JICA海外協力隊の世界日記

セントルシア便り

Ozzie Note41 国と現場どっちが大事? 教育GAP!!

こんにちは。2024年度2次隊の尾﨑です。
カリブ海の元イギリス領だった国々は現在共通の卒業試験を実施しています。年度末である6、7月は学校現場では試験の話で持ちきりです。学校が7月に終わった今、夏休み中に教員向けの研修週間が設けられています。今回はこのカリブ地域の卒業試験を作っているCXC(Caribbean Examinations Council)と呼ばれる組織のスタッフからセントルシアの教員向けの研修が開かれたので紹介します。

CXCの本部はバルバドスとジャマイカにあり、そこで卒業試験やそのシステムが作られています。カリブ海は国によって経済規模や人口規模に差があるため、こういった共通組織が試験を作ることによって教育水準を一定以上に引き上げています。

セントルシアは元々イギリス領だったので、イギリスの教育システムに従っていたのですが、CXCや他のカリブ共通の教育組織によって、カリブ独自の教育システムを確立することに成功したと言えるでしょう。

昔は、セントルシアの卒業試験はペーパーテスト1つで進路が決まっていたそうです。しかし今は小学校の場合、CXCが確立したシステムによって、External Test(カリブ共通試験)6割とInternal Test(国内の学校で行われる試験)4割の合計によって進学先が決まります。
つまり「1つのテストだけでなく、日頃の授業評価の積み重ねで子どもを評価しよう!」
となったわけです。
これはセカンダリースクールでも発達段階に応じたテストが取り行われ、西インド諸国の大学への進学パスとして使うことができるようです。また、欧米の大学でもこのカリブの卒業試験の仕組みは評価されており、このCXCのテスト評価と欧米の各大学のテストを直接受験した結果を組み合わせて進学することが可能だそうです。

これは素晴らしい取り組みである一方で、現場の先生方の声からは課題も見えてきます。テスト以外の評価物がかなり増えたことにより教員の評価負担が増していると言う点です。例えば、テーマに沿った自由研究のようなプロジェクト課題、選んだ本の良さを紹介する読書感想文のような課題、先生が期末に作るTeacher-made Test など。
「本来子供の能力や良さを引き出すために設けられた評価システムなのに、子どもの学習ためというより、評価に追われて授業をこなしているよ...。」
という教員もおり、その評価結果により生徒の進学先などが決まることから1年中大きなプレッシャーを抱えながら授業をこなす教員もある程度いるようです。

これは日本の教育にも同じことが言えます。文科省が掲げる評価の3観点は知識や技能だけでなく、思考判断表現力重視の評価へ移り変わり、主体的な学習態度も新たな評価基準として入りました。身近な事柄と結びつけて自分から学ぶ教育は理想ですが、そこには曖昧な基準をもとに評価せざるを得ない現場の苦労が伴います。評価をすると言うことは基本的に出来具合を数値化してなぜその評価なのか説明できるようにしなければならないからです。

子どもを1番近くで見ている教員がそのような評価に時間を割くためには、他の事務作業や会議の時間などを減らさなければ成り立ちません。最終ゴールは同じでもシステムを作る側と現場の価値観の乖離はどの国でも共通して起こり得るものなのかもしれません。

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