JICA海外協力隊の世界日記

ナミビア便り

#24_放課後算数クラブ

みなさんGoeie middag!(こんにちは!)小学校教育隊員として活動している吉野です。

私は算数の授業をメインに活動をしているのですが、算数はナミビアの中でも特に苦手としている人が多い科目と言えます。その理由の1つに、生活で算数を使う場面が少ないことが挙げられると私は考えています。日本の小学校で働いていた頃は、当たり前のように感じていて何とも思いませんでしたが、日本では学校生活の中で算数を使う場面がたくさんあるのだということに、ナミビアに来てから気が付きました。

例えば、

・体育で50メートル走のタイムやソフトボール投げの記録をはかる

・「運動会まであと何日」などをカウントする

・教室に時計や時間割表がある

・授業と授業の間に5分休みがある

・今月の予定など、月ごとのカレンダーが手紙として配布される

・クラスの人数を1班4人ずつくらいの班に分けている

・アサガオの種の数やサヤエンドウの実の数を数えて記録する

・出席番号が決められている

・身体測定で身長や体重をはかる

・給食当番が給食を盛り付ける

などです。日本の学校ではよくある光景だと思います。そして、これらが実はものすごく重要な算数的思考に結びついているのだと私は思います。例えば、授業と授業の間に5分休みが毎回あると、「トイレに行って水を飲んで次の授業の準備をしたらだいたい5分だ」などのような時間の感覚が自然に身に付きますよね。しかしナミビアでは、(学校によるかもしれませんが)ここに挙げたような日本ではごく当たり前の光景を、一度も見たことがありません。時計はあっても電池が入っていることはほぼなく、カレンダーを読む機会もないので、時計の授業は皆かなり苦戦していますし、1週間が7日間であることを覚えられない子どももたくさんいます。

そんな現状を知って、「算数の授業以外で算数を学べる機会を作りたい」と思っていた時に、同僚の先生から「子供たちが算数を楽しいと思えるような活動を取り入れたい」という話を聞き、放課後にゲームを通して自然に算数が学べるような「放課後算数クラブ」を作ることになりました。

昨年は、4年生から7年生の子供たちを対象に、毎週木曜日の放課後に行っていました。今年は火曜日と木曜日の放課後に行っています。

・メモリーゲーム(神経衰弱のように、2と8など合わせて10になる2枚のカードをめくる遊び)

・計算カルタ(教師が計算式を言い、子どもが頭の中で計算して答えのカードをとる遊び)

・時計カルタ(教師が時間を言い、子どもがその時間を表している時計のカードをとる遊び)

・かけ算表パズル(パズルのピースを並べてかけ算の表を作る遊び)

・立体・平面図形カルタ(教師が立体図形や平面図形の名前を言い、その図形のカードをとる遊び)

・大きな数カルタ(教師が4桁の数字を言い、子どもがその数字を表している位取り表のカードをとるゲーム)

など、遊びの内容は様々です。

2番目の写真はメモリーゲームの様子です。算数クラブの遊びの中で特に人気な遊びです。最初の頃は、1枚目に「2」をめくって、「次は何の数字をねらう?」と聞いても「8」をねらえばよいことがわからない子や、指を使ってあといくつで10になるか数える子などが多くいました。しかし、何度もこのゲームをして遊んでいる中で、「2が出た!さっき8見た!」などのような言葉が自然に出てくるようになってきました。

この算数クラブは子供たちからも好評ですし、できることなら今後もずっと続けていきたいところなのですが、私の任期はあと4か月弱で終わってしまいます。同僚と一緒に作ったはずのクラブですが、私がメインでやり続けてしまったことにより、今のままでは私が帰国したらクラブはなくなってしまうと思います。そこで、同僚に声をかけるだけではなく、せめてこの遊びをナミビアの先生に広めておけば、どこかで使ってもらえるかも…という希望から、今年2月に実施した算数教員を対象としたワークショップにて、私の算数クラブでの遊びを紹介する時間を少しいただきました。そこで先生方にカードを実際に作ってもらい、それを使って遊びを体験してもらうことができました。

そのワークショップが終わった後、メールで「カードのデータを送って欲しい」という問い合わせをくださった先生がいました。もしかしたら、どこかの学校で使ってくださっているのかもしれません。私の紹介した算数遊びを良いと感じ、取り入れようとしてくださっている先生が1人でもいたら嬉しいです。

今後は、引き続き子供たちに算数学習を楽しんでもらうための努力をすることはもちろん、配属先でこの算数クラブを持続可能な形にしていけるように頑張りたいと思います。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

それでは、Sien jou!(さようなら!)

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