2025/05/08 Thu
ボランティアレポート「めざせ!! バオマスター!!! 【バオ 入門編】」


名 前:宮本 拓海
隊 次:2023年度2次隊
職 種:青少年活動
配属先:ムチンジ青少年事務所
出身地:京都府
こんにちは。マラウイのムチンジ県で青少年を対象にSRHR(性と生殖に関する健康と権利)の啓発・GBV(ジェンダーに基づく暴力)の防止の活動をしております、宮本拓海です。
今回は私の活動内容とはあまり関係ないのですが、マラウイのおじさんたちと私がこよなく愛するマラウイのボードゲームを紹介します。
このゲームは「バオ(bawo)」と呼ばれ、首都であるリロングウェ県をはじめとするマラウイの中部で主に遊ばれているゲームです。おじさんだけでなく、子供からご年配の方まで、(男性の割合が高いですが)男女問わず、幅広い年代の人々に遊ばれています。アフリカや東南アジアで愛される木の板とビー玉を使うゲーム「マンカラ」に少し似てますね。
今日はこのバオの遊び方を紹介します。
遊び方やルールは地域によって異なるため、今日はその中でも一番簡単な遊び方をご紹介します。おそらく正式な呼び方があるのだと思いますが、みんなこのルールを「two-two」と呼ぶため、ここでは「two-two」ルールとして紹介します。
(写真2: 対戦の準備)
〇ボードの説明
①このゲームは2人プレイのゲームでプレイヤーは写真1のように向かいあってプレイします。
②ここでは合計32個ある穴のそれぞれを『ポケット』と呼びます。
③ボードにある横並びの8つのポケットを1列とし、自分側にある2列をそれぞれ、inside(内側の列)、outside(外側の列)と呼びます。
④右端にある長方形の穴は、使わないビー玉を置く場所で、ゲームには使用されません。
〇勝利条件
- 相手のinside にあるビー玉をすべて取る。(相手のビー玉の取り方は後述)
- 相手のボード上にビー玉が2個以上あるポケットが1つもない。
(写真3,4: 勝利条件)- 〇ゲームの準備(写真2を参照)
①ビー玉を64個用意します(ビー玉くらいの大きさの玉であれば、植物の種でもなんでもOKです)。
②ビー玉を各ポケットにそれぞれ2個ずつ配置します。(2個ずつ配置するので「two-two」ルールと呼ばれる)
③先攻と後攻を決めます。(じゃんけんなど、なんでもOK)
〇ターンの開始
このゲームはターン制のゲームで先攻と後攻のプレイヤーが交互に自分の番を行います。
ターンプレイヤーが「ビー玉を動かす」ことでターンを開始します。
〇ビー玉の動かし方
ビー玉を動かすには、
①「選ぶ」 - まず自分の列から「ビー玉が2個以上あるポケット」を1つ選びます。
※「ビー玉が1つしかないポケット」は選べません。 - (写真5: ポケット⑧を選んだ場合)
②「置く」
- ①で選んだポケットにあるビー玉をすべて取ります。
- 取ったビー玉を時計回りまたは反時計回りに隣接するポケットそれぞれに1個ずつ置いていきます。(写真6は反時計回りに置いていった場合の例)
- (写真6: ポケット⑧からビー玉を反時計回りにポケット⑦,⑥,⑤に1個ずつ置いていく)
-
〇相手のビー玉の取り方
- ③相手のビー玉を「取る」
- ②で取ったビー玉を隣接するポケットに順に置いていき、最後の1個のビー玉を置いたとき、その「ポケットにビー玉が1個以上ある」場合、
- そのポケットに対面する相手のポケットのビー玉をすべて「取る」ことができます。
outsideのビー玉を取ることはできません。
(具体例)- ポケット⑧にあるビー玉3個をすべて取り、ポケット⑦,⑥,⑤の順にビー玉を1個ずつ置いていく。最後のビー玉をポケット⑤に置いたとき、ポケット⑤にすでにビー玉が1個以上あるため、
- ③相手のビー玉を「取る」
- (写真7: ポケット⑧を使って相手のポケット⑤にあるビー玉をすべて取る)
- (写真8: ビー玉を取ったあとの盤面。相手のポケット⑤のビー玉をすべて取った)
- ④「戻る」
- ③で相手のビー玉を取ったあと、ボードの「端に戻ります」。
- 戻る方向は ②「置く」 での回り方によって異なります。
※基本は、来た方向へ戻ると考えるとわかりやすいです。
下記3.と4.の戻り方は少し複雑ですが、このルールがバオをより面白くし
ています。(写真11を参照)
- 戻る方向の決め方一覧
1.②で反時計回りに置いていた場合 ⇒ ボードの「右」端
2.②で時計回りに置いていた場合 ⇒ ボードの「左」端
(写真9,10: 1.反時計回りに置いていた場合の例)
3.相手から取ったビー玉がボードの右の外側2列のポケットにある場合⇒ ボードの「右」端
4.相手から取ったビー玉がボードの左の外側2列のポケットにある場合⇒ ボードの「左」端
(写真11: 外側2列(右端2列と左端2列)のルール)
(戻り方4. の 具体例)
- まずポケット③を選択。
- ポケット③のビー玉すべてを取り、反時計回りにポケット②, ①と順に置いていく。
- 最後の1個を置いたポケット①にすでにビー玉が1個以上あるため、
- 対面する相手のポケット①のビー玉をすべて取る。
- 相手のビー玉を取ったため、端に戻る。
- 本来であれば、反時計回りをしているため、戻る方向は右端であるが、
- 外側2列のルールにより、相手のビー玉をボードの左の外側2列から取ったため、
- 左端に戻る。
(写真12,13: 外側2列の具体的な例)
〇 相手のビー玉を取れないとき
- (写真6)と同様にポケット⑧の3つを取って、⑦,⑥,⑤とビー玉を1個ずつ置いていきます。
- 最後の1個のビー玉を自分のポケット⑤に置き、その「ポケットにビー玉が1個以上ある」ため、
- 本来であれば、対面する相手のポケットのビー玉を取ることができますが、今回の場合は、そこに相手のビー玉がないようです。
(写真14: 対面する相手のポケットにビー玉がない場合)-
⑤「ばら撒く」
- 上記(写真14)のように、最後の1個のビー玉を置いたとき(ポケット⑤[白文字])
- そのポケット(ポケット⑤[白文字])にビー玉が1個以上あり、
- その対面する相手のポケット(ポケット⑤[黒文字])にビー玉がない場合、
- 最後の1個のビー玉を置いた自分のポケットにあるビー玉をすべて取り、順番(反時計回りor時計回り)を変えないまま、隣接する自分のポケットにビー玉を1個ずつ置いていきます。(写真15)
- そして、再度、最後の1個のビー玉を置いたとき、
- 「対面する相手のポケットにビー玉がある場合」は、
- ③「取る」
- 「対面する相手のポケットにビー玉がない場合」は、
- ⑤「ばら撒く」
- ⑤「ばら撒く」
(写真15: ⑤「ばら撒く」の例)〇ターンの終了
⑤「ばら撒く」の際、- 上記(写真15)のように、最後の1個のビー玉を置いたとき(ポケット⑤[白文字])
- そのポケット(ポケット⑤[白文字])にビー玉が「ない」場合(写真16)、
- そこでターンを終了します。
(写真16:)-
〇タカタ(takata)ルールについて(ちょっと難しい)
- 「タカタ」ルールとは、
ターンの始めに、スタートするポケットを「選ぶ」際、自分のどのポケットを選んでも相手のビー玉を「取る」ことができないとき、そのターン自分は⑤「ばら撒く」を繰り返すことしかできなくなります。つまり、そのターン自分は相手のビー玉を取ることができなくなります。
※タカタは、チェワ語(現地語)で「広げる」などの意味
(タカタの具体例)
①「選ぶ」- (写真17) では、相手のポケット①,③,⑥(赤〇)に相手のビー玉があるため、この3つのポケットにあるビー玉を取れるように自分のビー玉を動かしたいが、
- 選択可能な「ビー玉が2個以上あるポケット」(白〇)のどれを選んでも、赤〇に最後の1個を置くことができないため、相手のビー玉を取ることができません。
- それ以降はターンを終了するまで、⑤「ばら撒く」を繰り返します。
(写真17:「タカタ」相手のビー玉を取ることができない状況)
(よくある間違い)
※⑤「ばら撒く」⇒③「取る」のように複数の行動を連鎖した結果、赤〇に最後の1個を置くことができたとしても、①「選ぶ」の時点で③「取る」ことができるポケットを選択できていないため、そのターンはタカタルールにより、相手のビー玉を取ることはできません。
(写真18: タカタの例)
- ①「選ぶ」で自分のポケット⑧を選んで、ポケット⑤[白文字]までビー玉を「置く」
- 最後の1個のビー玉を置いたポケット(ポケット⑤[白文字])にビー玉が1個以上あるため、
- ポケット⑤[白文字]のビー玉をすべて取り「ばら撒く」
- 再度、最後の1個のビー玉を置いたポケット(ポケット⑤[白文字])にビー玉が1個以上あり、それに対面する相手のポケット(ポケット③[黒文字])にもビー玉があるが、
- タカタルールにより、このターンは相手のビー玉を取ることができないため、上と同様に「ばら撒く」
- 最後の1個のビー玉を置いたポケットにビー玉がない場合、ターンを終了する。
このようにタカタは相手のビー玉を減らすことができないため、非常に弱い行動ではある一方で、語源の「広げる」のように、自分のビー玉を「ばら撒く」ことで次の自分のターンの選択肢を広げる大切な行動でもあります。
〇まとめ
記事の最後に以下のまとめを早見表にした画像を添付しております。
- ①「選ぶ」
『相手のビー玉を取ることができる?』
【できない】 -
- タカタ → ⑤「ばら撒く」
- ②’「置く」
『最後の1個のビー玉を置いたポケットにビー玉が1個以上ある?』
【ある】
⑤「ばら撒く」
②’「置く」に戻る
【ない】
「ターンの終了」
- 【できる】
- ②「置く」
- 『最後の1個のビー玉を置いたポケットにビー玉が1個以上ある?』
【ある】
『対面する相手のポケットにビー玉が1個以上ある?』
[ある]
- ③「取る」
- 相手のポケットからビー玉を取ったので、④「端に戻る」
※外側2列のルールに注意
- ②「置く」に戻る
[ない]- ⑤「ばらまく」
- ②「置く」に戻る
【ない】
- 「ターンの終了」
- 上記の行動を「ターンの終了」まで繰り返していきます。
以上がマラウイのボードゲーム、バオのルールの紹介でした。少しでもバオの魅力が伝われば嬉しいです。実際にやってみるとルールはすぐ理解できるのですが、文字だけだと説明が難しいですね。もし少しでもバオに興味を持っていただいた方は、インターネットで [bawo online] と検索してみてください。オンラインでコンピューターとバオの対戦ができます。マラウイの一番主流なバオルールはさらにもう少し複雑ですが、それがより戦力性も拡がり楽しいので、機会があればそちらも紹介できればと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次回は、【バオ 中級編】 『Eight-Eight』 でお会いしましょう。
(画像1: バオターン中の行動早見表)
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