JICA海外協力隊の世界日記

マラウイ便り

実際にマラリアに罹ってみて

名 前:石井沙知
隊 次:2024年度1次隊
職 種:看護師
配属先:ムワンザ県病院
出身地:東京都

マラウイに来て2ヶ月が経ち、病院実習も折り返しの時期に差し掛かった頃でした。
 同じ病院で実習をしていた臨床検査技師の同期との夕食後、胸焼けのような気持ち悪さを感じました。早めに休もうと思い、当日の復習だけ終わらせて寝ることにしました。しかし、横になっても気持ち悪さは治まらず、むしろ悪化して嘔吐を繰り返すようになりました。同時にお腹も下してしまい、一睡も出来ないままトイレで朝を迎えました。翌朝は立って歩くことさえままならないほどの倦怠感に襲われ、やむなく病院を受診しました。
 マラリア危険地域に配属されるマラウイ隊員には、全員予防薬と簡易検査キットが配られており、38℃以上の発熱があった場合は、自身で簡易検査をした上で健康管理員に連絡するという決まりがあります。マラウイでは成人のほとんどが幼少期にマラリアに罹患しており、時に命に関わる危険な疾患であると同時に、非常に身近な疾患のひとつとして認識されています。実際にマラウイの小児科病棟で活動していると、患児の8割近くはマラリアの治療のために入院していることが分かります。
 マラウイでは、過去にマラリアが原因で任期中に亡くなった隊員もいらっしゃいます。そのため、着任してから1ヶ月間は現地語研修も含めた講習があり、耳にタコができるくらい、マラリア予防の話を聞きました。私は看護師であるという責任感もあり、マラリアについては日本にいる時から勉強をしていました。実際にマラウイに来てからもかなり気を付けて対策を行ってきました。
 しかし、予防薬を毎日飲み、防蚊対策もしっかりしていても、罹るときは罹るようです。病院受診して10分後には、血液検査でマラリア陽性との診断がされました。
 症状から、胃腸炎にでもなったのだろうと考えていたので、まさか自分がマラリアだったなんて信じられず、とても驚きました。と同時に、このこれまで経験したこともないような倦怠感は、なるほどマラリアによるものだったのかと納得もしました。
健康管理員の方が病院に到着後、すぐに治療が始まりました。マラリアの治療はまずArtesunateという点滴薬を時間を空けて3回投与します。その後内服薬に移行し、3日間内服を続けます。通常であれば点滴薬が終わり次第、内服薬をもらって退院可能なのですが、邦人ということもあり、内服薬も飲み終わるまで入院することになりました。Artesunateは非常によく効く薬で、投与して1時間後には嘔気が治まりだいぶ体が楽になりました。それからは1日1日と日を追うごとに体調が良くなり、内服薬に移行するころにはもう退院したいと思えるほど回復していました。
 マラウイの病院は国営のものと私立のものがあります。国営の病院では無償でサービスが受けられますが、設備は古く汚く、日本人が入院できるような環境ではありません。一方、私立の病院は有料のため、お金のあるマラウイアンや外国人が利用します。こちらは施設も比較的新しく、きれいなところが多いです。私の入院した病院では毎日三食の間に10時と15時におやつの時間もあり、その都度何が食べたいか聞いてくれる、夢のような入院生活でした。私は国営の病院で看護実習を行っていたので、同じ国の病院とは思えない待遇の違いに戸惑いを覚える一方で、私立の病院に入院出来てよかったと安堵している自分もいました。
 日本で生きていると想像もできないようなことを、マラウイでは沢山経験できます。今回のような大変な経験もありますが、残りの任期も頑張っていきたいと思います。

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入院初日の点滴の様子

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治療薬のArtesunate

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病院食その①

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病院食その②

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病院食その③

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でも結局これが一番でした。

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