JICA海外協力隊の世界日記

吉田考が見せたい中国

スピーチ大会を通じて

415日、全国高校生スピーチ大会の予選が行われました。

この大会は中国を4つの地区に分けて予選を行い、予選代表者が北京の決勝大会へ勝ち進むという形になります。

因みに今年の各地区の予選代表者は5名なので、決勝大会は20名となります。

私の地区からは10校の学校が出場していて、規定により代表者は各校2名ずつでした。

だたホスト校だけ特別に3名という形なので、21名の生徒でコンテストが行われました。

テーマは『箸の魅力』『留学から帰ったら』の二つから選び、3分間のスピーチをします。

また発表の後、審査員から2つの質問があります。

私の配属先である武漢市財貿学校から3年生2名が参加し、1人は『箸の魅力』、もう一人は『留学から帰ったら』を選択しました。

『箸の魅力』をテーマに選んだ生徒とは、原稿作成のとき何度もやり取りをしました。

彼は正義感が強くて、積極的に思いを伝える持ち味が文に感じられました。

最終的に文章はとてもいい形になり、おもしろい作品が完成しました。

ただ難点だったのは文章の長さでした。

時間内に収めるにはいささか長すぎたのです。

文章の長さを短くするように何度も声掛けをしたのですが、彼は原稿にそれ以上手を加えることを嫌がりました。

その時改めて気づいたのですが、彼の原稿は心をこめて作り上げた作品であり、手をかけることは容易にできないということです。

何とか説得し、彼は長い時間思い悩み、時には信頼している友達に相談しながら、何とか少しだけ文章を減らすことができました。

私はもう少し短くすべきだと思っていましたが、彼が全力で向き合った形なのでそれこそが最終の状態なのだと思います。

一方『留学から戻ったら』を選んだ生徒は、なかなか原稿を送ってくれませんでした。

私は彼の文を読むのを楽しみにしていたので、少し待ちました。

でも彼が最初に原稿を提出したのは同僚の外部講師の方でした。

私はとても落胆しました。

実は先に催された3月のコンテストの際、手塩にかけて彼の原稿を見たところ、彼は私の手直しを過干渉に感じたというのです。

情けない話です。

自分の人付き合いの稚拙さを思い知らされることになりました。

しかし同僚は時間が作れず、原稿の手直しに着手できなかったそうです。

原稿提出が迫っている中、私のもとに原稿は届けられました。

そして、彼と一緒に原稿の手直しを駆け足で開始しました。

最初に完成した原稿は、テーマから少し外れてしまっていました。

それを指摘し、修正したものを見せに来たのですが、それは彼自身の経験・思いが盛り込まれていない作品となっていました。

そこで私は彼に、自分の経験したことや、本で読んだときに感じた具体的な思いなどを入れるように説明しました。

そして彼は図書館に籠り、数日後ようやく作品を完成させました。

原稿が完成してから発音練習をしました。

上達してきたら、学生の発表練習を聞いて涙腺が緩むことが増えました。

『箸の魅力』では、その生徒が『みんなの気持ちを考えて集団行動をしている』という正義と優しさが伝わってきて感動しました。

『留学から帰ったら』では『誰もが同じ生い立ちではなく、偏見の目で他人を見ることは間違っている』という愛に溢れた言葉に感動しました。

本番でも、二人とも立派に発表をすることができました。

発表後も表情は誇らしかったです。

結果は残念ながら入賞できませんでしたが、外国語学校の精鋭たちが集まる中で二等の好成績を残すことができました。

先輩隊員は全国大会へと駒を進めているので、指導者としては不甲斐ない気持ちはあります。

ただ学生たちも私も全力を尽くしたと思っていますし、絆も深まったと感じています。

赴任して直ぐスピーチコンテストに向けた活動を行ってきたので、これからはそれ以外の活動にも着手するつもりでいます。

ただ来年のスピーチ大会も頑張りたいと思っています。

次こそは。

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