皿に乗せ、

両手でギコギコ刻みを入れていく。

お肉をミンチにするようなイメージで何度も何度も行ったり来たり。

モロヘイヤの葉は、次第にボリュームが小さくなり粘りが出てくる。

面白がって試させてもらったけれど、

「そのペースじゃ明日までかかる」

と一喝。コツを掴むには慣れと練習が必要そうだ。

上中の写真は揚げ物。

フレンチフライ、ポテトチップス、

ターメイヤ(豆のコロッケ)、ナスの素揚げ。

大きな網でざくっざくっと大胆に揚げる姿は観ていて気持ちが良い。

右下はサトウキビジュースを作る機械。

上に積まれているのはジュースにする前のサトウキビ。

注文を受けると、上の丸い穴にサトウキビをグイッと差し込む。

ガガガガッと音がして、下から搾り出されたジュースが出てくる。

大きさは冷蔵庫くらい。小道具というにはかなり大きいけれど、

フレッシュなジュースを産み出してくれる、私の大好きなアイテムの1つだ。

左中の写真はお肉を切るまな板。

円形のカーブを描いた面は、一見使いにくいような気がするけれど,

お肉の丸みにフィットするらしく、

瞬く間にお肉を裁いていく、その手さばきはとても美しい。

真ん中の写真は、同じくお肉屋さんの小道具。

お肉をこねる機械で、コフタ(肉団子)を作るのに使われる。

エジプトでよく見かけるコフタは、

羊、牛、ラクダなどのひき肉とお米、それに、

ホドラと呼ばれる葉もの野菜を和えてこねる。

こねたお肉は、つくねのように串刺しにして焼くことが多い。

小さめのミートボール状にして素揚げした後、

トマトソースと煮込むこともある。

地元の人々は、家から米と野菜を鍋に入れて持参する。

お肉を買って機械でこねてもらい、お肉を鍋に戻して帰る。

ビニール袋を使わない、エコの利いた夕食準備だ。

左下は、揚げ物のスイーツを作っている姿。

細長いドーナツ状で、網の目模様がついている。

このきれいな網の目模様、作っているときに使っているのは、

なんと、蝿タタキの先端の四角い部分。

おーーーー。

蝿は払いのけるのが日常の生活。

蝿タタキがこんなところで活躍するとは。

なんとも驚きの一瞬。

思わず正面からでなく裏から隠し撮りのように撮った一枚だ。

右上の写真は、

シロップをしみこませて作る甘いスイーツ、コナーファを作る機械。

この大判の機械も、円盤状に回っている。

左側からは練った小麦粉が糸のように搾り出され、

一周する間に程良く焼きあがる。

その繊細さはソウメンのようで、

シルクの糸を纏めるように束にして保存する。

ラマダーン時期に目にする生のコナーファ。

時期が過ぎても冷凍食品として入手することが可能だ。

中下の写真は、食用のホウヅキ。

隅にさり気なく山積みになっているのは、持ち帰り用の丸めた紙。

グラム売りで、手際よく紙に包んで渡してくれる。

この、山積みの丸めた紙は他で見かけることも多い。

サンドウィッチ屋さんのポテトチップスやターメイヤも

単品で買う時は、この、丸めた紙に包んでくれる。

作ったサンドウィッチも、この紙に包んでからビニール袋へ。

四角い紙を丸く使うアイデアの賜物だ。

「作る」小道具たち、改めて並べてみると、なんと、

円状のものがとても多い。

丸は、人をあったかくする。

うーん、まーいっか。

と思う瞬間に思い浮かぶのも、なぜか、丸のような気がする。

丸く愛らしい小道具たちに囲まれていると、

気さくに声を掛け合う人の和に繋がっているような気にさえなってくる。

愛情こもった小道具たちは、

ほっくりすると同時に、

人々の近さや温かさを彷彿させる癒しアイテムだ。